表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
現実世界へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/157

第10話 なみのながれ

何とかなると思ったが

また、奈美がいじめられている!?


僕は屋上に閉じ込められ小さな男の子が現れた

「何が狙いだ?」

 同じ。という事はコイツも天空から? でもそんな人がいるなんてを聞いてない。僕しか天空にたどり着いた人間はいないらしいし。


 僕は、脳内をグルグル回しながらポカーンと見ていると、その子は急に目を見開き嘲笑った。



「え? もしかして……まほうがつかえないの? ぼくはつかえるのに? かわいそー、きみはぼくより「ざこ」なんだね!」

 その少年は僕の質問に答える気もなく、言葉を畳み掛ける。


(僕の話を聞けよ。なんか、そこまで言われると傷つくんだけど)

「……」


 うーん。



 それにしても同じ立場と仮定して、何故僕は魔法が使えないんだろう?魔力すらないし。


 僕はこいつとは何かが違うようだ。



「たっぷりと、いたみつけてあげるね!」

 ……1つ分かるとするなら、この少年より劣化している事。あとはピンチだと言うことだ。


「何をする気だ? 話合う気も無さそうだし、殴り合うか?」

 僕は拳を握りしめ大人げなくも圧をかける。魔力がなくても力勝負なら負けないだろう。



「やだよそんなの……さいしょはこれ!」

 パチっ

 少年が手を叩くと、周りからいくつもの魔法陣が現れる。これは



「………ぅっ!」

 急に光があふれ僕の視界を奪っていく。

 逃げようと身体を転がしても、避けきれるものではない。


 筋のような光は足に当たり、細長い傷口から血が流れていた。

(この程度なら止血をするほどではない)



「何がしたい? こっちは遊びをする暇はない。」

「しってるよ? こんなんじゃーつまんないからね!」


 ザッ

「ーー!」

「ほんとーのねらいはぁー」

 少年の雰囲気がガラッと変わり、背後から何かが瞬時に襲いかかる。気づいた時には、既に傷に何かが入り込んでいた。



「……っ!」

 すごい勢いで頭に向かってきて気持ち悪い。

 こいつの狙いは魔力?いや、何かを傷口から入り込ませる事か。



「何のつもっ……っ!」

 急に力が抜けていく。ガクッと膝が落ち、視界が歪み始めた。何かが僕の記憶を掘り起こしように、頭をかき乱す感覚が僕を襲う。



「バイバイ!」

「……っ」

 少年の声が遠のいた。視野は黒く狭まっていく。僕は反射的に頭を抑えていた。





「――……………?」

 急に違和感は消え目を開けると、景色が変わっていた。これは幻影か?


 目の前に手を当て、ぼやけた視界を調整させる。


(ん……??)

 この廊下……この珍しい制服。この僅かに匂う漆。間違いない、これは僕が生きていた時の高校だ。



「なぁ、何ボッーとしてんだよ。」



「―――っ!!??」

 彰、琴葉、透、真!!!???

