第二章 4話 始める前に 前編
悩みを解決するためにダイエットを
する事に決めた僕ら
しかし、準備がある
「じゃあ今日は準備をするか」
「準備? いらないですよそんなもの。」
牙陪蘭は淡々と答えた。
「ジャージは?」
「ありません、暑いですし」
まぁ、あんまり運動をしているようにも習慣があるとも思えないな。見る限り足の筋肉も無いし。
「シューズは?」
「ありますけど 」
普通のスニーカー靴を指さした。見る限り、靴底が薄くてに生地は硬い。これでは駄目だな。
「よし、紫スポーツとDEPPOに連れて行け。」
「2ヶ所もですか!?」
必要ないだろと言いたそうだな。驚くのも無理は無いが。
「色々あるんだ。」
という事で無理に押し切って案内して貰った。コンクリートだらけだしここは都会の方だな。
「ちなみに、師匠。どうやって死んだんですか?」
「………電柱」
「それで死ねるんですか??」
死ねるか、どうか聞かれても実際此処にいるからな。
「多分」
そんな話しをしながら、僕達はDEPPOに連れてきてもらった。
「ここで衣服を探そう。」
ウィストリアから金は貰っているが、僕としては出来るだけ安く済ませたい。
「ジャージはセールス品が多いし此処は量がある。冬物か春物があるから薄いのを選んでくれ。 金は出すから」
後でウィストリアに謝らないとな。
「これにします!」
彼が持ってきたのは、黒くて通気性のあるジャージだった。薄すぎることもないしこれなら問題ないだろう。
「次は半袖だが好きに選んでくれ。普通の服じゃない、スポーツ用の生地な。黒は太陽の光を吸いやすいからほかの色の方がいいが、なければどっちでもいい」
半袖は薄くて通気性があるものが多いから、デザインと色重視でいいだろう。好きなやつの方がモチベも良いしな。
DEPPOは衣服が多いし安い。プロテインもこうやって割引されている事もあるし。
ん?
これ高いやつじゃないか!! 1ヶ月なら全然飲みきれるな
「決めました!!」
僕が、プロテインを感動しながらみていると、ニューバラの服を牙陪蘭が持ってきていた。
生地はゴムみたいに伸びるし乾きやすさも大丈夫だろう。
「これ!」
何故か光希も持ってきている。まぁいいや。買い物を済ませた僕達は次に紫スポーツに来ていた。
「大体買いましたけど……」
「まだだ。シューズがいる」
僕はウィストリアから貰った靴を見せた。
「いいか? ただでさえ、初心者はコンクリートは怪我をしやすい。理由は下が固くて衝撃を吸収できないと身体に負担くるからだ。という事で代わりに底が厚くクッションになっていて地面を取らえられる靴でないといけない。」
「なるほど」
牙陪蘭はなんとなくだが納得していた。ここは都会の方だし土は少ないだろうな。
昔にソールが薄くて吸収が出来なかったやつを履いていたが、右足首にある捻挫のクセがカバーしきれず何度も捻挫したし膝も痛めた。まあ、走り方が悪いのかもしれないが。
とりあえず、初心者だし怪我をしないが最前線だ。
「ここはすぐに安くなるんだ。 一緒にいい物を探そう、手伝うから」
という事で靴探しが始まった。新品が出やすい陸上界は型落ちがすぐに出てくる。
今回は長持ちする方がいいな。
「これどうですか?」
「これは底が締まっているから短距離だな。短距離は底の厚みを出来るだけ抑えているし軽量化で表面が薄いから長持ちしない。長距離の方がいいな。」
「このデザインいいんですけどねぇ」
「なら上にあるやつだな。」
同じデザインで長距離用ならこれか。似ているが底が開いているのが長距離だ。
「これならどうだ?」
「いいですね! ありがとうございます。」
最近はデザインは一緒で機能が違うのがあるから助かるな。
「おにいさんぼくこれ!」
光希も嬉しそうに持ってきていた。最近は小さいブランドシューズもあるんだな。僕はコーナーで差をつけるアレしか無かったが。
2人の靴をカゴにいれて、春歌の元に行くとずっと同じ靴を見つめていた。
「春歌さんもいりますか?」
「いいんですか?実は人間が履く靴に興味があって。これでお願いします!」
と言っているが、履いてるよな?スニーカーみたいな物に僕は視線を向けた。
「これは皆さんが靴に見えているだけで裸足なんです。もっと言うと足の親指分くらい浮いてます」
そんな事実があったとは。という事はまさかウィストリアも? 確かに天空に地面はないから必要無いと言えばそうか。
「そうなんですね!じゃあ春歌さんの分も買ってきます」
頑張ってトータル2万ちょいには抑えた。やはり高いが、必要だから仕方ないか。
「よし、これで終わったな」
「明日からお願いします! 師匠!」
「任せてくれ。あっそうそう、家庭の環境はどうだ?母さんはハイカロリーな料理を作っていないか?」
「実は、俺の父さんは出張していて母さんは夜遅いんです。」
牙陪蘭は寂しそうだった。そもそも彼の技能的に自炊が出来ないのかもしれない。このままだと食事も見えないし、いっそのこと一緒にいればいいんじゃないか?
「なら、僕も泊まっていいか?」
「え!?本当ですか?」
「あぁ料理とかは教えるから。一緒に作ろう」
「そんな。ずっと1人だったので嬉しいです! もちろん俺も手伝います! 」
信じられないと言うような表情を見せると嬉しそうにしていた。
「助かるよ。じゃあ明日は8時に行くから」
「早いですね」
僕は軽く打ち合わせをしたあと、牙陪蘭の家の前で別れた。
「とまるの?」
「ちょっと色々してると時間がかかりそうなので。2人には悪いですけど。」
「大丈夫ですよ!私達は毎日通いますから。いちよう、ウィストリアさんに言いましょうか?」
正直、昼だけでは出来ないし。ダイエットは朝から晩までしないといけない。
夜遅くまでは付き合わせたくないし。
「今日言うので大丈夫ですよ。」
「分かりました!それにしても現実世界って楽しいですね!」
「けんしゅうは?」
「あああああっ! 分かってます、分かってますからね!!」
春歌も楽しんでくれているようだし良かった。
「じゃあ、帰りましょうか」
「はい!」
「うん!」
僕達は軽い話をしながら天空に帰って行った。
フィクションです。スポーツショップの考え方は地域差があります。




