表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界でまた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/157

第4章 14話 記憶と逆転

佳奈のいじめを解決するため、女友達として乗り込んだ。彩夢。


解決に向かうが、結局は絡まれ暴行事件に発展する。その時、打反が声を上げる。

 小さい頃から僕達は、1つの教室で閉じ込められる。挨拶もマナーも人間関係も「学校」という場所で「基礎」として箱の中で教えこまされる。でも、道徳なんて痛みを知らないと育たない。


 小さなカゴに入れらた虫は共喰いをする。でも、僕達は「友達」という言葉に手を止める。本能的に潰し合う事はしない。


「おいおい、彩夢さぁ空気読めよ? 掃除してたら俺達もしなきゃいけないだろ?」

「あっはは! これだからボッチなんだよ? 」

 だが、クソみたいな周りに振り回されて友達がいなかった。分かり合えるやつが居なくても、中学からは変われるという期待で生き延びた。


 どんだけ言いきかせても、アラストリアがいても、本当は寂しかった。友達が沢山欲しかった。


 中学でもダメだった。でも、教室が駄目でも僕には陸上がある。陸上なら僕を受け入れてくれると信じていた。



「付き合ってたらしいぞ? お前、中1の時から騙されてたんだよ彩夢。」

 俺の友達がサラッと教えてくれた。頑張って張っていた細い糸が完全に切れたと本能で察した。



「お前は人をもう少し疑ったほうがいいぞ?」

 友達は、僕を道具としてかみていなかったようだ。陸上部という空間にだって色んな人はいるもんだ。


 自分を道具として扱う人間が僕に見せつけたのは肯定される空間という立場の違い、愛されるものだからこそ出来る切り捨て。


「アラストリアお願いがあるんだ。」

 あの日から、僕の認識は変わっていた。世界も見方も全てがねじ曲がった。ただ信頼できるか敵か? それだけをずっと自問自答し切り捨てるようになった。

 親友以外は、道具とかガラクタのようにしか見れなくなった。もう傷つきたくなんて無かった。


 近くの公園で騒ぐ2人を見ながら、変な期待をした僕がまちがっていたと後悔した。そして、その景色に誓った。


 自分を傷つけたやつを報復すると。その為の力を手に入れてやると。例えそれが人間として間違っていても。




『アラストリア、まだケガは治さなくていい。』

 僕は何ヶ所も切り傷がついて血が止まらない様子を昔を思い出すように見つめていた。



「えっ火事どこ?」

「そんな事より、あの子やばくね。」

「何? 暴行?」

 気づくと打反の声で皆が集まってきている。


「火事!!?? おばちゃんに任せ…アンタどうしたの!?」

 おばちゃんが必死になりながら、誰よりも早くホースを持ってきていた。すぐに僕に寄り添い肩を揺すってくる。


「火事は嘘です、ごめんなさい。……でも、っう…ぅ…」

「火事だ。」だけじゃ人が振り向くだけ。だから、あえて「助けて」を付け加えた。おかげで上も騒がしいがな。


 僕は、目頭に力を入れおばちゃんの肩を抱きしめながら泣いた。


「酷い事したんです。この人達に……」

 あくまで「酷い事」。この血は無関係だしな。

 僕は、ビシッと指を指しながらワンワンと泣いた。上の雑音がさらにひどくなる。



 これは、高校の時に学んだ事だった。

 例え他人でも、「学校」という名の集団だ。流れていく人でもないし言葉のネットが学校中に広まる。さらに、相手のイメージダウンにも繋がる。


 オススメは同級生以外。自分のイメージをあまり壊したくないし。他人の方が色々と想定や妄想、はたまた本当の判断をしてくれるからな。


「可哀想……」

「あの怪我も、アイツらがしたんじゃね?」

「ひどーい、写真撮っとこ〜」

 あの時は、情に訴えるしか無かった。まぁ、いい高校生が泣いて呼吸を荒らげていれば、周りの視線が僕に向くのは間違いない。


「ふざけんな!」

