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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第三章 精霊界徘徊編!

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第3章 28話 帰還

僕とクロク。そして、マリと使い魔さんのおかげで精霊達を助けることが出来た。


…そして、帰ってきたが


(今回、時期が遅れてます。…許してください。)

 眩い光から暫く経った。ゆっくりと目を開くと僕達は森の中にいる。

「ここが天空?」

「恐らく。」


 確か……僕が倒れた後にカクラジシが首元を咥え、引きずられながら森の中に入り精霊界に行ったはずだ。という事は何処か歩けば天空の町はあるだろう。


 天空に来たのはいいが森…森……森。ぐるぐる回っても光は見えない。


「ピーちゃんっ?彩夢ー」

「いる。輪郭くらいしか見えないけどマリだな。」

 僕はマリの声のおかげですぐに合流できた。


「僕も探……」

 とりあえず1人も欠けずに動こう。僕もマリに協力していると何かを踏みつけた感覚があった。


 暗くてよく見えないが小さく息が聞こえてくる。

「使い魔さん?」


 とりあえずマリを呼び確認をしてもらおうとした。すると、彼だったようで嬉しそうに抱きしめる。

「ぴーぴっ!」

「ピーちゃん!!色々と大変だったし疲れたみたいね」


 マリはヒヨコをすくい上げるとコソコソと、自分の胸元にスっと置いたようだった。

「これで良し!」

「駄目だろ。」

 流石に可哀想じゃないか?いちよう男っぽいし。まぁ、狭い事は無さそうだが。



「大丈夫!これまでずーっとこうしてたんだし、人間の羞恥心なんて分かんないわよ。」

 僕の様子を察したのかマリは大丈夫だと説明してくれた。そういうものか。これがカルチャーショックかもしれない。



「よーしよし」

「ぴぃ」

 マリはヒヨコの首元を撫でると気持ち良さそうに眠っていた。確かに嫌がる素振りは無いし慣れてるみたいだな。



「じゃあ大丈夫か。」

「ねぇ、それより速く出ましょうよ。もうこんなに暗いし何か出たらどうするの!?」

 今も暗いが……これからもっと暗くなるはずだ。確か天空は現実の6分の1。


 つまり夜も長いという事だ。

「うーん、ちょっと待ってなさい!!」


 マリはトントンと地面を叩き何かをすると、鎌が地面から浮かび上がってきた。



「聞こうと思っていたんだが、それどういう原理?」

「えっ?」

「その地面を叩くやつ」

 僕がそう言うと、あーこれね。と彼女は笑った。


「冥界人は魔力が少ないの。だから、下に眠ってる魔素を魔力に変換させて補ってる感じね!」

「…?」


 魔素を魔力に変えて鎌を作ってる?それとも移動的な?意味がわからず首を傾げて鎌を見ていた。


「多分話すと長くなるわ。とりあえず今はこの状況を何とかしましょうよ。」

「それもそうだな。」

 さてどうするか。


「ちなみにその鎌は?」

「護身用」

「あぁなるほど。」

 まずは僅かしか見えないし明かりが欲しい。


「前みたいに炎を出せないのか?」

「……火を出すくらいは出来るけど。」

 マリは地面に鎌を突き刺すと座った。



「暫くしたら出来るわ。あとは方角さえ分かればいいんだけど」

 マリは鎌を持ち上げると鎌に火が灯る。周りが明るくなり、狭い範囲なら視界がはっきりしていた。



「じゃあ場所を見てくる。」

 とりあえず木に登って光を探してみよう。確か、街には灯りがある。僕はそこら辺で1番大きい木に手をかけた。


「ちょっと待って!」

「ん?どうしたんだ?」

 マリは慌てて僕の腕を指差した。


「何か光ってる。」

「――っ?」

 奈美から貰ったブレスレットだ。確かにほんの少し光を放って点滅しているような。



「あれ?前はもう少し強く光った気が」

「そうなの?なんか彩夢が寝ている時も光ってた気がするわ。」

 おそらく、その時に声を残していたのだろう。ブレスレットに念を込め声を聞き出してみる。


「…さん!おにいさーん!!」

 弥生の声と、後ろで騒がしい音が聞こえる。


「弥生?」

「あのね!きょう、クリスマスだからケーキかったんだ!まだかえってこれない?」


 …………。


「彩夢?」

 ブレスレットで弥生に繋げるとすぐに反応があった。


「おにいさん!?」

「弥生、帰ってきたよ」

 そう言うと弥生は嬉しそうに喜んでいた。


「ずーっとまってたんだよ!!」

「悪かった」

「はやく、かえってきてよ! ずっとじゅんびしてたんだ!」

「帰りたいんだが森で迷子だ。」

 そういうと、弥生が隣で誰かと話していた。


「いまからカクラジシがむかえにいくって!」

「そうか。火を持っているからそれを目印にしよう。」

「うん、待ってるからね!」

 ブレスレットから光が消え通信が切れた。



「便利ね、それ。」

「電話代わりだ。無線でも繋がるしな。」

 その時、ザッと音が聞こえた。


「何よこの鹿!!」

「……?」

 多分カクラジシだ。だが、僕には見えないのは何故だ?


