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鉄腕ラリアット  作者: 鳩野高嗣
第八章 さらば初恋
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さらば初恋【Aパート】

この作品は『エンターブレインえんため大賞(ファミ通文庫部門)』の最終選考まで残ったものを20余年の時を経てリライトしたものです。

「ナココ~、聞いたわよっ!」


「かはっ!」


 いきなり廊下で直実(なをみ)は明美にサイドヘッドロックを()められた。


「何で月末の試合の事、黙ってたの?

 昨日のうちに教えてくれたっていいでしょっ!」


「ちょ、ちょっとアケ、どっからその情報を?」


 明美の情報収集能力には毎度の事ながら驚かされる。


奈留(なる)ちゃんからよ。」


「奈留ちゃんって、一組の門倉(かどくら)さん?

 何であの子が知ってんの?」


「ナココって、ほんっと~にウトいわね。

 奈留ちゃん、野球部の和田(わだ)くんと付き合ってんの知らないの~?」


「うそーっ、知らなかったよ‥‥。早い子は早いんだね。」


 同級生に、もう交際している人がいる事を知らされた直実は衝撃を受けた。


「周りにはちらほら付き合ってる人いるよぉ。

 スポ根少女が悪いって言うつもりはないけどさぁ、もう少しグリーンエイジを謳歌(おうか)したら?」


 明美はヘッドロックを()くと呆れ果てた顔で忠告した。


「あ、ちなみに田上くんは今んとこフリーらしいよ。」


 明美の耳打ちに直実の顔はたちまち紅潮した。


「な、何言ってんのよ!?」


「あはは、ナココって純情だよね。」


 予想通りの反応を示した直実に明美はコロコロと笑った。


「それはそうと、今日、部活が終わったら私の買い物に付き合ってよ。」


「今日?」


「だって、もうすぐなんでしょ、試合?

 今日を逃したら、もうそれどころじゃないだろうし。」


 昔からやっている早朝と部活後の自主トレに加え、野球部の朝練と放課後の部活動。

 平日も休日もトレーニング漬けの日々を送る直実は、明美や他の友人たちと疎遠になりつつある状況を実感した。


「うん、わかった。付き合うよ。」


「じゃあ、部活終ったら正門とこで待ってるね。」


 会話が終ったと同時に二時限目の授業が始まる事を告げるチャイムが鳴った。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 明美の明るさがいいですね。こんな子がリアルでいたら学校生活も楽しいでしょうね。
[良い点] 明美とのコンビは面白いですね。 [気になる点] 「だって、試合前でしょ?  それまではそれどころじゃないだろうし。」 が少し読みにくいと感じました。
[良い点] 明美ちゃんもいいキャラですね。 こんな幼馴染の親友が私にもほしいです。
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