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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 10話 調査

僕が気がつくと天空のベッドで眠っていた。

なにも問題はないと思ったが、弥生が死にかけている。しかも……治せる見込みもなさそうだ。


僕は、原因である敵の手がかりを見つけるべく探索を開始した。

「では、行きましょうか」

「あぁ」

 僕は、準備を終えウィストリアと共に町を出ていた。それにしても2人で行動するのは久しぶりのような気がする。



「なんか最初の頃を思い出しますね。」

「そういえばそうだな。現実にすればもう1年くらいは経っている計算になる。」


 もうそんなに経つのか。だとすれば、この一年。現実に精霊界、冥界の二人……なんか色々とあった気がする。



「時間はあっという間ですね」

「あぁ。彩夢には感謝しきれないほどのが恩出来てしまった」


「大げさですよ。それに、僕のやりたい事もなんとなくですが……分かってきました。でも、今は弥生の為に手がかりを見つけましょう」

 ウィストリアは頑張るか。と頷いていた。


 まずは、弥生を見つけ捕まった所に行くことにした。どんだけ小さなものでも今の僕らには必要だ。


 僕達は、弥生と戦った森の中へ入っていく。



 森はまだ直りきっていないが、自分で治しているように再生していた。僕は特に木々が枯れた広い場所へ向かっていく。



「ここでいたんだな」

「はい」


『アラストリア、なにか違和感はないか?』

『そうだな。小さな匂いと塊は多いが影響はないだろう。まぁ、「我が出来るのは」ここまでだ』


 ウィストリアもあちこち探しているが何もなさそうだ。それにしても、アラストリアはスッキリしない言い方だな。


『分かった。僕がやる。それにしても、やっぱりお前は僕の事を知っていたんだな。泳がされたものだな」

『悪かった。だが、知らない方がお前の幸せだっただろ』


「まぁ」

 目をこらすと、黒いモヤの点があちらこちらに見えてきた。小さな匂いとはこの事だろう。



「……っ」

 その中でも色が濃い跡がある。どこかに向かっているかは分からないが、とりあえずついて行こう。



「これは」

 木の木陰に何かが埋まっていた。


 引っ張り出すと、黒焦げになったイルカのぬいぐるみのようなものにみえる。確かあの時のもの。


 どこかのホラーゲームみたいな不気味さはあるが、ウィストリアも気づかないようだし魔力は無いのだろう。



(でも、これのせいで弥生はやられたんだろう。)

 僕があげたばっかりに。何が心臓に張り付いた死呪霊に餌を渡す役割だ。


 気づけば、当てようのない怒りをぬいぐるみにぶつけていた。



「彩夢、どうだったか?」

「……僕が見つけたのはこれくらいですかね。」

 ぬいぐるみを渡し、これまでの事をより詳しく説明した。



「なるほど。全く非道なやつらだな。」

「僕もそう思います。しかも、女神達に紛れて家に置かれるとは」

 そう言うと、ウィストリアの眉がピクッと動いた。



「なら、女神達の中に協力者がいるか。もしかしたら、フォルナと関係がある。とかか?」

「はい。その線はあると思います。」


 確かにフォルナと戦った後にヒロルと接触した。あいつは、人間を使うと言っていたし可能性は高い。



「分かった。よし、次へ向かおう。」

 ウィストリアは少し考えながらも動き始める。僕は、歩きながら今の考えを彼女に伝えておいた。



「軽くは聞いていたが、まさか本当にあいつは…」

 ブツブツと困った顔をしながら、メモを取っている。


 その後、雲の上をずっと歩いていき途中でバラバラになったガラスのようなものを踏まないように進んでいく。



「とりあえず、次は彩夢と弥生を保護した場所だ。ここには死呪霊が沢山いた痕があったから、人間の負の感情を集めているのかもしれない。」


 地下の時しか記憶がないから、よく分からなかったが全体をみると2階建ての小さな城みたいな天空とは違った造りにみえる。


「変な魔力はないから大丈夫だとは思うが……くれぐれも気をつけてくれ」

「はい」

 僕達は地下室から探索を初めていった。何故か瓦礫だらけだったがウィストリアのおかげで進められる。


 だが檻が1つと広い場所しかない。ただの檻ではなさそうだ。


「推測ですが、ここで人を閉じ込めていただけには思えません。こんな広場なんていりませんし。実験とか?」

「確かにその説はあるかもしれない。確かにこんな広場があって、吹き飛んだ鉄格子には人間がつけそうにない傷もあるしな」


 なるほどその見方があったか。それにしても、豪快に吹き飛んでいるな。誰がやったんだ?



 その後、1階を見たがなにもなく次は2階に上がっていた。ここには、人がいたのであろうソファーやベッドが並んでいる。


「流石に、この魔力から追跡するのは難しそうだ」

 ウィストリアはあちらこちらに手をかざしながら唸っていた。追跡が出来たら有難いんだが。


 しかし、まるで逃げる前提だったように服や生活感があるものはほとんど無かった。



「最後はここですね」

 僕が奥の扉を開けると沢山の本が並んでいた。1部抜けてはいるが。


「少し見てみますか?」

「あぁ。そうしよう」

 見る限り現実のものしかない。魔法書くらいあれば良かったんだが



 その時

 ガタッ


「――っ!!」

「誰だ!?」

 僕達は本が落ちたような音に驚き飛び上がっていた。



「誰だっ」

「ごめんごめん……驚かすつもりはないんだ」

 沢山積み重なった本から何かが出てくる。この人形みたいな体格、金髪。



 んっ?

「クロクか?」

「やぁ、彩夢」

 クロクはスっと本を読みながら立ち上がった。

「ウィストリアさん、仕事は大丈夫なんですか?」

「あぁ。それに……この問題を解決すれば、今やっている事もしなくていいだろう。」


「それにしても大変そうですね。睡眠とか大丈夫ですか?」

「あぁ、今はしっかり1時間は眠れている。彩夢のおかげだ。」


「ぇ……」

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