「ほらっ鹿がアンタの腕に鼻を当てているわよ!?」

「だから何言っ……ん!??」

 いつの間にか、僕の腕にカクラジシが何かをしているのが見える。確か、クロクに何か書いて貰った所だ。



「これで見えますか?」

「カクラジシさん!」

「良かったです。この術式は訪れる場所に合わせて切り替える事で身体を無理やり対応させたみたいですね。」

 簡単に言うと、精霊と喋れたり純霊が見えるように身体を精霊界に対応させていたらしい。天空では魔力の流れや言葉が全く違うので反応出来なかったと。


 カクラジシから説明を受けていると、マリは腕をジマジマと見た。

「これ。すっごく複雑じゃない。天界の魔法技術は凄いのね。」

「誰ですか?……貴方は」

 カクラジシは急に現れたマリにびっくりしていた。


「後で、皆に紹介するので今は帰りませんか?」

「そうですね。色々と気になりますが旅の話は後にしましょう。」

 そして、マリと一緒にカクラジシの背中に乗り天空に帰ってきた。



「おにいさん!」

「彩夢くん! お帰りなさい!」


「ただいま戻りました。」

 町がみえてくると、門の所でスプラウト達が待っていてくれていた。


 スプラウトは僕の後ろにいたマリを見て首を傾げる。

「貴方は?」

「私はマリで、この子は使い魔のピーちゃんよ」


 マリは胸元からヒヨコを指差した。

「――っ!!」


 スプラウトは目を丸くする。

「かっ可愛いいいい! えっ可愛いすぎませんか?この子っぜっ……是非! 触らせてください!」


「えっ?」

 スプラウトの反応を見てマリは酷く驚いていた。


「べっ別にいいけど」

 何故か手を震わせながらヒヨコを取り出し手渡した。


「さっ触っても?だっだだ、抱っこしてもいいですか!?!?!?」

「どうぞ。」

 その瞬間、スプラウトは目を輝かせながら抱きしめ、頬をヒヨコに擦り付けながら撫でていた。


「もふもふで可愛いいい!」

「………」

 マリは言葉を失っていた。



「おにいさん、あのひとたちなに?」

「僕に協力してくれる仲間だ」

「へぇ!」

 そんな話をしていると、ヒヨコはハッと目を開けた。


「…ぴ!?」

 驚いた使い魔は、バタバタと足を動かし腕から離れる。



「わっごめんなさい、駄目でしたか!?」

 ヒヨコは男の姿になりマリの後ろへと逃げた。


「姫っこれはどういう状況ですか!?」

「ひ、ヒヨコが男の人に!?」

 スプラウトは目を丸くして驚いていた。



「ピーちゃんもう少し様子を」

「ですが……姿を見せてしまいました」

 2人はコソコソと話しながら、恐る恐る使い魔はヒヨコの姿になった。


「わあああ! 不思議なヒヨコですね!! こっちおいでーピーちゃんー!」

「ピッ!?!?」

 スプラウトの様子にヒヨコも驚いていたが、仕方なさそうに手に乗り撫でられている。

 カクラジシは、感動しているスプラウトと弥生を静かに眺めていた。



「どうしました?」

「いえ…何でも」

 カクラジシはゆっくり歩きスプラウトの元に行く。


「早くあのケーキを食べませんか?変に場を取りますし」

「あっそれもそうですね。」


「ぴぃ」

 ヒヨコは手から離れ、男の姿に再び戻った。



「もし良かったら、ピーちゃんさんとマリさんも一緒にたべませんか!?」

「いいの?」

「勿論!食べる時は沢山いる方が楽しいですからね!」

 スプラウトは力強く頷いた。


