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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
新人研修編!?

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第二章 12話 3匹の死呪霊

喧嘩を解決したが…


僕の前に3匹の死呪霊が現れた

「どうして死呪霊が!?」

 僕はその景色に目を疑った。

 この3匹、前に戦ったものと似ているし間違いないだろう。


 色々聞きたい所だが今は加勢するしかない。僕は銃に力をいれる。



 バン!

「………?キャー!!」

 撃ったのもつかの間、すぐに起き上がる。やはりこの魔力じゃダメなのか。



「あっ彩夢くん!」

 銃声のおかげで春歌は僕に気づいたようで声を出した。


「春歌さん! 大丈夫ですか?」

「時間を稼いでくれば……持ち…直せます………」

 春歌はボロボロになりながらも光希を守っていた。光希は背後で俯きながら血を吐いている。



「光希!?」

「光希くんは色々あって、魔力が使えません。暫くすれば大丈夫だとは思いますが」


「はぁ……はぁ…」

 光希は苦しそうに息を荒らげている。


「……っ」

 光希の手からアイツらと同じような黒い影が見える。何が起こっているんだろうか?



 だが、今はやるしかない。

「わかりました。時間を稼ぎます。」

「なら、これを使ってください!」



 ガンッ

 その瞬間、勢いよく空から大きな盾が降ってきた。

「…!」


「セイちゃんにいちよう頼んでいて良かったです。魔力がある物は彼らに効くので…これを使って……」


 僕は地面に突き刺さった重い盾を引っこ抜いた。これで守ればいいのか。はね返したりすれば時間が稼げるだろう。


「殴ってください!」

「え?」

「思いっきり!」

 僕は聞き間違いだと思いたいが。まぁ、殴れるなら殴った方がいいか!


 僕は片手に銃と盾をそれぞれ手に持った。結構重いが陸上で鍛えた腕力がある。



 後は勢いに任せて走るだけだ。

「はああああああああああ!」


 ガッ!!!

「キャウ!?」

 僕は怯んだ死呪霊に飛びかかり、眉間に銃を突きつける。



 バン!!

「きゃルーラ!」



 ――やったか!?

「ぎゃああああ!」

 油断していた僕の隙を狙うように、他の獣が噛み付いた



「っ!!」

 僕は必死に振り落とし距離を取った。肩からは血が流れドクドクと脈だてている。



「………零くん!!」

「大丈夫です! 準備を」


 止血する暇もない。今は戦って時間を稼ぐだけだ。

(視界が狂っていく)



「師匠!」

 ゆらいだ意識をはっきりさせるように大きな声が聞こえると、牙陪蘭がもの凄い勢いで走ってきていた。


「俺も力になります!」

 どうして見えるんだ?いや無駄なことを考えるな。今は力を借りるしかない。

 しかし、魔力が彼にもない。どうすれば対抗できる?



 ガタガタガタガタ!

「!?」

 その疑問に応えるように、眼鏡が動き出し僕の顔から離れていく。飛びつくように牙陪蘭の顔に引っ付きピカッと点灯した。

 何が言いたいんだ?



「俺、光希くんからこれを貰ったんです」

 牙陪蘭が身につけていたのは弥生のペンダントだった。



 光希は牙陪蘭に託すようにいつの間にか背中に乗っている。弥生に何か手があるという事だろうか。

 なら……賭けてみるしかない。


「受け取れ!」

 僕は銃を牙陪蘭に投げるように渡した。


「ありがとうございます!」

 牙陪蘭は受け取ると、すぐに銃を撃ち込んでいく。僕とは違い死呪霊に当たると遠くへ弾け飛んでいた。



「……!」

 流れに乗るように、頭を目掛けて盾を振り下ろす。



「きゃああーん!」

 ――これで2匹!



「……ががあああ!」

 さっき倒した死呪霊がまだ生き残っている。

 それにもう1匹も!



 バアアン!

