第二章 6話 周囲を巻き込め
牙陪蘭の悩みを解決する為にダイエットの
準備をして泊まることになった。
あとは…
「スマホにイントラをいれろ」
「え?」
牙陪蘭は急に何言っているんだ?という顔をする。
「……Twitoraじゃ駄目ですか?」
確かに使いやすいし、僕もそっちの方が好きだが
「今から味方にするのは世界中の人じゃない。あくまで近い範囲の不特定多数だ。」
「でも俺! あんな陽キャのコンテンツ使いこなせません!」
分かる。
僕も陸上しかストーリーも投稿も出してないし、他校の高跳び仲間と交流の為みたいなもんだ。
「耐えろ。陽キャを使わないと、この状況はひっくり返せない」
こういう問題は、周りを巻き込まないと1人では何ともならない。そのために手っ取り早いのが発言力が強い子を利用することだ。
あと、近くで見る人がいれば中々辞められなくなるし。長続きする意味もある。
「少しでいいし1回やってみて嫌ならすぐに消してくれ」
「師匠を信じますからね?」
牙陪蘭は渋々イントラを入れていた。
「鍵垢にしろ。あと学校名とクラスくらいを書いてから知ってるやつをフォローするんだ」
「バカにする奴もですか?」
「いや、最初は自分が信頼する人だけでいい」
軽く検索をかけながら数人をフォローしていた。
「あとは返ってくるだけだ。そこから新しい人も来るし、もし無視されてもほっとけばいい。フォローは任せる」
「出来ました!」
素早い手つきでタップしていき、すぐにスマホを見せてきた。
「はやっ」
僕は1時間くらいかかったのに設定全部済ましている。最近の若いやつはスマホの操作も上手いんだな。
「よし、じゃあダイエットを始めるぞ!」
「はい!」
僕は泊まりの着替えを家に置いた。ウィストリアさんから服はもらっているしジャージ以外もなんとかなる。
荷物を置き終わり家を出ると、牙陪蘭はジャンプしながら張り切っていた。
「なにしますか!?」
「いきなり走るのは駄目だ。まずは歩こう」
すると、また……え?という表情をした。
「歩くんですか?」
「最初は身体に少しずつ慣らしていくんだ。急に走ると怪我するし」
コンクリートだし、シンスプとか足を吊られると困る。シンスプというのは通称シンスプリントと言って疲労でふくらはぎの横側に出来るコブみたいなやつだ。クソ痛い。
それにこんな真夏だし、長袖で歩くだけでも普通に良い運動になるだろう。
僕達は歩きながらゆったりと話しをすることにした。
「学校は?」
「高校は今夏休みなんです」
「あーそうだったな」
死んだばかりなのに、なんだか懐かしい響きだった。
牙陪蘭はやっぱり高校生か。
「何年生だ?」
「2年生です!」
1つ下か。
「僕は3年生だったんだ。まぁ遠慮しなくていい、死んでるしな」
「はい! でも、これ……歩くだけでも暑いし結構疲れますね」
「いい運動だろう」
僕はカバンからボカリを渡した。僕の分も出して軽く飲む。
「飲んどけ」
「ありがとうございます!」
暑いし下の熱気も強いから熱中症には気をつけないとな。その調子で僕達は30分くらい歩いていた。
「実は近くに通りたい場所があるんです!」
「分かった。」
そして、案内された場所は公園だった。
ただの公園だろうか?そう見渡していると女の子が花の水やりをしている。
(あの子、クラスの子なんです! 可愛くないですか?)
牙陪蘭は僕に囁いた。
「接点は?」
「……ないです。少し話したくらいで」
「それは恋愛対象なのか?」
「はい!」
牙陪蘭は目を輝かせて何度も頷いた。
まぁ応援したいし、接点を増やしてあげたいが……どう繋げようか?
