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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 39話 同じ母の元

天空を潰そうとするヒロク達。不遇な扱いを受けて死んだ子ども達と僕達はそれぞれの守るもののために戦争をはじめた。

 彩夢が戦っている一方で、使い魔も戦っていた。ヒロルが檻を壊したことで逃げ出してしまった人間を追いかけ、彼らを影で足止めし銃を振り上げる。



「はぁ。ここの檻はどうしてこんなにも脆いのか。地界を見習ってほしいです。」

 使い魔はため息をつきながら銃を振り下ろし気絶させる。数分も経たないうちに、1人を残し皆倒れ込んでいた。



「これが平和ボケというやつですかね?姫が言っていました。」

 靴で地面を叩き髪を入れると、倒れた人間が影に沈んでいく。



「あとは貴方ですね。」

「さっきからうるさい。姫姫姫……って!」

 最後に残った1人とは前にマリを襲った少年だった。唇を血が出るほどに噛み締め使い魔を睨みつける。


「姫は貴方を大切に思っているのは察しています。しかし、」



「姫の意を裏切ってでも私はここで貴方を殺します。姫に被害がいく前に」

 使い魔は目を光らせ爪を見せた。



「待って、ちゃんと話をきいて判断してよ。僕にだって怒る理由があるんだ。あの人が何したかくらいきいてよ」

「興味ありません」


「これは僕が生まれて3歳のと

 話しを始めた途端に、使い魔は首元を狙って飛びかかった。


「聞いてよ」

 少年の低い声と共に獣が姿をだし、首に向かう手を捕まえる。


「……っ」

 使い魔の細い腕を握ると鈍い音が鳴り響く。咄嗟に使い魔は使えない手を振り子のように利用し、獣の頭を蹴り腕を抜く。



「貴方も十分ひどいと思いますが。法に縛られる世界の子供なのに簡単に人殺しが出来るんですね」

「だって、3歳の時に死んだよ?ほうりつ?とか分かんない。ただ、ヒロルが殺れって言うし、お母さん悲しんでるし、楽しいもん」


 軽やかに獣の攻撃を避けると、銃を短距離用に変更させ彼へと銃を放つが獣が簡単に銃を防ぐ。


「死ぬ時はね一瞬なんだ。お兄さんはいいよね羽があって。高い場所から落とされても死なないんだから。」

「……姫に落とされた。とでも言いたいんですか?」

 獣が彼の心を読み取るように雄叫びをあげながら使い魔を睨みつける。



「うーん、そうだな。僕が死ぬ時、お母さん守ってくれなかった。刺されて泣きながら僕を見てた。もし化け物から離してくれたら、僕は幸せに生きていたのに。」

「化け物?」

 使い魔はそんな者が現実に居たかと考えた。しかし、姫から聞いてないからいないだろうと結論づける。



「お母さんは優しくて、暖かくて、守ってくれるものでしょ?なのに、どうして僕は化け物と一緒に暮らさなきゃいけないの?暴力しかできない化け物と暮らすの?」



「なんでお母さんと離れてるの?」

 彼の瞳孔が開き、獣に何かを食わせていた。使い魔の視力は三角を捉え、すぐに対象を狂わせる液体だと当てる。



「それは止めた方がいいかと」

「お母さんと僕で一緒に死ぬんだ。僕の夢を邪魔しないでよ」

 獣からは翼が生え、牙の数が増える。手はさらに大きくなり地面を叩く度に大きな振動が使い魔を襲う。



「私がそれを許すとでも?」

「許す権利なんてないでしょ?」

 使い魔は銃を長距離用に切り替え距離をとった。

(おそらく彼の身体では数分しか持たない。時間さえ稼げれば勝手に自滅するだろう)



「逃げんなよっ!! ペアスト!!」

「ウウ……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 狂う獣は周りが見えないかのように手当り次第の障害物を無惨に破壊していく。


追跡(プロッキング)麻痺(マヒット)。主ありて我が力、影となりて弾き飛べ」

 獣の目に映る前に、使い魔は銃を地面に突き刺して放つ。獣が姿を見た瞬間に、獣に雷のような筋が流れ呻きながら倒れ込んだ。


「ダグルト・ガラッチェル」

 また靴を叩き髪の毛を入れると、マスクを口につけられ獣のような人影が現れる。



「姫は貴方の母では無い。あの方は誰とも付き合った事もないと聞いています」

「黙って! ペアスト、速く殺せっ」

 必死の表情で、彼は鎖のような剣を振り回す。


「人ごときが姫の使い魔に勝てるわけないんですよ。実力を知るべきです」

 自分に飛びかかる鎖を握り破壊し、獣の首に爪を突き刺した。



「――!!」

「姫は言っていました。とある友達の子どもの世話でいっぱいだったと。姫は貴方のことを忘れずに悲しそうに私の世話をする時がありました。おそらく、ずっと私と貴方を重ねていたのでしょう」


「お前と一緒にするっなっ! ガッハッ」

 突然、少年は倒れ込み血を吐きこんだ。


「その薬は人間が使えるものではありません。残念ながら獣と人を繋げ、共存する仕組みの時点で貴方に適正はありません。」

「……いやだ、いやだ」

 少年は胸を抑えて呻きあげる。獣は無惨に血を流していた。



「最後に昔話をしましょう。ある日、捨てられた私は姫に拾われました。姫は下手な笑顔を見せてずっと笑うように言っていました」

「――っ!」


「貴方も言われたんじゃないですか?」

「お母さんは下手な笑顔なんかじゃ!……っ」


「それは貴方の件があったからですかね。貴方の事を姫は悔やんでいたんでしょう」

「……っ」



「もう終わりにしましょう。苦しみながらジワジワ死ぬのは嫌でしょう」

 使い魔は口についたマスクを引っ掻いていく。その途端に姿が消え少年が瞬きする途端に、使い魔が最後の縛り付ける布を引きちぎろうとした。


「――っ! いやだっあっ! お前だって! 血なんて繋がってないくせに!」

「……確かに繋がってはいませんね。でも、決めてるんです。血が繋がってなくとも、愛をくれた姫のため一生慕い続けると」

「だまれ、だまれっだまれえええええ!!」



「キシャアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

「待って! リカ!」

 泣き叫ぶ声に甲高い声が重なった。



「お願い、ピーちゃん止めて!! 命令よ止まりなさい!!」



「…ッ!!」

 使い魔は首についた何かに押さえつけられた。それを除けようと首に向かって引っ掻くが何も出来ないまま座り込む。


「ピーちゃん。お願い、彼を私に任せてほしい。その間、少し時間を稼いでちょうだい」

「……」

 周りには揺らめく陰が目を光らせていた。使い魔は変わり果てた姿で息を荒らげながら立ち上がった。



『……。姫のご意向に従います』

「ちなみに現実世界はほんの僅かしか魔力がないため、全力が出せません。」

「精霊界は?」


「地界くらいの魔素はあるので動きやすいです。ただ……」

「(最初の見せ場なのに)相手が悪かったですね」



「全くです。冥界では強い方だと思いますよ?いちよう戦争兵器として作られましたし」

「強いのに、(咬ませみたいな)酷い扱いされましたね」


「痛かったです」

「確かに(これから咬ませ扱いされたら)痛いですよね」


「2度とごめんです」

「まだ挽回できますよ!!」


「……したくないです。」

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