 死にかけのを牙陪蘭が撃ち込む。


「キャラキャラー!」

「――っ!」

 僕を目掛けてもう1匹の死呪霊が飛びかかってきていた。盾が思うように動かせなっ


「…!」

「防御魔法……… 展開! 神樹の巨神兵!!」


 迫りかかる獣を受け止めるように、目の前に大きな巨神が現れていた。

「攻撃、砲撃を付与します!!!」


 春歌は2本の注射器を取り出し腕にさすと、腕から身体へと巨人と共に鮮やかなのオーラが出ている。

「ガァァァァァァ!」


 巨人の肩から砲台のような物が出て、バチバチと音をたて始めている。これは逃げた方がいいな。僕と牙陪蘭は後ろに下がって待機していた。



「撃て!!!」

 春歌の叫びに連動するようにビームを放つ。


「ぎゃあああああああーかーー」

 倒れた獣をも巻き込み遠くに吹き飛ばした。



「トドメです! やってください!!!」

 巨人は死呪霊に追いつくように走り、思いっきり地面に叩きつける。何度も何度も。これが死体蹴りか。



 これで倒したか……いや、まだ1匹がユラユラ動いている。



 よし、

「牙陪蘭、殺れ!!」

「………っはい!」

 牙陪蘭は銃を向けて撃ち込んだ。弾は身体にあたり火を巻くように弾け飛んだ。



「リ…ぁ…こぃ…」

 撃たれた死呪霊の形は崩れていき、灰のようになると影に消えていった。周りを見たがもう何も無いようだ。


「まだです……小さな欠片すら許しません!」

「ガアアッ!!」


「ちょっ、ストップストップ!!」

 穴が空けまくる巨人を止めるためにも、スプラウトを落ち着けて地面を治してもらった。



「やっと終わったな」

 完全に消えた事を確認すると、ずっと緊張状態だったのか膝から崩れ落ちていた。この3匹は天空で会ったアイツらより強い。



「…………っ」

 怪我の所が燃えるようになっていき、血は止まらず流れ続けていた。止血する気力すら…もう………僕は無気力なまま地面に頭から倒れ込んでいた。


 自分の血が赤みを増していくような気がする。



 木霊するように春歌と牙陪蘭の声が聞こえていた。

 光希………大丈夫かな。



 ――…を……喰わせろ


「……」

 またこの声か。

 何を言ってるのか今の頭じゃ理解出来ないな。



 僕が死んでからというもの、この声がクッキリ聴こえるようになった。

 昔は薄くしか聞こえなかったのに。




「――師匠!師匠っ!」

「…」



 僕は?

「良かった! 心配したんですから!」

 気がつくと牙陪蘭の家で眠っていた。


「……」

 痛みなく腕が動く。肩を見てみると、あんなに酷かった治っていた。


「おにいさん!!!」

 光希は泣きながら抱きついた。


「もう………大丈…か…?」

「うん!」

 僕を強く抱きしめた。怪我は治ったが少し息苦しい。そのくらい光希は僕を心配していたのだろう。



「ごめんな」

「ううん! ぶじでよかった……」

 力の入らない手で光希を撫でた。


 「春歌さんは?」

 「つかれたみたい」

 そう、隣をみて呟いていた。春歌も寝ているようだ。


「春歌さんは師匠を寝かせてから、体調が悪いようなので寝る場所を貸しました。」

「そうか」

 記憶が曖昧だが、この魔力がおかしい状態であの化け物と戦ってくれて、僕達の怪我を治してくれたのか。



「光希くん、ペンダントありがとう。助かったよ」

「こちらこそ、たすけてくれてありがとう!」

 牙陪蘭は光希にペンダントを返していた。光希は大事そうに首にかけている。



「なぁ、光希………何があったんだ?」

 それから、僕は光希について起こった聞いてみる事にした。知ってた方がいいしな。



「えっとね」

 話によれば、死呪霊に向かって攻撃しようとしたら出来なかった。それどころか、急に体の魔力が暴れだし制御が効かなかったらしい。


 だから、魔力を死呪霊に向けてでは無くペンダントに流し牙陪蘭に投げたらこの通りと。


「なんか………偶然というか奇跡みたいだな」

「俺もあんなに戦えちゃうとは思いませんでした!」

「助かったよ。牙陪蘭。」

 牙陪蘭は嬉しそうに二カッと笑っていた。



「で………あれ何ですか?」

 あまり分かっていないが、とりあえず助けてくれた礼に見解を軽く伝えるか。



「おそらくあの3人組の感情を酷くして暴力的になった原因だ。ま、あくまで推測だが真相は全く分からない」

「なんか………ぼくのとき みたいだね」


 光希は下を向いていた。確かに、あの時も皆が攻撃的になっていたな。


「お前はもうあいつらとは違うよ」

「うん…」

 アイツらと違って話も通じるし光希は人間だしな。


「じゃあ、俺! 根本的な奴を倒したって事ですか!?」

「そういう事だ。やり返せたな」

「やったー! 倒したんですね俺!」



 牙陪蘭は喜びを現すかのようにガッツポーズをした。

「本当に助かったよ」

「俺も力になれて良かったです!」


 僕は改めて2人にお礼を言って立ち上がった。


「よし、春歌さんが起きたら色々まとめてお祝いだ。」

「ほんと!?」

「あぁ。牙陪蘭、今日は金を出すから好きなだけ食え」

「はい!」

 僕が春歌を見ている間に牙陪蘭は買い物に行ったりデリバリーを頼んだりしてくれた。



「どんなピザがいいですか!?」

「チーズたっぷりかな」

「にく!」

 色々済ました後に春歌が起きるまで話をする事にした。もうすぐ別れる事になるしな。



「牙陪蘭……いつの間に筋トレ馬鹿になったんだ?」

「実はあの、女の人可愛くてハマっちゃいました!」


 それでいいのか?とは一瞬思ったが、やる気になったし良しとするか。まぁ、こんなに痩せるとは思わなかったが。



「すまない。僕はお前に怪我を、怪我する前に止めるべきだった。」

「いいですよ! それに俺だって助けられるばかりは嫌です!」

 牙陪蘭がそう言ってくれるなら良いのかな。

 だが、牙陪蘭の意地は見せつけられただろう。それに、仲良くもなったみたいだし。



「………あと、師匠はちゃんと来てくれたじゃないですか!」

「ありがとう牙陪蘭。」


 あの時何も考えずに飛び出したが、この感覚が本能なのかもしれない。

「師匠! 本当にありがとうございました!」



「僕はあくまで手伝っただけだ。お前が切り開いたんだよ。」

「そんな事言わないでくださいよ! 俺!! 師匠のおかげで変わる事が出来ました」



 僕のおかげか。

(師匠は僕の恩人です!)


 牙陪蘭の笑顔は、咲き誇った花のように眩しかった。

春歌さんが目を覚ました

さぁ、パーティだ


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