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第3章 20話 弥生編 驚きの結果

凜々の悩みを解決する為、色々と手伝った。

そして、彼女は好きな人に会いにいく。

「すきだったひとがかのじょ……」

 僕は何度も繰り返してみたがピンと来ない。どういう事だろう?



 凜々は全速力で携帯を耳に当てて走っていく。僕は必死について行ったが、姿はもう無く目の前には道が3つに別れていた。



 あれどこ行ったっけ。

「見失いましたね。」

「うん。どうしよう。」



 と思った矢先、僕達の方に凜々が走ってきた。

「あっ貴方達いたのね。助けて頂戴、迷ったわ!」


「え」

「どこ行くんですか?」

「えーっとね、商店街の花沢町だったはず」

 この人、もしかして方向音痴なのかな。前もスマホを使って歩いていたし。


「スマホつかったら?」

「ああ! その手があったわね!」


 凜々は耳に当てていたスマホを手に持ちポチポチといじる。


「あっこっちね!」

 凜々はまた走り出した。でもスマホが逆さになっていてほかの方向に走り出す。


「そちらは違いますよ?」

「じゃあ! あっちね!」


 3つの道を行き来しながらスマホの音声に従って人混みに入っていく。


「ついて行きましょう」

「うん!」

 次ははぐれまいと着いて行くと、そこには髪の長い女の人と男の人がいた。その2人に用があるらしく凜々は真っ直ぐ向かっていく。



「弥生。ここは1度隠れましょう」

「えっ……っうん。分かった」



 僕はカクラジシの言う通りにすぐさまに隠れて様子を見た。

「ねぇ……話があるの。」


 凜々はどちらかに言っている。



「あの女の人が百合狩(ゆりか)ですかね?」

「あのひとか」

 僕達が心配そうに見ていると女の人が男の人に何かを言っていた。


「百合狩待ってて」

「えっ?」

 百合狩は男の方らしい。彼は距離を置きながら彼女たちを見ていた。


「ぇぇぇぇええ!」

 もう訳が分からない。カクラジシは無反応で眺めている。


「カクラジシ……まさかこれも」

「なっ、何なくですが察してましたよ。はい。」

 カクラジシも少し眉をひそめながら前かがみになっていく。



「なんでしってるの?」

「こ、これまでの事考えてくださいよ。い、色んな所で何となーーく予兆がありませんでした?」

「何が?」

 僕が聞くとカクラジシは黙り込んでしまった。



「ねぇ……カクラジシ?」

 あったっけ?僕は普通に話を聞いていただけなんだけど、それよりこれどうなるんだろう?百合狩って人は男だったし。


 んっ?



「どうしたの凜々ー。最近、連絡つかないから心配してたんだよ?」

「わっ……私!一緒にいたいの!」


 ツリーの前で凜々は必死な様子で彼女に話していた。周りを見れば赤や白で彩られている。そっか、クリスマスが近いんだ。


「いるじゃん。ずっとね。」

 そう彼女は微笑むが凜々は何かを決心したをように声を出す。

「あのね。馬鹿だと思われても聞いてくれるだけでいいの。」

「うん聞くよ。」


「……私!ずっと前から好きだったの。貴方の事が!!!」



 …………!!!

「ぇぇえええええ!!」

「えっ?」

 僕は目を見開いて驚いた。カクラジシも少しだけ動揺したように声を出す。男の人も聞いていたのかポカンとしていた。



「すごいね」

「何でしょう。この展開は」

 彼女はなんて言うんだろう?僕とカクラジシは陰に隠れながらも首を伸ばす。


「わっ、私も、凜々の事好きだった。でも私だけだと思っていたから」

「じゃあ!」


「……うん! ずっと一緒にいよ凜々!!」

 2人はツリーの下で抱き合って笑い合う。


 一方、それを見ていた男は立ちすくした後、ハッとして

「俺……帰る…帰ります。」



 百合狩は何も考えられないような顔をして帰って行った。凄いショックを受けているように見える。



「まさかこうなるとは」

「うん。こんな事あるんだ」


「今はこういうケースもあるとは聞きました」

 カクラジシはただ2人を眺めていたが、僕はただ混乱していた。


「おとこのひとかわいそう」

「……」

 僕がそう言うとカクラジシはまた暫く黙っていた。


「まぁ……今は多様性が認められて20パーセントくらい同棲愛があるとか何とか」

「どーせいあい?」


「簡単に言うと、同じ性別でも家族になれるという訳です。」

「へぇ」


 僕はずっと狭い世界で生きていたのかもしれない。でも、あまり無いみたいだし結構珍しい事なのかな?


 恋愛ってよく分からないな

 家族か。


 あれっ家族て何?


「かぞくってわからない。」

「一緒にいて共に時間を過ごす事ですね。」


 カクラジシは僕の質問に淡々と答えていく。何故か家族という言葉に聞き馴染みがあるけど、どんなのか分からない


「弥生にも母や父……ママやパパが居るはずですよ」


 ママ?パパ?