「イントラはフォローしたか?」
「してないです。恥ずかしくて。」
分かる
「まー僕も好きな人がいて受け身だったけどさ。自分からフォローしたら、返してくれて嬉しかったぞ。」
僕は昔を思い出して顔を赤らめている事に気がついた。
気持ち悪っ僕! すぐに顔を思いっきり振り正常を保つ。
「………!!!」
その様子を見た牙陪蘭はすぐにフォローしていた。恥ずかしいんだが。まあ、いいか。
「よし、朝練は終わりだ。」
やはり最初はこれで正解だな。家に帰り玄関にもたれ込むように倒れているし成果よし。
「もう12時近いですね。昼ごはんは何にしますか?」
「何でもいい」
「ダイエットですよね?」
牙陪蘭は何故か這い蹲るように歩くと、海藻サラダを沢山持ってきている。
「海藻でいいんですよね! 0カロリーって」
あーそうだった。いや、そうなるよな。
「いや、成長期だから朝昼は好きに食ってくれ。」
「本当ですか!?」
牙陪蘭はものすごく驚いていた。
「なんでも食べていいんですか!!??」
「あぁ。間食をあまりしなければ問題ない」
すると、急に走りだし次はスパゲティを取ってきた。カルボナーラとナポリタンとは。高カロリーだが上手いやつだ。
「どっちがいいですか?」
「うーんカルボナーラ」
その後、僕達がご飯を食べ終わると2人がやってきた。
「来ましたよ〜こんにちは!」
「おにいさん!!」
「こんにちは……」
「来てくれてありがとうございます。ありがとう弥生」
光輝とスプラウトは遠くから手を振っている。もう仲が良さそうだな。さあ、本練習は5時からだ。今日はそれまで買い出しに行く事にしていた。
「海藻サラダありますよ?」
「タンパク質がな。お腹は膨れるが」
僕はササミと肉と白い糸こんにゃく。野菜、水など色々と買った。
「牙陪蘭、今日からおやつはこれだ」
「これはチョコバーですか?」
「プロテインバーだ。チョコバーと味は似てるがカロリーは100以下で腹持ちがいい。」
今はチョコ味だけでなく色んな味がある。どれにしようか迷っている牙陪蘭を置いて、つぎは2人の元へ向かった。
僕の目的は光希と春歌にお金について教える事も入ってる。これから2人で行かすなら、お金については大事な知識になるだろう。
スーパーは100円単位が多くて分かりやすいし。
「わかった! この12えんを、5こかったらこれをつかえるんだね!」
多分何とかなった気がする。紙を渡して掛け算、足し算引き算のやり方も教えたし。
次は、僕達はホームセンターでストップウォッチなどを買った。ついでに絵の具を買っていると、牙陪蘭や弥生は不思議そうに見ていた。
「ま、後で楽しみにしていてくれ」
――夕方
「よし、走るぞ」
「はい!」
「光希は僕が背負うから。春歌さんこれお願いします。」
春歌はあまり運動が出来ないらしく、サポートをしてくれるらしいのでマネージャーを頼むことにした。
「これは、ふむふむ……分かりました!」
僕は春歌にストップウォッチを渡し説明をした。
「10分歩いて3分走ります。まずは2セット」
「はい!」
という事で、メニューを作り歩き始める。夕方だし暑さはマシになっているな。
「光希 楽しいか?」
「うん! たかくてたのしい!」
光希は喜んでいるようだ。
「よくその状態で……ぜ、ぜ、出来ますね」
牙陪蘭は不思議そうに見つめていた。
――10分来ました!』
僕のブレスレットが光り春歌が声をだした。
「はい!」
僕は段々とスピードをあげていく。
「わーい!」
「げっ」
牙陪蘭は、スピードが上がる僕に必死についてきていた。
「頑張れ。今日は軽くでいいから。」
「はっ…は……ガ…頑張ります!」
3分来ました!』
