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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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分岐点

 ――天空


「色々あったけどいちよう解決でいいかしら?アタシたちは地界に帰るわ、やることが沢山あるから」

「わかった。本当にマリ達にはお世話になったな。なのに、何も出来なくてすまない」


「気にしないでください。そちらには復興もありますし、スプラウト様は重症、その他の方も大変だと聞きました。私たちの事はおかまいなく。」

「それに弥生君もずっと引きこもってるんでしょ?あの歳で大事な人が死んでショックだと思うしケアしてあげて」


「すまない。もちろん後は私の方でなんとかする。」

 ウィストリアはやつれた表情をしながら頷いた。



「ごめん。ウィストリアの力になれなくって」

「いいんだ。これでも彩夢に助けられる前よりは良くなっているしな。」

 ウィストリアとマリが握手したその時、彼女たちの耳に足音が入ってきた。目がやつれ身体がボロボロになったままの弥生の姿があった。


「弥生少し落ち着いたか?」

「……うん。」

 弥生は胸に彩夢のノートを強く抱えながら、使い魔の顔をみた。


「おねがいします。ぼくをきたえてください」

「私ですか?」

 使い魔はびっくりしながらもマリに目線を向けた。


「ピーちゃんは治療が必要だからなあ。地界に連れていけばできるけど」

「じゃあついていかせて」

「待ってくれ。弥生は天空で面倒をみないと」

 ウィストリアは焦りながら弥生を止める。弥生はただ汚れたノートを抱きしめていた。


「ぼくはおにいさんをたすけたい。それがおにいさんの「ねがい」なんだ。」

「「……!」」

 弥生の言葉に全員がうつむいた。


「本当に書いてるの?」

「うん。さいごのページに、おにいさんをたすけて。って」

 3人がノートを見ると、血がページに染みながらも何かを書いていた。



『結局、僕は彼を救えなかった。これから書くのはただの人任せでしかない醜い希望だ。誰でもいい。もし、叶うならいつか彼を、信田 彩夢を』


『救って欲しい』

 歪んだ文字を読み取りながら3人はただ何度も読んでいた



「ウィストリア、彩夢はどこにいるの?」

「私には分からない。情報網が動かないし、彩夢は異例でここに来て、神に目をつけられていた。何かされていると考える方が無難だろう。」

 ウィストリアはこれ以上は無理だと限界かのように呟いた。



「おねがい、ウィストリアさん。おにいさんはどこかにいる。」

「……」

「姫、どういたしますか? 彼らに頼むのもありですが」

「そうね。ユキ達にとって良い魔力の発散相手にはなるわ。彩夢にはお世話になったし、ただウィストリアにも事情があるのでしょう?」


 ウィストリアは少し考えると、紙を取りだし何かを書いていた。



「私が何とかする。ただし天界の1週間。冥界なら5ヶ月くらいだな。天界には頭を下げておく。だが、それ以上は許されない。」

「わかった」

 書き終わった紙を弥生に持たせた。


「あと、帰ってきたらスプラウトに元気な顔を見せること。約束だ」

「うん」


「あとは任せたぞ。」

「えぇ」

「はい」

 ウィストリアはただ消える彼女達を見守っていた。

 全ての運命は枝のように別れていく。

――旅立つ少し前

「ひめさんの血は美味しくてたまりません」

「黙れ。姫から離れろ。」

使い魔は痺れを切らしたように睨みつけた。



「じゃあ貴方も甘えればいいじゃないですかあ。貴方3歳ですし肌が恋しいのでは?あっ今日はずっと私のものです」

「後でどうなるか分かってますよね。」


「まあまあピーちゃん。レフトバも大変だったんだから多目に見てあげて」

「……っ。姫がそういうなら、私はもう寝ます。何か合ったら起こしてください。流石にまだ疲れてます」


消えた彩夢の部屋でピリピリとした空気が流れていた。レフトバはマリに抱きつき口の周りを血を染めながらも 舌なめずりを繰り返し噛み付く。



「そうそう。ピーちゃん、明日くらいには帰ろうと思うの。もう彩夢も居ないし仕事もあるし。貴方も休まなきゃだめでしょ?」

「私は休まなくても大丈夫です。姫の仕事を手伝いますよ。」


「あー、また強がってますねえ。貴方の1番やる事分かってます?もう日が長くはないの分かってます?ほーら、ハカセに看病してもらわなきゃだめでしょ?私が姫さんの面倒みるので」

「……」


その時、ドアが開きウィストリアがフラフラしながら入ってきた。


「もう、天使ですっけ?今いい所なんです! 私と姫さんの仲を邪魔しないで」

「黙ってください。ウィストリア様、大丈夫ですか」



「あっ……すまない。つい。数日経っても、まだ彩夢がいると思ってしまって。」

「……」


「人間に情を持つなと言われてきたが、その意味がよく分かる。こうやって依存してしまっていたとはな事務のくせに。すまなかった。これを置いておくからゆっくりしていってくれ」


……

「これで何回目でしょうね。」

「それほどウィストリアは、彩夢の事を大切にしていたのよ。今回だって、忙しいのにフルーツを持ってきていたし。」


「よし、もう力を貸してくるわ。」

「姫がそう言うなら喜んで。」

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