第三章 4話 記憶
遅くなりました
今回は短めです!
意識が戻り、暗いモヤが晴れると景色が見えてくる。でも天空とは違う。
「ここは中学校?」
看板には松瀬中学と書いている。それに、荷物やチャリも手に持っている。
なら僕の学校か。とりあえず、駐輪場にチャリを置きにいった。
(僕………何してたっけ?)
「おーい!彩夢」
曖昧な記憶に戸惑っていると、僕の元に親友の紗緒が来ていた。
その荷物にこの気温、おそらく朝練か。昔を思い出しながらいつもの様に紗緒と陸上をしに行った。
「さー陸上するか」
「あぁ!」
何か違う気がする………何か…まぁ、考えても仕方ないか。僕は陸上のグラウンドに足を踏み入れた
中学生なら密かに思いを抱いていた子もいるかもしれない。
僕は周りを見たが目立つ人影がいない。
「彩………ザッ…ザッー」
「???」
紗緒も周りの部員もバグのように途切れ始めていく。
「お前…が…ザッ…」
「何なんだよ?これ!」
僕は必死に紗緒に言っても揺すっても反応しない。何なんだ?
「原因か」
「何を言ってるんだ!?」
暗くなっていく世界に1つの人影を背後にいた。
「――っ!」
そこには、アラストリアを背後にした男の子が立っている。
「お前のせいだ」
その男の子は足と腕、頭から血が流れていた。顔は見えないがこの怪我………見た事がある。
僕が最後にアラストリアを使った事故。
「次はお前が死にかければいい」
ザクッ
アラストリアは容赦なく僕の腹部を刺した。腹部に手を当てると手には血があった。
「っ!!!」
急に痛みがっ
「ああああああああぁぁぁ!!!」
「うっ…う………うう!!!」
「大丈夫かな…?」
「チュルチョラロラロ」
「ぴぴりぴり?」
「――っ!」
僕は腹部を抑えて起き上がっていた。
「え?」
次は何だ。見た事も無い場所で僕は目を覚ましている。周りには自然が生い茂っている。見たことない植物だ。
「……」
僕の体は未だ酷く震えていた。
どうしてアイツが………アラストリアを?
それにバレていないはずだ。
「ほっほっほ。やっと目が覚めたようじゃのう」
顔を上げると、おじいさんは微笑んで僕を見ていた。
僕より少し小さくて白い髪に髭。違うところは羽がある事くらいか。
「ここは?」
「精霊界じゃよ。」
周りにいた子も羽が生えて手のひらの様に小さかった。さっき僅かに聞こえていた声も妖精だったのか。
とりあえず、これまでの事を思い出してみた。確かウィストリアを
「――っ!」
それどころじゃない。
「ウィストリアさんは!?」
「ほっほっほ。安心せい、一命は取り留めておる」
「……」
僕はただその言葉を聞いて気が抜けた。暖かい声が傷口を癒すように感じた。
「良かった。あっあと鹿」
「よく分からんが、カクラジシさんの事かのう?あの方がここに連れてきたんじゃよ。」
あの鹿はカクラジシというのか。その言い方を見るにあの鹿がこれをやったのか。
「なぜ僕をここに?それに今すぐにでもウィストリアさんの様子を見たくて」
あくまで一命なら会いに行って様子をみたい。しかし、僕がそういうとおじいさんは険しい顔をしていた。
「少しお主にはその事を言わなければならぬ」
「………ぇ?」
ボッーと聞いていたが、要約すると帰してくれないのか?色々とあって頭の整理が追いつかない。
「お主の力、死呪霊についてじゃ」
「アラストリアの事ですか?」
何を聞かれるのか不安が積もる。分からない事も多いしな。
「そうじゃ。死呪霊も我ら精霊界に通じておる。人、自然…生物が抱く様々な想い……あらゆる所から生まれた想いがあって精霊は存在しておる。死呪霊もその類だろう。」
アラストリアは
「精霊は人間界、天空……全ての場所でそれぞれ生きているのじゃ。想いの形は精霊になる。生活を成り立たせたい、生きていきたいという想いはどこにでもあるからのう」
「想い……生活から」
「それを見守るのが我らの使命。ワシはこれまで沢山の想いの形を見てきた。じゃがなワシはそんなものを初めて見た。」
「アラストリアですか?」
「うむ。おそらくお主はアラストリアを知っておるのだろう?その存在について、少し聞かせて欲しいのじゃ」
「……」
僕は少し戸惑ったが帰して貰うには言うしかない。
「分かりました。」
人の想いからならアイツは
「アラストリアは僕の想いから生まれました。………いや、僕が作りました」
「彼は、僕のたった1人の友達なんです。」
――天空――
「しか! おにいさんをかえせ!」
「話を聞いてください。あと、角を引っ張らないでください!」
一方その頃。1人と1匹は争っていた。
「しか の つの なんて、なくなれば ただのうまだ!」
「違いますから。角が無くても鹿です! ………いえ、神獣!! 角無くなると大変なのでやめてください!」
鹿はブルブルと顔を震わせ弥生を振り落とす。弥生は、反動で落ちるとワンワンと泣き始めてしまった。
「おにいさんー! うわーん!」
「泣かないでください」
「何………しているのですか?カクラジシ様」
セイファがその様子に呆気を取られるように、立ちすくしていた。
「これは違います!」
「うわあああん!!」
数分後
「弥生。角無くなると天空界滅ぶわよ」
「え!?」
「次は許しませんよ。まぁ、やっと分かってくれたようですし弥生にも話してあげましょう」
「彼の状態を」
アラストリアは最初、受け答えしかしなかった




