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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界でまた

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第4章 11話 切り開いていく未来

マリと使い魔は冥界へ帰っていった。

マリは集会に行き、使い魔はハカセの元に向かおうとしていた。


一方、彩夢は佳奈からいじめを解決して欲しいと依頼を受けて動き始める。

環境を直す中、危害を与えるスイと接触をはかる。

 〈冥界〉

 首都 アンシェル


「はい。今からそちらに向かう予定です。ついでに少し診てもらいたくて…」

「あぁ、待ってる。それにしてもお前と会うのは久しぶりだな。」


 使い魔はスマホで連絡をとりながら路地裏を歩いていた。道にはゴミや血に黒い液体が飛び散っている。

 この世界では、長い年月をかけ罪さえ償えば生前のように普通の生活が約束されている。それでもこの世界は永久的に争いが耐えることはない。



 なぜなら

「いやあああ!! 助けて!!!!」

「ーーっ」



「すみません切ります。」

「あぁーーそうだ、またお前みたいなやつが出てきたらし」


 ピッ

 使い魔は、スマホを影に投げ込み自らも飛び込んだ。


「いや! せっかく自由にっなったのに! 離してぇ、いやっ」

「クラウシャドを保護しました。変に刺激して暴走させるよりはさっさと殺す方がよいかと」


 女は合図を送り、男は反応するように少女を押さえつける。女は冷気を放つ刀を少女へ向けた。

「いや、いやっ、まだ! 死にたく……ないぃ!!」

「黙れ化け物。今すぐそのソルスを砕いてやる。」


 女は頭を踏みつけると少女の胸を目がけて振り落とされ

 ーガシャ!


「ーーお前は!」

「……っ」


 頭の重いものが消え少女がパッと頭をあげた。視界には迫っていた刀が空を飛び、抑えつけていた男は壁にたたきつけられている。彼女の目には重そうな銃を抱えこんだ使い魔が静かに立っていた。


「あぁ。これはこれは。「たまたま」拾われて運良く生き残った「殺処分対象」の化け物さんじゃないですか。」

「彼女は姫の権限を持って保護します。どうかお引き取りを。」


 使い魔は少女を立ち上がらせて目で道筋の合図を送った。

「速く」

「ぅん。ありがとう。」


「せっかく邪魔な存在が消えると思ったのに。お楽しみすらも無くなってしまった。マリさんさえ居なければ、お前みたいな危険分子もこの刀で出来るんだがなぁ? 」

女は首を切る動作を使い魔に見せる。



「そうですか。」

「いいか? あの少女も、お前と同じ「クラウシャド」。いつか歯止めが利かなくなって暴走するのが運命だ。」



「……」

 使い魔は話を聞かずに銃を影に放り込む。女を見ることなく彼女を追うように影を引きずりながら後を追う。


「まぁ、困るのはマリさんだ。だって、いつかお前が」



「マリさんを。「主を」殺すんだからなぁ!!??楽しみだよ、あの人の考えが裏返る日をっ」

 使い魔は沈黙しながら視界から消えていく。



「楽しみにしているよ。失敗作。」


「……」

(…………ヒメ)