「なら、お言葉に甘えて。」

「ありがとうございます」

 2人は戸惑いを隠しきれてはいないが笑顔で頷いた。ついて行くと最初にウィストリアと会った森を入っていく。


「スプラウトさん、ウィストリアさんは?」

「まだ起きていません。」


 スプラウトは少し悲しそうな顔をしていた。

「っ……」


 確か、フェアエストが「起きた」と行っていたが。まだならお見舞いくらいにしないとな。


「あとで会わせて下さい」

「勿論です! でも、今は弥生くんがケーキを楽しみにしているので食べた後に行きましょう。」

 スプラウトの提案に僕は頷いた。


「あと服がボロボロですね。後で着替え持ってきます」

「あっ……ありがとうございます」

 そういえば服が破れていた。クロク達は何も言わなかったから気づかなかったが。



「ここどこ?」

「さぁ?」

 弥生は僕の手を握って尋ねる。弥生も知らないようだな。分からないまま、ついて行くと大きな木の影が見えてくる。このシルエットは


「これっ……!」

 弥生は手に桃色の花びらを見た途端、走り出した。花びらの先はハートに割れている。


「さぁさぁ、見てください!」

 スプラウトは手を大きく広げた。あの桜の木が咲き誇っている。


「すごっーい!!! ねっおにいさん!!!」

「あぁ……」

 枝は大きく別れ、花びらが視界全体に舞い落ちていく。花びらが落ちても落ちても散る気配は無い。


「綺麗!」

 僕達だけでなくマリと使い魔も目を奪われていた。


「セイファちゃんと皆で頑張ったんですよ!弥生くんとの約束ですから。」

「ありがとう、スプラウトさん!!」

 弥生の言葉にスプラウトはにっこり微笑んでいた。


「どういたしまして。おーい、セイファちゃん!」

 スプラウトが呼ぶとセイファが一生懸命にケーキを持ってきている。3段……段が高くないか?


「ぼくがつくったんだ!」

「本当か?」

「うん。現実で、あるおねえさんとつくったんだ!」

 カクラジシがそれに同意するように頷いくと、地面に角をつけ桜の花びらのカーペットをつくる。


「さぁ頂きましょう。」

「はーい! ちょっと待ってくださいね!」

 スプラウトはケーキを一切れ残し皆にケーキを分けた。セイファはジュースを持ってくる。


「えーと、ケーキと飲み物でいいのよね?」

「はい。ありがとうございます。」

 僕も手伝いながら準備を進めていく。



「なんか季節感が無茶苦茶だけど、こういうのも良いかもね。」

「そうですね。」


「マリ、使い魔さん速く来てください!」

 僕が呼ぶと2人はすぐに輪に入ってきた。


「えーとクリスマスって何するんですか?」

「こうやって皆でご馳走を食べるんですよ。」

「色々あるんですね」

 スプラウトは興味深そうに聞いていた。



「じゃあ、彩夢!挨拶宜しく!」

「えっ?」

「おにいさん、はやく!」

 皆の視線が痛い。急な無茶振りだし、やった事ないんだが?もう、こうなったらやけだ。


「じゃあ、メリークリスマス!」

「めりーくりすます!」

「メリークリスマス!」

「うん、美味しい!!!」


「そういってくれてよかった!」

「そう…ですね」


(ケーキを買ったと思えば、莉々に会い…何故か家に連れ込まれ……まぁ色々ありましたが、今となっては楽しかったですね。)

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