 こいつらは高校の頃の陸上部メンバーだ。そいつらが誰かをかこんでいる。



「別に。」

 ……あぁ、僕か。

 死んだ目をした僕は彼らを呆れるように見つめていた。これは過去の記憶か。



 彰は静かに睨みつけてくる。この展開

「彰は……と思っていて、1人で言うと喧嘩になるかもって事だから、俺達が代弁してるんだよ」

「そうそう。あくまで、僕達は平等だから」


 何が平等だ。だったら真ん中に立てよ。



 夢だと分かっていても腹が立つ。

 目の前にいる僕も同じように眉をしかませながら、ため息をついていた。


「いいたい事あるならいいなよ。スッキリするでしょ」



 彰は他の友達に言わせずっと腕を組んで圧をかけていた。

 何度お前らを見ても、本当にお前らだけは好きになれない。


 何が中立だ。群がってイキるだけ人間が、こんなの仲介じゃないんだよ。



 僕は呆れて何も言わず、目頭に力をいれ頑張って泣きながら謝っていた。

「もうない……ごめんなさい。」


 4人は満足そうにそれを見ていた。しかし、周りのざわめきがひどくなっている事には気づいてないようだ。


 しっかり僕も顔をうつむかせるフリをして周りを見てるし、抜け目ないよな。



 ま、この涙は謝罪というよりその場しのぎ。まあ、作戦通りだとしても、こいつらのあの満足そうな顔を見ると胸くそが悪いな。


 メシウマ案件だよなぁ――……いや、腐った飯でも食ってろよ。


 血が出そうな程に歯を食いしばりながら僕は我慢していた。

 僕がもう一人いれば救えたのに。


 ここでキレてもより多くを失う事になる。そんな思いをあの時抱え続けていた。



 でも、ここで逃げを選んだことには変わりない。こんな汚い奴らに僕は負けたんだ。


 謝ったんだから、お前も謝れよ。という空気を流しながら視線を上に流すと、彰は煽るように軽くお辞儀するだけだった。

「ん」



 こいつっ!!

 全く人に依存する事しか能のないキャプテン。と、仲間達。こんなチームなんてやってられるかっ!



 何が味方だ。お前らはどう見たってあいつの味方じゃないか!僕のトラウマは怒りとなり目に光を奪っていく。



 拳を握りしめて彼らを睨みつけた。

 お前さえ……いなければ



 僕は思いっきりぶつけようのない怒りを壁をあてた。

 怒りは収まることを知らず心の熱をあげる。



 その瞬間、一瞬で暗くなり少年がまた姿を見せた。世界は戻っている。

「…っ! はぁ…は………」


 僕は混乱した頭を戻そうとした。久しぶりに強いストレスを受けたせいか情緒が戻らない。


 怒りと苦しみ。そして、悲しみに紛れた身体は震えを止めない。立ち上がろうとしても足に力が入ってくれなかった。



「あははははは! かわいそーきゃはははは!」

 朦朧としてしていると、急に高い音が耳に入ってくる。


「……」

「みーんなにうらぎられてー、よんたあーーいいちー。あはは! みかたいないのー?」


 …

 パキンッ


「……黙れってんだよ。このガキッ!!」

 僕を制御していたエゴが完全に壊れた。



 周りにはコイツしか居ない。もうどうにでもなってしまえ。

「あはは! つぎは、ほんとうにーころしてあげるね!」





 一方その頃

「あんた、うざいのよ。ずっと、ずっと!!」

 取り巻きの1人は、奈美からパンの袋を引ったくり踏みつける。



「止めて砂等(さら)!大事な物なの!」

「貴方は私達から未空を奪ったじゃない!」

「奈美がぜーんぶ悪いのよ!」

 パンをグチュグチュと音をたてながら黒ずんでいった。



「止めて!やめてっ!!!」

「貴方達、もうやめて! 私が巻き込んだのが悪いのよ、怒りは私にぶつけなさい!」

 未空は奈美を必死に庇っていた。周りもざわざわと音を立てる。


 ボロボロになったパンを見て、奈美は涙を流しながら、残りのパンを抱きしめていた。



「それも寄越しなさい!」

「っ嫌よ!!!!!」


 取り巻きがパンを奪おうとした時

「奈美、大丈夫だ。」

「え…?」


 有彩は取り巻きの手を払い除けた。

「パンを貸してくれないか、少しの間でいい。」

「…えぇ! 分かったわ!」


 有彩はパンを受け取り、咄嗟に廊下に出て走り出した。取り巻きの2人が逃がさないと追いかける。



(さて、ここなら人が少ないし調べてみるか)

「…サッチェッス」


 パチッと指を鳴らすと黄色い光が彼女達を照らし出した。

(魔法による反応なしか)



「それを渡しなさい」

「何故だ? 人から大事な物を取り上げるのは、悪戯ではすまされないぞ。」


 

「黙れ! 黙って寄越せ、この女が!!!」

(何も跡も魔力もないが………人間は怒るとここまで感情が剥き出すものなのか?私には何もわからん。)


 取り巻きは考えこんでいた有彩に飛びかかり、パンを取り上げる。

「しまっ」

「あはは、じゃーねー」



(怒らせる脳はあるし、覚悟はあるんだな)

 有彩は逃げていく背中に向け、咄嗟に魔法陣を展開した。


『いや、魔法で解決は良くない』

「……」


『他の方法を考えましょう。』

(彩夢は私が魔力があっても最低限しか使おうとはしなかった。)