「軽く殴ったけど、その傷は……あっ」

 言ったな。皆の前で殴ったと。

 僕は、ニヤッとおばちゃんに見られないように表情を見せた。


「おばちゃん、先生を……っひ…ひ…」

「酷い人達だね、全く!」

 まぁ、仮に加害者が泣きわめいて同情を求められると積むかもしれないが。


「先生って誰呼ぶんだ?」

「こんな騒ぎだし校長呼ぼうぜー。」

「面白そう……校長だ校長!」

 しかし、ここまで騒ぎになるとは思わなかった。僕は、見世物にされたような気分で上の生徒達を見上げた。


 ま、証言者は多い方がいい。この絵面だと数人が僕達をいじめているってなるしな。



「何ですか! この騒ぎは……」

 暫くすると、色んな先生が生徒やおばちゃんに呼び出されてやってきていた。ちなみに担任は後ろの方で頭を抱えている。


「保健室に行くわよ。君たちは担任の指示に従って生徒指導室に!」

「君たちは授業に行く!!!!」

 先生達が焦りながら生徒を帰らせ、僕達3人は保健室で手当を受ける事になった。僕は、切り傷と軽い殴られた時の怪我。佳奈達は引っ掻き傷だな。



「あの……彼らが正直に来るなんて思っているんですか? 今すぐ彼らを呼んでください。」

「いや、それはだな」

 担任が面倒くさそうな顔をして答える。関わりたく無かったという顔だ。



「私は思いませんけどね。 」

「お前なぁ……」

「頼むから面倒事を起こさないでくれ。将来、色んな事があるんだ。我慢しなきゃいけないこともあるんだぞ??」

「私はそうは思いませんけど。どうして、これが不正解なんですか?」

 この論争で先生の考えをあぶりだす。


「それは……」

「学校の方針ですか? イメージですか?」

 正直、負けるつもりはない。


「……大人としてだ。」

「「いじめ 」というより、普通に犯罪だと思いますけど。」



「大人は、犯罪をされても我慢するんですね?」

 この先生も何かしら苦労はあるんだろう。しかし、もみ消されるのは絶対に阻止する。



 僕は、佳奈と打反に目を向けた。

「彼女達がされた事は、明らかに人間の尊厳を汚されてます。」

「全く、面倒くさい生徒が来たもんだな。なんで彼らだけの問題に首突っ込んだんだ。関係ないだろ。ことを大きくして楽しいか?」

 先生の言葉が荒々しくなっている。こんな考え方のやつがいるから自殺もいじめも無くならないんだ。


「簡単ですよ。」

 僕は、先生の前に1つのスマホを置いた。カメラの画面が続き、シャッターマークの中に赤い四角が光っている。


「こいつ……」

「弱い立場の人間が隠れるのはおかしいと思うから手を貸すだけです。自分はこのおかしいという感覚を信念を貫きます」

 僕はボタンを消し、ロック場面に戻って左右にスマホを振る。


「速く消しなさい。」

「何でですか?先生は正しいと思っているんですよね」


 無言でスマホを取り上げると、僕に画面を見せてきた。

「速く…暗号を……っ!?」

  途端


 カタッ



 床に落ちたスマホのカバーには、僕達以外が写ったプリクラが貼っている。

「……………。」


 先生は声が漏れていた。

「ごめんなさい。私、暗号知らないんです。だって……私のじゃないので。」



 そう。あの時、彼女から取りあげていたスマホだ。

「窃盗くらい、アイツらと五分五分ですから罪に問われても私は気にしませんよ? ロックを解除したいなら……分かりますよね?」

「………っ。」


「私は手段を選ぶ気はありません。では、今すぐ生徒指導室に行きましょう?」



「「皆で。」」

 先生がうつむき頭を掻きながら部屋から出ていった。その様子を僕達は静かに見つめていた。

「ちなみに警察に呼ばれても構わない。僕達の話は聞いてくれるし証拠もある。」

「諸刃の剣ってやつだな。安心しろ、俺も庇うから!」

「ごめんね、カッター……の事。」


「多分、呼ばないから安心しろ。次は、これまでの全ての点を繋いでやるよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