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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第三章 精霊界徘徊編!

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第3章 24話 暗闇

姫との戦いで彩夢は死を前にして意識を失ってしまった。


その体を化物が乗っとりクロクと対峙するが…提案により戦いは終わった、

 ………。

 僕はいつ目が覚めたのだろうか?



 確かあの時、あの変な女の人に殺された……はず。しかし、僕にはまだ僅かに意識がある。いや、意識をもどしたのだろうか?


 とりあえず、僕は無理やりにでも目をこじ開けることにした。


「っぐ、っ……?」

 目を開けても視界は真っ暗だった。何も感じず聞こえもしない。僕が手を伸ばしても視界に手は映らない。



「………」

 その時、1つの考えが浮かんだ。

 僕は死んだのではないか?



 誰も死んだ状況を知る人はいない。何故なら、その状況を伝える事は出来ないからだ。


 天空なんて本当にあるのだろうか?僕が見たのはただの夢で死ぬという事はこういう事じゃないのか。



 僕は黒い視界を見て絶望というより諦めの気持ちが強かった。この事態を無理矢理にでも定理付けて納得する。


 もう眠ってもいいんじゃないか?僕の人生、どん底だと思っていたが後半で駆け上る事が出来た。


 自分より苦しんでいる人を見て自分の愚かさを学んだ。まだ頑張れるという希望を彼らを見て創れた。僕が欲しかった行動を共にする友達も沢山出来たじゃないか。


「………もう、終わりっ……か」

 何でだろうな?諦めていても自然に涙が出てくる。ほんの少しだけ欲を言うなら、もう少しこの生活を暮らしたい気持ちもある。


 自分が必要とされる事が嬉しかった。誰かの役にたつ事は嫌いじゃない。はぁ、どんだけ考えても状況は変わらない。


 お疲れ様彩夢。

 僕はそう言い聞かせ目を閉じようとした。


 その時だった。

「っ………?」


 虹色に光る翼が目の前に現れた。光を放ちながら僕の元へ舞い落ちてくる。僕はそれに反射するように咄嗟に手を伸ばしていた。


「――っ!」

 虹色の羽を掴んだ瞬間、視界は虹色に彩った。


『 ?? 』

『 ! 。』


「なんだ。これ」

 脳内に文字が打ち込まれていく。まるでパソコンのタイピングのようにカタカタと。


 しかし、その文字式を僕はしらない。赤い線と青い線の2本が交わったり、離れたり。そんな文字式だった。


『 ぁ あ いおえお ま …にんげ ん。 き け』

「……?っはい。」


 文字式は少しずつ平仮名になり僕にも理解出来るようになった。とりあえず回答を脳内と音声で伝える。


『お…まえ しめい あたえる 』

「んっ?」


『みらい てん ひかり したがえる おとこ ほろぼす すくえ』

「………。」


 僕はその文字を何度も繰り返し、何となくだが理解してしまった。また、変な事……とんでもない事に巻き込まれている。



『きたい している 』

「いやっあのー!無理です!!おーい!」


『いな』

「えー………」


『 』

 文字はもう打たれる気配は無かった。言うだけ言って消えていったようだ。光をしたがえる男か。


「……」

 もう嫌だ。死なせてくれ。さっきまでの生への執着は火に水をかけるように消えていった。



「もう勘弁してくれよ。」

 多分これ死んでない。と僕は何となく察した。しかし、少しだけ嬉しい気持ちがあるのも事実。仕方ない生きよう。





 一方、

 彩夢の提案にクロクは静かに頷き、この争いは終わりを迎えた。


「眠らしたはずなのに知ってるとはね。本当に君は嫌いだよ。」

「我は彩夢の声が聞こえただけだ。」


 風はただ吹き荒れ葉を散らす。クロクは目の前に舞う葉を1枚指に挟んだ。

「流石だな。」