 人間に何度も使われてきた有彩には、彩夢の言葉が強く残っていた。この世界は魔力がない。だから使えば大体は出来る。


 ……でも、使いたがらない理由には彩夢の考えがあると有彩は感じ取っていた。



 彩夢の言葉を浮かび、有彩は何かを思い出すように魔法陣を閉じた。

「分かり合うとは難しい。だが、手は打たせてもらおう。誰も傷つけない、違う方法で 。」



「あははパンゲットよ!」

「…!」


「ここで踏みつけて上げるわ」

「待って!それ以上はもう無いの!」

 踏みつけるパンを止めようとする未空と、奈美を取り巻きが押さえつけた。


「嫌っ……止めてよ!!!」

「やめなさい!」



(助けて……誰か! 零っ!!)

 静まりかえる環境に奈美は崩れ落ちた。



 ――その時だった。

「…いい加減にして!!」

「えっ」

 前虹が立ちあがり声を上げていた。



「もう………黙って見ていられない! ずっと思ってた……っこんなの間違っている!」



「お前は引っ込めよ!!」

「…っ」

 前虹はビビりはするが目の色を変えなかった。奈美のために立ち上がった足は沈まない。



「俺もだ! こんなの間違ってる。他人の邪魔しても……いい事なんかないんだよ!」

「そうだね〜。僕も前虹と渚に賛成」

 前虹に応戦するように2人が声を上げる。すると、次第に周りがざわめき始めた。



「……私も」

「僕も!」

 ずっと見ていた人達が一気に立ち上がり奈美の味方をし始めた。



「なによ!! ずっと黙っていたくせに!!」




「なんで!? こんなはずじゃ…!」

「……っ」


 気づけば怒りに任せて戦ったのか、全身が血だらけになっていた。



「…! 奈美………」

 僕は我に戻り軽く息を吸った。

 怒りに任せても意味はない。ここは冷静にならないと。



 ん…?

 僕の小指から不自然に血が流れている。小指に何ヶ所も切り傷。これ、バスケの時にみた未空の怪我に似ている。



 これは

(「私、思い詰めて!」)

 僕の思考を止めている間に指に傷をつけた?


 未空みたいに負の感情を出させる何かが技術がある。

 確かでは無いが今は考える暇もない。



 すぐに誰かに伝えよう。

 扉が開かないなら誰かに声で届けるまでだ。


 必死に端に行き教室に視界を移す。

「……!!」


 廊下に有彩がいる。

 すぐに向きを変えガッと近くのホウキを握りしめた。


「あっ、あれは!」

「え?」

 僕は動揺した表情で、少年を騙し視界を変える。



「なにもないじゃないか! バカにしやがっ!」

 その隙さえあれば十分。僕は額を狙いホウキを投げつけた。


 ガコッと鈍い音がする。

「うっ…」



(今だ)

「有彩さん!! 有彩さん!!!!」

 僕は大声で呼びかけた。



「彩夢!!! その傷はどうしたんだ!?」

「僕の事はあとです! ……取り巻きの指に傷がっありませんか!? ………ごほっ。それを…治してください!」


「あぁ分かった!!」

 有彩はすぐに教室へ走り出していった。



「おまえ!!」

 振り向きざまに、魔法が身体に当たる。


「……っ!」

 頭に衝撃が走った。流石に、これ以上は死ぬかもしれない。人間が流していい血の量を越えているし、平行感覚が鈍っていく。



「かんじょうにながして、つぶして、いじめる! ぼくがつくった………ハコがっ…!!」

 少年は泣きながら僕に訴えかけた。



「悪趣味にも程がある」

 僕は、座り込んだ少年の前に立った。


「そうだよ! なにがわるいの!? いじめられていきてきた。だれもたすけてくれずに!だからしんだんだ!」


 「……っ」

 その年で自殺とはな。



「ぼくは、ずっと、ここで! さまよったんだ! そんなとき、ある子が……いじめられてるのをみて、うれしさをかんじた!だから!」


 ふざけるな。



「それはいじめを繰り返しているだけだ! 痛みが分かるならお前がやる事はちがう!!」

「だまれ!!!」

 少年は目を大きく見開くと、大きな魔法陣が展開された。



(この距離……)

 光は強くなり、魔力の塊が僕の目の前に現れる。



 彼の魔力切れがない限り負ける。

「くたばれ!!!!」



「……っ」

 また、どうしようもない実力の差に何も出来ないのか。このまま終わるしかないのか?



