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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界でまた

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4章 13話 最終手段

佳奈のいじめを解決する事になった僕(彩夢)は、佳奈の友達(零)として女になり学校へ侵入する。


そして、おそらく主犯のスイと佳奈の話し合いが始まった。

「私はっ……こ、この学校で……ふつうに暮らしたくて……こ、こには思い入れがあるんです! それでも、貴方達が怖くて……もう駄目だと思った時に零ちゃんと出会ったんです!」


 佳奈は、これまでの事を吐き出すように言葉をだした。。



「まぁ、そもそもここに転校する予定だったからね。」

 今はあくまで中立を装わなければ。僕は軽く促しスイに促す。



「ということだから、これからやめてくれないかな? もし、何か佳奈がしたとか、気に入らないことがあれば聞くけど。まぁ、何でも話聞くよ?」

 次は、スイの言葉から切り口を見つけ出す。


「……っ。」

「ないの?あんなにしてたのはただの好き嫌い?」


「あっ……あるわよ! そう、あるわよ! 1年の最初にコイツに話しかけただけでずーーーっと友達だと思い込んで、粘着してきて!! キモイのよ!!」

「――っ!」



「…………」

 人は焦ると、言葉を選ぶ暇もなく口走る。焦らせてしまえば、スイの心の内を全部聞けるだろう。

 佳奈には少し悪い気がするが今は耐えてもらうしかない。ちゃんと解決はするし、佳奈もスイの気持ちを知っておく必要がある。



「どんな時もさ! コイツに話しかけてあげても、うんとかすんとかしか言わないし!! 話す話題がない癖に! 数分しか自由時間が無くても私の机の近くに走り込んで、座り込んで!! ずっと沈黙よ!? 意味が分からないわ!」

「……っごめ。」


「机にベタベタ触るな!! 1人にさせてよ!! もう、本当にウザイ!!!!!!!!」

 スイの魂が込もった言葉だった。……彼女の余裕のない表情を見る限り真実だろうな。



「そうだったんだね。何も知らずに責めてごめん。」

「……?」

 スイは、僕の同情に驚いていた。


「確かに私も貴方の立場だったら嫌かな……って思ったから、大変だったね。」

 僕は、スイを軽くなだめた。次は佳奈だ。


 ポケットから震えながら何かを取り出した。細長く光る物……これって。


「待て!」

「………っ」

 瞳孔が開き震えながら、彼女の胸にはカッターの歯が向けられている。やりすぎだ。

 彼女は、少しずつ遠ざかっていく。そして、歯を自分にあてた。


「待て、頼むからっ! 私が、僕が悪かったから!」

「ごめんなさい、ごめんなさいっ…」



 駄目だ、間に合わないっ。走り出した時には、ナイフは肌に突き刺して……

『……』


「……!」

 何かが背後から入ってきた。この心が沈むような感覚、安心感は、


「なんで」

 その瞬間、ナイフが自分の役割を放棄したように肌を突き刺し切れずに手から離れ地面を転がった。

『アラストリアッ……』

『我のことはいい。あの女をどうにかしてやれ』



「佳奈。和解するのに必要だったんだ。分かってくれるか?」

「…っ。……、、」



「自分の命を盾にした所で佳奈の未来は良くならない。 今、君がやるべき事は1つしかない。」

「――」


「そのカッターを渡して。しないなら私はこの場を離れる。」

『すまんな彩夢。遅くなったな』

 全くだよ。まあ助かったけど。



「……ご、ごめっ……なさい。」

 僕に怯えるようにカッターを震えた手で渡された。



「ねぇ佳奈。今の話しは本当? 何も言わないから。」

 僕は、佳奈の近くで寄り添い背中をさすった。


「大丈夫。」

 佳奈は、僕の言葉を聞くとコクっと首を縦に頷いた。


「……じゃあ、少し気をつけてみよ。1人で過ごすのって寂しいし、きっとスイさんが好きだったんでしょ? 」


「うん」

 佳奈は、泣きながら首を縦にふった。


「だからってベッタリは駄目だし、距離感は人によって違うから……付き合い方って難しいよね。」

 ちなみに僕は、距離感が分からなくなってボッチだった。でも、佳奈はやり直せるんだから、今から向き合えば良い。


 僕は佳奈を落ち着かせながら座らし、カッターをポケットに入れた。刃の切れ味はよく、掠っただけで指から血が流れている。危なかったな。



「で、スイさん。彼女は気をつけるみたいだし、溜め込んだこと吐き出してスッキリしたでしょ? だから、彼女を視界にいれるくらいは許して欲しいな。」


「……私も強く言い過ぎたわ。ごめんなさい。」

 スイも顔を逸らしながらも静かに頷いた。



「じゃあ、これで解決だね。」

 僕は、パチッと手を合わせて喜んだ。僕としては、数ある対策のうちの1番平和な解決を使えて安心している。


 やはり強引にしなくても……分かり合えるものだな。中立を語っていたアイツらに見せてやりたいくらいだ。

 