「君も爪が甘くなったね。やっぱり、あの子に行かしたのは正しかったかな?」

 挟んだ葉は刃のように突き刺さり血を流した。



「別に。ただ彩夢はお前を気に入っているからな。今のは、ただお前の力を見ただけだ。」

「そう」

 クロクは口元を緩ませながら呟いた。彩夢は嬉しそうに微笑んだ。


「これ以上は彩夢が危ない。我がこうしているだけでも彩夢の負担は桁をはずれている。」

「そう。じゃあ、速く消えてよ。」


 そういうと、彩夢は契約(アドセント)を唱え倒れ込んだ。クロクの腕には黒く太い鎖が巻き付き消える。


「絶対にいつか倒す」

 そう呟き倒れ込んだ彩夢の手を握った。



「あの……髪の長い子何者?」

 遠くで隠れながら男と姫はその様子を観察していた。


「おそらく、天……神の類かと。神は殺せとよく言い伝えられているので攻撃に移りましたがボコボコにされました。」

「そりゃそうよ。冥界じゃないんだから、もう少し慎重に力を見てからやりなさい。」

「はい姫。」


 そういうと姫は少し考えた後に


「まぁ外なんて教えてないし、私達は天界と戦ったことがないから仕方ないかしらね」

「次は気をつけます。」

 男はポケットからメモ帳を出し今の言葉を書き込んでいた。内心、「次」という言葉に安心しながら。



「そういえば彼。私の事を知っていました。」

「え!?」

「私をぐちゃぐちゃの化け物だと言っていました。」

「……そう。」

 そう彼女がボソッと声に出した後、違和感に気づき視線を前にうつした。



「アンタ幽霊みたいね。」

「そう?ねぇ化け物さん。力を貸してくれないかな?」

 クロクは困り顔で彩夢を引きずり彼女の方を見て助けを元もた。


「ピーちゃん助けてあげて」

「はい、姫。」

 男は彩夢を抱き抱えた。彩夢の顔を見た彼女は、ん?とクロクの方を見る。


「死んでない?魔力ないし。」

「いちよう応急処置はしてる。彩夢に魔力が無いのは元々だよ。」

 ビックリした姫を気にすることなくクロクは男に道を示した。


「ねぇ。聞きたいんだけど、なんで冥界の人がここにいるの?」

「それは……」



 彼女が何か言いかけた途端

「クロクー!」

「旅の方!」


 クロクと姫の元へ沢山の精霊が現れた。ウェディはすぐに彩夢にマスクをつけ、男は不思議そうに彩夢を見ていた。


「クロク様! 彼ら悪い人間ではありません。私達を助けてくださいました。」


「……あぁ。僕が人間の対処に行ったけど誰も居なかったのは君のおかげかい?」

「えぇ。多分そうよ!」

 精霊達に話を聞いたクロクは姫に頭を下げた。



「君みたいな人間もいるんだね。深くは聞かないよ。何かお礼しよう」

 精霊とクロクは2人を小屋に入れ、彩夢を奥の部屋へ連れていった。


「ここだけは綺麗ですね。」

「使っていないからね。」

 彩夢を寝かした後、クロクは2人にこれまでの経緯を軽くおしえた。



「なるほど。この方が色々して今の状況に……」

「おかげで助かってる。」

 クロクはそう笑うと彩夢の首筋を触り脈を確認した。

「僕は今からここに篭もる。」


「その子息を返すの?……ごめんなさい。アタシのせいで」

 呟くと「別にいいよ。後悔しても仕方ないし。」とクロクは言った。



「ただその間。皆を見ていて欲しい。君の使い魔を殺そうとした僕がお願いするのも何かあれだけど」

 少し申し訳無さそうに頼むクロクに、2人は顔を見合わせて頷いた。



「それはお互い様よ。どっちにしろ死ななければ何でもいいのよ。」

「それに助けて頂きました。この恩、返させてください。」



「ありがとう2人共」

 クロクは嬉しそうに微笑んだ。

「ねぇ、化け物さん。君に名前無いの?」

「えっと、ピーちゃん…です。」


「僕を馬鹿にしてる?」

「いえっ…その…姫の名前のセンスは…壊滅的すぎて」


「何?」

「いえ…なんでも」



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