『彩夢を私は!』

『ありがとう、零!!』

 確かに僕はもう死んでいる。


 でも、僕は奈美を彼女を見届けると決めた、まだ有彩との願いを少しも叶えていない!!!



「まだっ死ぬ訳にはいかないんだよ!! こっちは!!!!!!!」



『ーーろ』

「…………!」


 この声。

 昔、風と共によくアドバイスをくれていたあの声。懐かしい声に、僕の涙腺がゆるんでいく。



「もう何だっていい! 助けてくれ!』

 思いっきり叫んだ瞬間、白い光が目を覆った。間に合ったのか違うのかは僕にも分からない。



「………っ」

 意識を取り戻した時には、間が経っていることに気がついた。



 有彩は間に合ったのだろうか?

「ヒッセレスモーセレア!!」

(傷が見えないがやってみるしか無い。回復は苦手だがやるしかないな。)



 有彩は、指先から教室を目掛けて魔法を放った。

(これで変わればいいんだが)



「これでおしまいよっ………あれ?」

 取り巻きは急に目を丸くした。


「それは奈美が一生懸命作ったパンだ。食べ物と想いを粗末にするのは笑えないな。」

 奈美がパンをみると形が変わりベタベタと貼り付いている。



「なに…これ」

「それは粘土だ。……よく出来ているだろう?」



「有彩っ!!」

 有彩はパンを持ち変えると奈美の涙を拭う。


「もうこんな事止めよ!」

「…!!!私は…」

 途端に、取り巻きが膝を着いた。


「必要されたかったの……一緒にいてほしかっただけでっ…お父さんのことは……その適当に、話を作っただけで……」


(前より怒りは落ち着いているな)


