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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界でまた

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第4章 12話 迷いと最期

佳奈のいじめの件を解決して欲しいと頼まれた。僕は友達として女装しながら学校に乗り込む。


僕の動きにより、仲間は増え学校の雰囲気が変わっていった。そんな中、急に問題児であるスイから呼び出された。

「で、話って何かな?」

 スイに「一人で来い」といわれ僕は仕方なく裏庭に来ていた。日の光はなくジメジメして気持ちが悪い。



「あのさ、いい加減ウザイんだけど。」

 スイやその他のクラスから睨み付けられる頻度が上がっていた。多分、嫌悪感がどんどん大きくなっているんだろう。


 今更言われてもって話だが。


 僕の動きによって教室はこっちのものに傾いていく。当然、勉強なんてやらず遊び呆けたコイツらの居場所がなくなるのも時間の問題だ。



 当然、次に相手がやることも予想もついている。

「なーんだ、私忙しいから。じゃあね!」

(コイツらは元凶である僕を潰しに来る。)


 今まで大きな動きが無かったのも嵐の前の静けさだろう。なら、ここからは基本的に接触を避けて危害を流すのが正解だ。



「はっ?」

(本当はスイがこっち側に来て情報の1つや2つ渡してくれたら嬉しいんだが)


 大体、集団での問題行動は一人一人の視野が狭くなっている傾向がある。そして、環境、関係の固定……による肯定と安心感。


 そして、対象を作る事で愉悦と快感を味わえる。かつ、話題が対象になることで話のネタに困らず悪口を言っていれば関係が壊れる事もない。


 悪いが、ほぼ洗脳状態で正悪の判断がつかないやつにやる事は1つだけだ。

(佳奈の報復を受けてもらう。)



 悪いが証拠は沢山作った。もう逃げ道がないくらいにはな。

「待って!」

「何? もう貴方の愚痴は聞きたくないんだけど? 」

 僕は面倒くさそうに首を傾けた。



「前、言ったよね! 手段は選ばないって……何する気!?」

 スイは焦りながらに僕を呼び止める。


「自己保身しか考えてないんだね。」

「何よっ」

 僕は少しづつでも言葉を引いていく。



「まぁ、もし言ったら脅しになるから言えないかな?」

「……っ」



 軽く煽りを繰り返し静かに息を吸った。

「お前らが佳奈にした事が返ってくるかもね。」

「ふざけんな! そんな事出来るわけ!」


「まっ出来ないけど。」

 僕はニコッと笑顔をみせる。相手からしたら頭が読めなさすぎて気持ちが悪いと感じられているだろう。



「……?」

 スイは、緩急に反応出来ず呆然と僕を疑問と不安の目で見つめるしか無かったようだ。ただ言葉を理解しようと上の空になっている。



 暫くしてスイが落ちつくのを見計らうと僕はまた口を開いた。


「でも、本当に出来るかも?」

「……」


「もし私に協力してくれたら教えるよ? あと、少しいい事があるかもね。」

「馬鹿らしっ」



 僕はそれ以上言わなかった。いや、どちらかというと迷っていた。本当に実行してしまうかどうか。


 確かに証拠は揃えた。もし、本当に成功すれば佳奈は危害を受けないし抑止には大きな力を持つ事になるだろう。


 だが……それは、佳奈にとって本当に正解なのか?



 した事とは言え、そこまで僕がしてしまっていいだろうか。引っ掛けにいく僕達にとってもリスクがあるし。


 昔ならどうでもよかっただろう。人を落としいれる為なら手段を選ばなかった。

 でも、これは僕の場合だ。


 この世界を生きていくのは、佳奈自信。



(「希望が……まだ頑張ろうって思えたんだ! 私、ここを卒業して笑顔で終わりたい」)

 ふいに佳奈の言葉が思い浮かぶ。佳奈がしたいのは復讐じゃない。ただ笑顔で学校を暮らしたいだけだ。



  また困難があった時、佳奈が生きていく為には僕だけで解決するのは駄目だ。今は僕だけで動くべきじゃない。


(よし。)

「まぁこれまでの事は全て妄言だけどね。佳奈に危害を与えないならそれでいいから。」

「じゃあさお前ならいいの?」


「私は受けて立つよ。」

 僕は、これまでの曇りきった目で睨みつけた。



 そのまま、立ち去ろうとしていると、

「まっ、待って!!」


「――っ佳奈?」

「…は」

 物陰から何かが凄い勢いで飛び出してくる。


「佳奈、なんで」

 さらに遠くには打反が潜みながら目を光らせている。何かにつられるように視線が下に移るとブレスレットが点滅していた。



「これは」

 何となくだが分かった気がする。

 打反は全体的に話を聞ける立ち位置。今頃、僕の事を話題に出すやつもいるだろう。つまり、佳奈にスイに呼ばれて話し合うことがバレたか。


 僕は、打反に視線を送りながら髪をかくフリをしてブレスレットを耳に近づける。

「どういう事だ?」

「俺達は高校生なんだぞ? 俺達の為に色々してくれてんのを見るだけなんてごめんだ。」


「確かにそうだな。」


「佳奈には前から頼まれていたんだ。もし、私のせいで零さんに何かあれば知らせて欲しいって。力になりたいって」な



 なるほど。で、力を貸しているという訳か。

「何よ? 急に。」

「零ちゃんに何もしないで、ください!」



「は? 調子にのんなっ」

「――!」

 ガシッ


 僕は殴りかかったスイの腕を受ける。

「お前の人生の最期のチャンスだ。」

「――!」

「分かってるんだろ? 私が何をしようとしているか。」


「……っ」

「妄言が実現しないように行動した方が懸命だと思うよ?」

 俺は笑みを見せながら佳奈とスイを見合わせた。



「私は中立。というか大体黙ってるから。好きなように話し合ってよ。」



(――俺達は、中立だから。)

 俺はあの景色を、お前らを忘れる事は無い。



「大丈夫。」

 俺は俺のやり方で本当の中立を示してやる。

屋上で、金髪の少年が黒い羽根を拾った。


「ここか彩夢が居るのは。最近の町は何もかも変わっているね。」

「………。」


「僕も君を保護した以上はしないとね。それに、アラストリアも返さないといけないし。」




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