「おいおいおい、プランが違うじゃねーか。」

 と、思っていた矢先


「……っ。」

 スイの後ろのチャリ置き場から声が聞こえてきた。この声はクラスのやつか。こそこそ隠れて聞いていたのかよ。



「コイツを先に沈めようって言ったじゃねぇか。」

「そうよ、そんなやつに主導権握られるのはたまったもんじゃないわ。」

「よくもクラスを変えやがって!」


 僕は、佳奈の前に立ち首を傾げる。

「変える?貴方達が変にしてただけだよね? これが普通だよね?」

 もう、内心口調が分からんくなり混乱していた。僕は、地味に口調を変えながら煽っていく。



「もうコイツぼこそうよ〜! 調子乗ってるしさ。」

「そろそろ分からせたら?」


「調子乗ってるのは君たちでしょ? …何言ってんの。」

 5人相手に煽るのは不味かったか気が。僕は、渋々と答えながら動きに構えた。多分負けるだろうな。

 スイは端によって見ている。少し迷っているような表情で。



(助けてくれてもいいんだぞ?)

 僕の視線に気づかれる事なく、男が僕に向かって拳を向ける。


『アラストリア、このボイスレコーダーは目に見えないものにする。』

『……筋が通ってないぞ』

『物は見える。からの概念の破壊だ。』

 僕は、録音機を草むらに向かって投げ捨てた。落ちる音も何も聞こえないまま草むらに落ちる。


 まぁ……こっちはサブだし、打反が持っているのを守りきればいい。



 ガッ

「ざまぁない…っ!?」

 僕は、男に頬を殴られた瞬間に腕を掴み、急所に蹴りを食らわせる。


「ゴフッ……」

 大体、中身は男だが外見は女なんだぞ? 思いやれよ。腕を触った感じ何か競技をしているみたいだ。スポーツマンシップの欠片も無いな。適当に肩を踏むと痛がっているし野球か、ラグビー?……投擲?


「――っコイツ!」



 もう1人の拳も逸らし腕を撫でる。そして、女子組の方を見ると2人がスマホをカシャカシャ撮っていた。


「速く勝てよー相手女子なのにさ~」

「よっわー」

 僕は、ポケットから魔鉱石を取り出した。カッターに指があたって少し痛むが気にしてられない。


 ザッ

「キャあ!」

 2人に石を投げつけて注意を引き一気に詰め寄った。


「はっ!?」

 1人のスマホを上に蹴り飛ばし、飛び上がってスマホを奪う。


「これは私が預かるね。」

「…っ!くそ!」

「ミサの返せよ!!」

 これで証拠が取れる。思ったよりバカで助かるな。あと地味に身体能力が上がった気がする。


 あとは1人。

 僕は、真鉱石を拾い周囲を確認する。


「……おい!」

 さっきの男子2人と最後の女子が佳奈と打反を押さえつけていた。まずいな、小細工ばかりに集中したせいで。

 注意を引くべく、石を3人目の女子の靴に投げた。


「あ?」

 何か、彼らを引きつけるものは1つだけある。こうなった以上仕方ない。



「……そうそう。打反に、君たちのこれまでを録音したボイスレコーダーを渡してたんだよね。左ポケット。」

 1人の男が言葉通りにサッとポケットに手を突っ込むとボイスレコーダーが入っているのに気づき目を丸くする。


「あっちなみにサブも持ってる。さっき投げたけど」

 僕が草むらを指さすと、もう1人の男が打反から離れ必死に草むらに手をいれた。

(多分見つからないがな。)



「打破。」

 僕は打反に合図を送った。


「「火事だああああああああ!!!助けてくださああああい!!」」

「「ーー!」」

 打反と僕が思いっきり叫びをあげた。声量は、男子に手伝ってもらうのが正解だな。周りの人間がびっくりして距離を取っていた。



「ふざけんな! クソ!」

「どこにあるんだよ!」

 周りは、叫びにつられるようにザワザワと雑音が鳴り響く。

 結局、最終手段を使うしか無かったが。こいつらの人生は終わらせた方がいい。


 壊されるボイスレコーダーを叩くと反応がない。器物破損されたとはいえ、ウィストリアさんに謝らないとな。

「101.102.103……」

少年は黒いモヤをナイフで切り開いていく。


「あの……クロクさん。」

「これで、104!!」

クロクのナイフが動くたびに風が吹き荒れ黒い影は消えていく。


「何?」

「あの……なんか大変そうな事に。本当に大丈夫なんでしょうか…?」


「まぁ大丈夫でしょ、彩夢には僕達にない力があるし。それにしても…君も大変だね。」

「……っ」


「死んでもなお、自分の娘の為にここに居続けたいなんてね。」

「でも、本当は……ダメなんですよね?」


「ま、その話は天界で聞くよ。人間の事はよく分からないけど、今は……見守ってあげた方がいいんじゃないかな。」

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