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00 ロンリー・ブルー
第三章の開始となります。
まじめな要素が増えていってますが、できるだけ読み易い様に書きますので、よろしくお願いします。
「この辺りは暖かいと聞いていたのだけれど」
私が虚水に向けて言うと、唇の合間を縫ってこぽりこぽりと小さな泡が、大気を求めて浮上していく。
青い。
空の様な希望に満ちた青ではなく、どこか重みと哀しみを含んだこの海の青。
私はこの青に抱かれただ1人、遥か彼方の太陽が降り注ぐ世界を見上げている。
「やっぱり、少し寒いわ」
その寒さの理由は、私自身よく判っている。
──寂しいから。
1人は寂しい。1人は辛い。
そう考えると、身体が凍えて仕方ない。
青い寂寥に我慢の限界を感じた私は、知らぬうちに光へと手を伸ばしていた。
「トモダチ、見つけに行こうかな」
地上に上がるのは怖い。
けれど、この静かな海で1人凍え続けるのは嫌だ。
「うん。ここの人は、良い人かも知れないから」
私は三日月の様に湾曲した尾ひれを振って、光へ手を伸ばした。