 ……僕の記憶にはそんな家族の人は残っていない。

「おぼえてないや」


「そうですか。」

 カクラジシは少し心配そうに僕に見ている。


「ちなみに私達も家族みたいなものです。」

「ほんと?」


「はい。一緒にいるんですから、恋や同棲愛なんてしなくても私達は立派な家族ですよ。」

 そっか。皆といて毎日を過ごす。それが家族か。お兄さんも。


 ――ザッ

(……達は家族!君も前……の記憶…んて捨て…ばいい。)


「――!」

(なんでアンタはそんなに弱いの!?)


 ……っ

 嫌だ。思い出したくない。


「弥生!?」

 この声と……耳が痛くなるあの声。


「ちょっと大丈夫?」

「うあっ」


 凜々が僕を覗きこんでいる。

「ごめん。なんか……弥生には生々しい所をみせたかも」

「社会勉強にはなったはずですかね? えーと、多様性というやつです。」


 カクラジシは難しい言葉を出しながら話していた。

「あっそうだ。お礼言ってないわ。」



「色々とありがとうね。2人共。おかげで頑張れた!」

 凜々は清々しい表情だった。


「よかったね、おねえさん!」

「うん。ありがとう弥生くん、カクラジシ!」


 凜々は僕とカクラジシの頭を撫でた。

「とんでもありません。記念にでも弥生、アレを渡しておきましょう。」



 僕のポシェットに鼻をつける。あれの事か!


「はい!これ記念に」

 僕は凜々に魔鉱石を渡した。


「何これ! 綺麗」

 凜々は左右に傾けて見とれていた。もし、何かあった時用に使い方を教えてあげる。


「すごっ!流石魔法を使えるだけはあるわね。ありがとう!」

 凜々は嬉しそうにポケットに入れていた。



「ねぇ、これからも弥生くんは、また皆を助けるの?」

「うん!」

 そう言うと、彼女は、


「じゃあ、これだけ覚えといて。」

 と僕の視線に合わせた。



「案外、話を聞いてくれるだけで楽になるものよ?だから、迷ったら相手の話を聞くだけで何とかなるわ。」

「ほんと?」


「えぇ!私は聞いてくれたおかげで心が軽くなったもん。この社会、皆色々と溜め込んでいるのよ」

 凜々は僕にアドバイスをしてくれた。カクラジシもそうですね。と相槌を打つ。



「じゃあ、ありがとうね!」

 凜々は手を振りながら女の人の元へ向かった。


「げんきでね!」

「さようなら。」

 そっか。聞くだけでも楽になるんだね。


「じゃあ、帰りましょうか。」

「うん!」


「そういえば、もうクリスマスといったパーティをするんですよね?スプラウトに頼みましょうか」

「ほんと!?たのしみ!」


 この場所を少し惜しみながら僕達は天空に帰っていった。僕のペンダントはキラキラと光っている。





「弥生はいるけど、彼はいないですわね。」

「ずっと。観察をしている。なぜ?」

 そんな中、弥生達を2人の影が見張っていた。



『2人共?調子は』

 魔鉱石のような物から声が漏れ2人はびっくりしながら膝を着く。


「みっ見つかってない。ずっと。」

「申し訳ありません。弥生の確保をした方が?」


『別にいいよ。もうすぐクリスマスだし、血を流したくないでしょ? ……っという事で!君たちに休暇をあげてもいいよ!』

「――っ!」


『あっでもでも、何かをするなら成果を出す。分かるね?』


「…はっはい!」


『弥生の記憶は戻りつつある。でも、力はあのまんま。今は、彼を刺激するのは良くないかもね。』


 2人は唾を飲み込みながら声を聞く。

『……もう見る価値はない。帰っていいよ! 以上。』


 石は色を失い地面に落ちた。



「どうしますか?」

「とりあえず。休む。」

 少年はあくびをしながら背を向ける。



「そうしかありませんよね。しかし責任って? 相変わらず怖い方ですわ。」

「今は。いいんじゃない? お茶でも。飲むか?」


「ふふっまさか誘って頂けるとは。では行きましょうか」

「俺…。何であんな事に!確かに猫は被ってたけど………もう嫌だ。もう嫌だ…。俺のクリスマスがああ!! 百合なんて……認めない…認めない。」



「あの男の人、自殺しませんかね?心配になってきました。」

「じゃあ…みにいく?」


「いちよう、スプラウトに頼んでみましょうか。」

「ぼくはもうちょっと、おにいさんみたいな事したかったな…」


「色んな人がいますから、仕方ないですね。」


作者

…正直。百合ルートかよく分からないけど仲良くしようエンドか、ずっと迷いました。


とりあえず、クリスマスをする気が無いのが伝われば幸いです。来年は、どうしましょうか……

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