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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界でまた

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第4章 15話 1から

「さぁ、今からが勝負だ。2人とも準備は出来てるな?」


「うん。ちゃんと書いてきた。」

「スマホはしっかり持ってるぜ。」

 2人が明るい顔で頷いた。きっと、2人が前のままならこんなことは出来なかっただろう。しかし、少しだけでも踏み出してみれば前向きになれるチャンスはある。

後は、僕がチャンスをつかませるだけだ。


「じゃ、また生徒指導室で」



 別れを済まし、僕はすぐさまに駐輪場へ向かった。


「解除してくれ」

 そう呟きながら、茂みからボイスレコーダーを見つけ拾い上げる。まさか現実でもこの力が使えてしまうとは思わなかったが。



『変に使うなよ』

『変な使い方とかあるか……?』

『ないな。』

裏ワザとか教えて欲しいんだがな。



『あと……呪文ってなんでいるんだ? アニメとかでよくみるけど要らなくない?』

『正式には、魔筋(マドロリック)。後で説明してやるから。』

『ほん……それにしても、カタカナ多くね?』


 そう尋ねるとアラストリアは黙りんでしまった。まぁ、あくまでこの力は人のためにしか使う気はない。


色々無茶苦茶だし、大体の事が好き勝手にできてしまうのはなんだか怖い。もしもの時に、取り返しがつかない可能性もある。



 僕はボイスレコーダーをポケットにいれ、まずは教室へ乗り込む事にした。今頃、話し合いが始まっているかもしれないがまだ出なくていいだろう。



「やべぇよ、やべぇよ」

「レイちゃんやばくね……?」

 予想通りクラスは騒いでいた。このクラスどうなるの? とあらゆる生徒が不安をあらわにしている。


 まずはクラスの様子をみるか。僕は何食わぬ顔で教室に入るとざわめきは瞬く間に大きくなる。机には落書きという名の馬日雑言の言葉がまた並べられていた。


「最低、ゴミくず!!」

「人間以下」

「心がないんじゃない」

「死ね、陰キャ」

 あんなことがあったのに改善する気は無いとは元気なものだな。先生が庇ってくれると思ってさっき書いたんだろう。


 それにしても明日は我が身と言う言葉を知らないのか? 何のために人前でやったと。カシャカシャといじめっ子のスマホで撮り、わざと机に触れないように座った。


「……っ」

 どんだけ威勢がよくても、証拠より勝るものはないだろう。僕がスマホを持って見せている動作は、次はお前だと脅しているようなものだしな。



 そう思いながらどんな顔をしているのか顔を上げてみたが……何故かニヤニヤと笑っている。


 僕は、もう一度落書きを確認する。

 このクラスに今、特に佳奈の友達あたりに違和感がある。



 確かに前よりも字はスッキリしているような?

(あとで、トイレにでも呼び出すか?)



 ここで問い詰めても彼女たちに。いや、ここで問い詰めるべきか? これからの為にも隠し隠しにしていても駄目だ。こいつら全員が変わらない限り、この学校は変わらない。


 僕は、前の授業に使った紙をロッカーから引っ張りあげる。

 最近は、授業に参加する生徒が増えてきた。つまり、グループ活動が可能と言うことだ。


 佳奈の部屋をみて最初思ったのは、まだ紙を使っている事。改めて時代が進みすぎていなく助かった。紙があれば、グループ活動で文字を書き合う際に字の癖が残るという事だ。


 流石に、全員を特定するのは不可能。しかし、癖がハッキリしている物もある。



 例えば、この人間以下。習字などをしていると繋げたように書く癖が治らない人もいる。「間」を見ると日の部分の下2本の横線が繋がっている。


 そして、この国語の授業で使った僕の意見に対する感想のメモ帳。「思う」の心にもそのような癖がある。


 もし、2人いたら……となるが大体はねの力具合をみれば多分同じだろう。あと人少ないし。


 この子の名前は美来(みくる)か。

「美来さん。これ貴方が描いた?」


「えっ……」

 そう言葉をクラスに投げかけると、1人の子が机から飛び上がり、周りの雰囲気が一気に変わる。


「どう?」

「えっと………」

 彼女は、うつむきながら周りをチラチラと見ていた。


「君が君の意思で描いたかそれだけ答えて。別に私は、怒ってるとかじゃなくて机の字が綺麗だから聞いているだけだよ。」

「……ありがとう。」


 そう呟きながら、小さく首を横に振った。

 ま、そうだろうな。机の文字もやけくそ感あるし。


「前にも言ったけど、もうこんな事辞めようよ? 醜いし、回りくどいし」

 僕は皆の前に立ち咳払いをして、黒板に紙を1枚貼り付けた。



 「〇組名前リスト」

 と書かれクラス全員の名前が書かれている紙だ。

「ここに書かれている人は、生徒指導室に来てもらう」


「はっ!? 俺してねぇぞ!」

「……これは違う! 言われたの!!」

「ふざけんなっ!」

「嫌よ!!」

 ザワザワとした声は怒りに変わり僕に殴りかかってくる。それでも、僕は口を開いた。


「この問題は、1人だけ変わればいいとは思わない。雰囲気とか人間関係とか……そう言うのって個人だけじゃなくてクラス全体の問題じゃないかな?皆で話し合いたい」


 ガラッ

「おい、信田!! 皆待ってるんだぞ! 何をしてっ……」


 担任が僕達の様子を見るとまた僕を睨みつける。

「次は何してる!?」


 さっきまでの声は一気に消え、皆が僕の顔色を伺った。


「今回の件は皆にも問題があるのでしっかり話し合って解決しようって提案したんです。」

 僕はニコッと笑った。



「じゃあ、皆で生徒指導室に行きましょう。」

「おにいさん夜は帰ってくるけど、ずっと明かりがあるし起きてるのかな?」

「さぁ……最近は、機械に耳をつけながら紙に何か書いていましたね。一段落すれば大丈夫だと思いますよ。」



「おにいさん! ……ん、なにたべてるの?」

「ラムネ。ここからが勝負だからな……ん、美味しい…。」

「たべすぎじゃない?」




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