使い魔は重い足で彼女の元に向かった。



「逃げられた。主ぃどうするよ?」

「そんなこと言われてもマリさんには逆らえんし仕方ない。今から報告にいく。」


「承知!」

 女の傍にいた男は黒馬のような姿になり、女は飛び乗った。



使い魔が歩いていると、ゴミ箱の横で縮こまった少女がいた。彼女は使い魔を見ると安心したような表情になる。


「あのっ……さっき、ありがとう」

「怪我は無いですか?」


「うん……」

 銀髪に黄色のメッシュが入った少女は頭を下げた後にしがみついた。



「貴方も髪色が混じってる。仲間!」

「はい。おそらくそうですね。」

使い魔は笑顔で彼女の顔についた泥を拭き取った。



「……どうして貴方は捕まらないの?」

「私は、ある方に拾われて使い魔になった身ですから。」



 使い魔は路地裏から広い場所にでると彼女を椅子に座らして影に手を入れる。

「いちよう聞きますが、帰る場所は?」

「ない。そんな場所。私がこんな姿だから」


 少女は黄色の髪を引っ張りながら泣きそうな表情で下を向いた。涙をギリギリにこらえながら、すがるように見つめた。



「貴方様に1つ提案があります。」

「なに?」



「貴方様が、契約者を求めているのか。自由に生きる居場所を求めているのかは分かりませんが」

手の平から黄色の飴を取り出し彼女に渡し、髪の毛を引っ張る彼女の手を止めた。


「少しの間、保護対象として魔力の使い方やコントロール制御を学んでみませんか? 暴走する確率は低くなりますし、なんといっても二度と追われる事が無くなりますよ。」


「そんなのあるの!?」

 使い魔の言葉に少女は目を輝かせる。



「私の主が作った制度です。私達のような存在でも生きていけるようにと」



 少女の頭をなでながら子ども達が写った紙を見せた。

「基本的に無知に魔力を使わなければ狂獣化はしません。悪い話では無いかと。」


「こんな醜い私でも、必要ない私でも普通に生きていける?」

「はい。主はそのためにこの場所を造ったんです。どうしますか?」



「あっはい!! お願いします。」

「分かりました。では、ついてきてください」


「うん!!」

 少女は耳の生えた白い獣になり使い魔が作った影に飛び込んだ。



 〈現実〉

「ねぇ、話があるんだけど。」

「は?」

 僕は佳奈と一緒にスイに声をかけていた。スイは化粧をする手を止め威圧的な表情をする。



「少しだけだから」

 皆の視線を感じる中。僕は何食わぬ顔で外に連れ出した。


 昼休みでザワザワうるさいので他の部屋に連れてきた。こっちの方が話しも聞かれないしな。

「で、何?」

「ねぇスイさん。いい加減、嫌がらせを辞めてくれないかな?」


 とりあえず今僕がすることは「話し合った」という事実を作る。そのために教室内で呼び出したし、人が出来るだけ多い日、時と場所を選んでいる。


 流石に最後の選択くらいさせてやろう。計画通りにいけば将来も大変だしまだ戻るなら佳奈は許すだろう。容赦が無い事をこれからするという最後通告だ。



 あと佳奈が普通に暮らせるように出来るだけ手は回しておかないとな。

「はぁ? したっていう証拠あんの?」



 彼女はニヤニヤしながらも佳奈を睨みつける。

「そう。まずは否定から入ったらどう?」



 次はキッと僕を睨みつける。

「別に私だけじゃないでしょ!? ウザいんだけど、こいつもお前にくっついてばっかだし。……キショ」



「――っ。」

 佳奈は、僕の背中に隠れそうになっている。


「私の要求は1つ。やめて欲しいだけ、直ちに。机に文字書くわ、接着剤貼り付けるわ……言いたい事あるなら言いなよ?」

「ただウザいだけよ! ノリが合わない存在ってイライラする!あぁ。視界に入らないでくれたらしないわよ。」



「そ。なら、こちらも手を打たせてもらう。君が……君たちがその調子なら。」

 僕は部屋の扉を見ると何人かの影が聴いているようだった。まぁ、いちいち話すよりは効率がいいか。



「何度でも言う。こんな惨めな事を続けるな。」

 僕は佳奈と共にスイの隣を通り過ぎた。あいつらの事は見えないフリをしてやろう。僕は通り過ぎるタイミングで喉を細めた。



(……また、話そう。何か苦しそうだし。)

「――っ!」


 これで少しくらいは切り口が開けるはずだ。今は待つしかないな。



「なぁ、見ろよ。アイツポケットに」

「あんな威圧かけてきやがって、なんかあれば使う気だろうな。」

「壊す!? 壊しちゃう??」



何か言っているが小鳥のさえずりだろう。ほっとこう。

 それから、少しづつ教室の雰囲気は変わっていった。当たり前のように先生が来て、うるさい奴らは出ていった。



 暫くすると、何人かは教室に残るようになっている。

「……これまでごめんね。」

「いいよ。それに、しゃべる人が増えて嬉しいな…」


 佳奈は、少しづつ話せる子が増えていた。しかし、問題児がくればあちら側につくのは変わらない。


 今回は歳が十分だし集団が相手だ。前のように空気を変えるのは難しいしリスクがある。それは既に無意識に加担していて感覚が麻痺してるから。


 今、誰かが声を上げても皆が動くとは限らない。



「あんた! 最近噂の転校生じゃない。」

「こんにちは事務のおばちゃん。」

 おばちゃんは、前と同じように花に水をあげていた。


「なんか、あったらいいなさいよ! あっそうそう実はね、前火災が起きた時におばちゃん助けたのよ!でね」


 僕は、おばちゃんとも関係を持つことに成功した。大人を丸め込めば込む程僕にとっての手札は増えていく。そんな腹黒い事もおばあちゃんは気づく事もなく飴をくれて満足しながら帰った。


「これはグレープ味だな。」



 そして数日後

「何?」

「少し話しがしたいのよ。」


 あのスイが僕を呼び出した。

「あの使い魔様。お名前ってあるんですか?」

「無いです。」


「どうしてですか? 使い魔なら」

「後で分かりますから。あんまり自分で言いたくないんです。あと……そんな呼び方しなくていいですよ。」

「じゃあ、にぃに!」



すみません、遅くなりました。

話は変わりますが、1日の間に100PV達成しました。ありがとうございます。

まだ、編集しきれていませんが、少しづつ最初の方は時間を見ながらなおしていきます。

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