「うざいなら直すからさ。ちゃんと言ってよ!」



「皆で仲良くすればいいわ。私以外ともね」

「砂等…もうやめよう…」

 取り巻きの1人が言い出すと周りも目を泳がし始めた。



「でも、私奈美のパンを」

「また作り直せばいいわ! 残りの分をね」

 奈美がそう言うと前虹が奈美の手を取った。


「作ろ…!!!」

「俺も手伝う!」

「うんうん。皆で作ればいいよね」


「私も」

「僕も!」

 前虹につられて皆も声を上げていく。



 取り巻き達は奈美の前に並び

「奈美ごめんなさい!そして…」



「ありがとう皆!」

 奈美はニコッと笑った。


「じゃあ作りましょう!!」

「おー!!!」

 そして、この事件は終わりを迎えた。




 ――僕以外は


 力が入る感覚もなくまた地面に座り込んだ。

 良かった。解決して。



「なんで!? まほうが……だせない!!」

 魔法陣は何故か壊れ、何度飛ぼうとしても浮けないようだ。

 何が起きたか分からないが、今がチャンス。




「もういいだろう?奈美は流れを変えた。そして、その流れは皆を動かした。」

 じっとしていた石を波が動かすように



「もうあのクラスにいじめが起きる事はない。」

 僕の狙いは未空との和解だけでなく、周りを動かす事。

 そのトリガーを……前虹や渚に託した。自信を持って、信じた道を歩けるように。


 集団心理。それを壊すには誰かが立ち上がる必要がある。

 静寂した環境でも誰かが手を挙げると、ついて行ってしまうのを逆に利用した。



「誰も助けない。でも……逆に誰かが声をあげれば立場は逆転するかもしれない」

「…うそだ、だって………だって!!! ぼくはたすけてくれなかった! だれも…!」


 少年は泣きながら悔しがっていた。



「僕にも友達がいた。でも僕はいじめていたんだ。」

「………おまえも!!!」



「それでも、彼は笑って許してくれた。」

「………っ。」

 少年は言葉に耳を傾けてくれた。



「僕の記憶をみたんだろう?いじめられても、何を言われても、いじめを後悔した日から決めたんだ。ま、僕もきみのように助けてくれなかったけど」


「なにが……いいたいの。」




「誰かを助ける事は出来る。痛みが分かる僕達だからこそのやり方がある。」

「…っ!!」

 僕は少年に手を差し伸べた。

 あの時、僕を変えてくれた美沙採のように。



「君も一緒に助けないか? そっちの方がやりがいがある。」

 僕はドアを指さすと皆でレシピを描きあっていた。


「……」

「こんな未来を作るほうが楽しいだろう?お前だって1人より皆で何かした方が楽しいと思わないか?」




「…なら」

 少し考えながらゆっくりと口を開き、僕を見上げた。


「ぼくをたすけて。みれんを、はたしてほしい。」

 未練……霊みたいな感じだろうか?



「分かった。じゃあこれからよろしく」

「うん」


 少年は頷きゆっくりと手を掴む。

「よろしく。」



 ガチャ!

「彩夢!!」



 有彩は僕のために飛んできてくれたようだ。怪我を痛そうに見ている。

「大丈夫か!? 何があった」

「ちょっと色々と………」



「誰にやられたんだ?」

 有彩はキョロキョロと周りをみているが見えてないのか?



「見えませんか?僕の隣にいますけど」

「あ…あぁ。」


「もしかして」

 有彩は指を鳴らすと、ゆっくりと目を見開き驚愕していた。



「お前はっ!!」

 明らかに動揺し始めていた



「どうしたんですか?」

「いやっ…いや……な、何でもない。ただ、ビックリしただけだ。」

 有彩はすぐに冷静を取り戻し、僕の傷口を触っていた。



「もう大丈夫ですよ。あと……この子も僕達を手伝ってくれるそうですよ」

「それは本当か?」



「まだだからな!」

「分かってるよ。」

 有彩に、このことを説明している間に2人は僕の身体を治してくれた。あと姿も。



「ありがとうございます。さ、皆の所に行きましょう」


「ぼくはとおくでみてる」

「うん、分かった。」

 僕達は、屋上を出て有彩に残りを説明していた。



「まさか、僕と同じような人がいるとは」

「あぁ。そうだな」

 有彩は少しぎこちない気がする。


「そうそう……粘土を買っておいて良かったですね。」

「あっ、ああ。役に立ったな」



 これは金曜日の帰り

「僕、買いたい物があるんでスーパーによりませんか?」

「スーパー?分からないが分かった。」


「ケチャップ………塩…」

 僕はあの時、調味料を買っていた。天空には無いらしいが人間の料理には必要なものだ。



「なにかいる物とかありますか?」

「なら………形を変えやすいものは無いか?」


「ありますけど、何に使うんですか?」



「それだがな私達のランドセルや筆箱は、あくまで幻想で作っていて実態が無いんだ。」

「そうなんですか?」

 有彩は、まぁ……と困ったような顔をしていた。



「自分や零が触った時は大丈夫なのだが、奈美に鉛筆を貸した時に消えてしまって奈美で良かったが」


 なるほど。だが、魔力にも穴はあるんだな。

「で実態があるものに魔法を使えば大丈夫だが形が柔軟じゃないと上手く出来ないんだ。」



 うーん。

「なら、粘土があります。めちゃくちゃ伸びますよ。でも、時間が経つと駄目になります。」


「それはなんとかしよう。とりあえず、それを10袋買おう!」

 有彩を案内すると粘土を不思議そうに見ながらも、バンバンとカゴにいれていく。



「………そんなにいりますか?」

 結論を言うといった。しかも、結構な役割を果たすことになるとは。



「いやぁ、ひと袋余って良かったよ」

「有彩さんのおかげで助かりました。原因は彼のようですし、後はゆうと紅佐飛だけですね」

「あぁそうだな」



 僕達は、温かい空気に包まれた教室へ向かっていった。

陸上部の話はもう1つの物語「僕は静かに目を閉じる」の2話からでています。


まだそこまではいってませんが

美沙採は最新話の半分に細かくかいています。


奈美の名前は流れを変えるという意味をこめています。

最初は小さくても色んな人がいて流れを取り込み大きく周りを巻き込んでいきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