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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
新章1 第三次世界代理戦争魔人選別編

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負を喰らう者

彩夢には現実世界に戻る目的があった。しかし、神に妨害され、神が作る世界に閉じ込められる。


最後の街にて現れた神は接戦を繰り広げ、彩夢が勝った。

俺が安堵しながら後ろをみるとシャーゼンロッセは半分身体を失い黒い液体を流していた。


「あーあ、これじゃクロクに怒られるちゃうな。」

「大丈夫か、シャーゼンロッセ! なんだお前」

「…………グルァ!」

シャーゼンロッセは弱く鳴きながら、俺を囲むかのように手を前方に置いて睨みつける。


「……んっ……ぐもぐ……ふぅ。僕はアンノルン。アルって呼ばれてる。好きに呼んで。」

くせ毛の白い髪の男は、奪ったシャーゼンロッセの身体を口にいれた。


「もっと美味しいものが食べた方がいいよ。君の感情は不安で出来てる。不安……はっきりしない味は負の反対で甘いし酸っぱくて苦手。」


彼の手は獣みたいに尖っていた。そして、銀色の鱗が手に生えている。

「なんなんだよお前。負を食べるって……死呪霊なのか」


アンノルンは少し考えるように視線を逸らした後、頷いた。

「多分そう。君の言葉を使うと僕自身が死呪霊だと思う。」


「グルッァ!」

シャーゼンロッセが鳴いた途端に、シャーゼンロッセの足が奪われた。

「……え」


「逃がさない。アルはそのためにいるんだから。」

これまでシャーゼンロッセは実物がない。気配のような存在で俺しか触れられなかった。なのに、こいつは


「君みたいに話ができる存在が好き。でも、クロクに殺せって言われちゃった。ごめんね。」

「グル……グルグル!」

シャーゼンロッセは痛がりながら立ち上がり、アンノルンに襲いかかる。


だが、一瞬で吹き飛んだ。ザーッと波のようになりシャーゼンロッセは弱っている。


「シャーゼンロッセ!!」

「……。」

アンノルンは少し考えるように口を開いた。


「クロクの言葉の意味わかった。そっか。君も同じなんだ」

「何がだ」

彼は俺の言葉を聞かずに、シャーゼンロッセに向かう。

「君、アラストリアなんだね」

「……なんで知ってるんだ」


俺はシャーゼンロッセの前に立った。世界はもう足場しかない。

「だってアルは……」



「ストップ。アンノルン、それ以上開示はしない方がいい。それを塩を送るっていうんだよ。」

「……。」

アンノルンの背後からクロクとフューブリッジが現れた。さっきまで戦った神が2人。そして、得体もしれない死呪霊。


「彩夢、君の足掻きは素晴らしかった。造り手としては満足さ。でも、君の世界に獣はいてはいけないんだよ。」

「何度も言うが、我々はお前を現実世界に戻す気だ。だが、そいつは連れて行けない。その力でやることは許されないことだ。その位のことということは、それは決められた運命だ。抗うべきじゃない。」



「うるさいな。運命が歪んでも、世界が混乱しても関係ない。俺さえ良ければそれでいい。」


「なら力づくだよ。その削りきった僅かな力で足掻けるかな」


俺がナイフと銃を向けた瞬間、ナイフが折れた。


「あまり損傷させないでね。現実世界に返す時に大変なんだから。それにしてもやっぱり僕らは相性がいい」

「お前に合わせて創られたからな。」

「そうだね。さあ勘弁してね、彩夢」

残像さえ見えなかった。時間を止める力、永遠の再生、そして死呪霊……。こんなやつらを相手に俺は勝てるのか。


「グル……アア!!」

その時、シャーゼンロッセは俺の身体を抱きしめ下に頭をつけ落ちていく。


ブチッと鈍い音がした。シャーゼンロッセの下半身をアンノルンが引き裂いた。



それでも俺を抱える腕だけはと力を入れていた。

「お前……!」

―――――


「ごめん、逃げちゃった。」

「まあいいよ。あんなに損傷を与えたんだし、簡単には復活できないだろう。それはそれとしてアンノルン、何か思い出したかい?」

「……なにも」

「ならいいよ。後は任せて。君にはまた死呪霊を狩ってもらう。」

「うん」



―――

そして、気づくと俺は現実世界の病室にいた。

『なるほど双子ですか。確かに、継承もしやすいし、負担も少ないです。』

『関心している場合じゃないです。鎌を使う選択肢は評価します。情報を握られる前に返しましょう』

血の糸で情報を流しながら、使い魔とレフトバは背中を合わせ釜をかまえた。


『彼らは情報端末を使う。影に入れて電波を遮断しましょう』

『それもそうですね』

レフトバは、ツルのように伸びる鎌を使い、2人を1箇所に集める。


「仲間 追加。名称 レフトバ」

「大丈夫だよ。レクイル。私たちは完全体。失敗作が勝てるわけないんだから。」


影箱(シャド)

2人が同じ場所につき、使い魔は影箱を展開する。彼らはスッポリと影に飲まれた。


「まだ全貌が見えていない以上、楽観はできない。後は私の新作のアレを使います。」

「何を賭けますか」

「あなたの羽」

「いつも泣きながら羽を抜いてるんですよ。死ぬまで綺麗な羽は持っていたいのですが……」

「大丈夫。勝ちます。運はいいんですよ」

「前、天界で操られてあばれまわってた癖によく言いますね。」

「あの世界で気が狂わないあなたの方が本来おかしいんです。皆あの世界は魔力が狂うんです。気を取り直して、いきますよ」


「何、ここ。……っ、通じない」

「電波 遮断。復帰……失敗」


「さあ、獲物の双子さん。私とゲームをしましょう。」

「するわけ」

「ここの世界は彼の意思で決まります。拒むなら、」

「……っごほ」

「レクル!?」

「さあ遊びましょう。何が欲しいですか」

「あんたの力の提示。1日来てもらう」

そう使い魔を指指した。

「いいでしょう。私が勝ったら、ハカセ特性の薬を飲んでもらいます。」

「薬……?私たちに効くとでも?」

「えぇ。ではやりましょう。」

「勝手に賭けないでください。はぁ絶対に勝ってくださいよ。」

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