「ありがとうございます。」
「あと……いっ…セット?」
なんとか、必死に食らいついたな。
その調子でもう1セット終わらして家へ向かった。
「あああ……疲れました。うげ」
「お疲れ様、よく頑張った」
僕はタオルを渡し水分をとらせた。辺りはもう暗くなっているな。
「それじゃあ今日はこれで!」
「明日からは好きな時間に来てください。8時からしていますから、よろしくお願いします」
「はい!」
「じゃあね!」
僕達は2人の帰りを見守りご飯を作り始めた。
「糸こんにゃくを1mm程度に切って、ご飯と一緒に炊くんだ。これでカロリーは半分減る」
僕は牙陪蘭に教えながら切ってご飯を炊いていた。
生きてた時は、ばあちゃんにして貰っていたけど大変だな。これな。
「よし、後は………」
僕は鼻歌を不意に歌い初めていた。
「何か嫌な予感が」
牙陪蘭のスマホを借り、yootubeからあるチャンネルをだした。
「スタイルのいいお姉さんが筋トレしてますね。そういう趣味ですか?」
「ふざけんな。マスクつけて走らすぞ」
「えへ」
僕が見せたのは、3分を毎日繰り返すと腹筋が割れる動画だ。まぁ、実際はもう少しかかるがな。
「最初はこれでいいな。」
「女の方ですし余裕ですね!」
僕は何も言わないぞ。
数分後
「もう無理です。あんな事いってごめんなさいぃ」
「まだ半分あるぞ。」
無理やりさせる訳にもいかないので最後は自分だけしていた。しばらくしていないが感覚が残っている。
「よし、休めただろ?もう一周」
「え?」
「ああああああ……ぉなkaがあああ!」
2週目を終えると、お腹をおさえて倒れていた。
「……」
ギブアップした姿を見ながら僕は無心でやっていた。
2週目は流石に久しぶりすぎて潰れかけている。一方、既に牙陪蘭は汗だくになって呆然としていた。
暇そうだったので水とプロテインを取ってきて貰う。
「先に飲んでろ」
「あっ思ったより美味しい」
色々迷ったがスティックタイプにした。薬みたいな感覚で飲めるしそこまで苦くないだろ。
カフェオレ味に牛乳いれるのもいいんだがな。
「で、先にシャワー浴びてこい。後で借りるから」
「あっはい! 行ってきます」
僕自身も筋力が落ちている。この機会に頑張らないとな。
筋トレが終わると僕はご飯を作っていた。
ササミを湯掻き、海藻サラダと野菜に乗せただけだが。
あとは、豆腐とササミサラダとご飯を置き、スマホを借りて写真を撮った。
「終わりました!」
「なら、早くご飯を食べてくれ。ゴールデンタイムは30分だ。」
「ゴールデンタイム?」
あっそうか。分からないよな。
「えーと、栄養が効率よく吸収出来て、身体作りに最適なんだ。ダイエットしたいならこの時間に食べたらいい」
「なるほど!」
ご飯を食べると、僕はシャワーを借りていた。鏡に写ったのは全くの別人に見える。気味が悪いものだな。入り終わると、タオルとパジャマを借り牙陪蘭の元へ向かった。
「おい、11時には寝るぞ。」
「分かりました! あの、ゲームしていいですか?」
「構わない……あっ僕もしたい」
switiは2人でも出来るらしく久しぶりにさせて貰った。
「いやー誰かとゲームするなんて久しぶりです!」
「僕もしてなかったから新鮮だ。」
「異世界にゲームなんて無いですしねー」
ワイワイと楽しい時間は過ぎていく。
「ただいま」
「あれ暗いわね。あの子が泊まりにきた零くんか……ん?」
『今日から少しの間お世話になります。ご飯は温めてお食べください。』
「これはご丁寧に……」
僕達は疲れてすぐに眠っていたようだ。
その後、ダイエット順調に向かった
木曜日はチートデイだ。
好きな物を食べろ! ん、パンがいい?




