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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 34話 最後の思い出

僕が天空にきてからしばらくが経った。

ヒロルと名乗る相手との決戦前、僕らは遊園地で思い出作りをしていた。

 僕達がきた遊園地は山の中にある「ライオンワールド」という場所だ。山の中だけあって面積は広いし田舎の方だから平日がガラガラなのがありがたい。少し困ったのは12月中旬くらいなので寒いことくらいだ。

「おにいさん、あれ乗りたい!」

「よし乗るか!!」

 弥生は木馬をめがけてはしゃぎながら走って行く。


「皆さんも乗りますか?」

「アタシ乗る!」

「待ってください、姫っ」

 マリや使い魔も走り出し、スプラウトとウィストリアは頷きあってついていく。


「おにいさん、一緒に乗ろっ!」

「あぁ」

 僕は弥生を持ち上げて乗せ、僕も馬をまたがった。


「ウィストリアさん、これ本当に物なんですか?本当に馬みたいにみえますけど…」

「聞けばわかる。これはなんだ彩夢?」

「遊具っていう子どもから大人まで楽しめるものです。まぁ乗ってからのお楽しみですよ。」

 ウィストリアにそう言うと、「ならやってみるか」と2人はそれぞれの馬にのった。


「姫、あまり怪しいものには」

「怪しくないわよ。ここにあるものは安全安心、そして楽しいアトラクションしかないわ。」

「……アトラクション?」

「遊具よ。漢字で書くと遊ぶ道具。乗ればわかるわ」

「分かりました。」

 使い魔はマリが乗るのを手伝うと、使い魔も隣に座った。


 そして、アナウンスが鳴ると、軽快な音と共に馬が上下に動き始る。

「これいっかいのりたかった! たのしい!」

「それは良かった。僕も久しぶりに乗ったよ」


 五分後

「すごく楽しかったですね! あんなものがあるとは思っていませんでした。娯楽といってもここまで凝っているのは天空にはありませんから。……はっ、ウィストリアさん作りませんか?そうです、作りましょうよ!!」

「あれを作るのか?楽しかったが流石に場所がな」

 二人ともテンションが上がっているのか弾むように歩いていた。


「姫、お怪我はないですか」

「大丈夫。もうピーちゃんったら私のことに気をかけ過ぎよ。気にせずに楽しんで良いんだから。で、どうだった?」


「そうですね……人間を喜ばせようとしているのだなと。あの絵という走るような動きといい、日常ではできない動きをしていますね」

「そういうんじゃないような。まぁとりあえず警戒心はいらないって分かれば良いわ」

 マリは楽しそうにしているが、使い魔はまだ考えこんでいる。


「お兄さん、次は?」

「そうだな」

 僕は弥生の持っている地図をみた。なんか、高所系多くないか?

 いや、天空で慣れもあるしある程度は乗れるだろう。


「スペースシップ?」

「暗い建物の中にあるジェットコースターだ。」

 とりあえず、訳が分からなそうに説明を読んでいる皆も乗せて車体は動き出した。


「イヤッホオオオオ!!!」

「わーい!!」


「綺麗ですね!真昼なのに星がきれおぼぼぼ……しゃべっ」

「皆さん手をあげると楽しいですよ」

「手をあげるというのは……落ちませんか?」

「あげればいいのか?」

「はい、いいからあげる!!」

 それにしても、なんで手を挙げると楽しいんだろうな。ま、いいか。


 ――

「皆さん大丈夫でしたか?」

「あぁ、だが少し怖かったな」

「もしかしたら暗闇とか狭いのがダメなのかもしれないですね」

「そうなのだろうか?あまり気にしなかったんだがな。」

 ウィストリアと話しているうちにスプラウトと弥生が空高く指さした。


「次はあれ行きましょ」

「乗りたい!!」


 あれ?

「うげ」

 思わず口にだしてしまうほどのものがそこにあった。観覧車より高い位置でほぼぼ生身の状態で脚を伸ばしている人がいた。しかも回っているし。


「や、やよい。い、い、行っておいで」

「行かないの?」

「手段と遊びの許容範囲には差があるんだ。つまりあれは怖いんだ。悪いな」

「私も少し疲れたから彩夢と休んでいるよ」

 ウィストリアもさっきのが堪えたのか休みたそうにしていた。


「じゃあ私もいってくるわ。ね、ピーちゃん」

「はい、姫」

 使い魔も少し慣れたのか勢いよく頷いていた。


「「いえええええい!!!」」

「あっははは」

 少しすると、すぐに上に皆が上がっていき叫び声が聞こえてくる。

 使い魔さんも楽しんでいるな。


 僕はウィストリアに暖かいお茶を渡しベンチに座って皆をみていた。

「彩夢」

「どうしましたか?」


「実は少し前に夢のことを聞いたんだ。」

 振り向くと、ウィストリアをお茶を力強く握りこんで表情を曇らせていた。


「お前を助けたいと思った。ずっと考えて手は打とうとしたが、私には何もできなくてっ」

「いいんですよ。その気持ちだけで充分です。」

 ウィストリアは悔しそうに歯を食いしばっていた。クロクにでも聞いたんだろう。


「僕はみんなで遊園地に来れてよかったです。現実の環境で何も感じるに死ぬよりは、こう仲間に囲まれて死にたくないと感じた方が思い残すこともなくポックリ死ねます。」

「彩夢……」

「さぁまだこれからですよ。行きましょうウィストリアさん」

 こんな日常が毎日続けば良いって何度も思った事がある。


「おにいさーん!」

「彩夢君!!」

「楽しかったです姫!!」

「ピーちゃんがそんなに喜ぶとはね。やっぱり空が良かったのかしら」


 ただ、日常は何かしら削りながらできているものだ。何一つ不自由ない日常なんて本来ないのだろう。僕が乗っ取ってしまったあいつの日常のように。


「次はなににのる?」

「じゃああれ!!」

 弥生はその質問を待っていたように僕の手を取り走り出す。ウィストリアはその様子を微笑ましく見ていたような気がした。


「ギャオ--」

「なんですかこれ!!」

「下がって、私が相手になります」

「やったらダメ!! あれ創りモノッん」

「夢を壊すな夢を。使い魔さん、縄張りに入ったから怒っているだけです。離れればいいんですよ」

 恐竜ってやはり天空といい地界の人も分からないんだな。


「きょうりゅうさん、すごかった! つぎ!」

 ジュラシックパニックという建物を出ると、次は大きな建物に入っていく。看板には、ゴーグルと手になにかを持った人が笑っていた。ということはVRか。


「彩夢、VRってなんだっけ?」

「うーん映像を実際あるように体験するやつ」

「ざっくりねぇ。よりによって銃撃ってのがねぇ」


 マリの予想通り、銃撃戦はリアルよりしょぼく感じるほどのっさりしていた。ただ跳んだりはできないので平面的になり確実に当てるにはどうするかの練習にはなった気がする。


「おにいさんとつかいまさん、すごい!!」

「慣れてますから」

「少しの期間だが使っていたし、しっかりと練習していたからな」

 流石に銃を扱う使い魔には勝てなかったな。



「じゃあ、そろそろお昼ご飯食べませんか?私とウィストリアさん作ってきたんです」

「本当ですか?ではいただきます。」

 ピクニックエリアに行くと、ウィストリアは切り裂いた空間から弁当箱を取り出した。

 大きな弁当箱が2つあり片方にサンドイッチ。もう片方にはフルーツ、お肉などが沢山入っている。


「すごいわね! 天空のものが沢山じゃない!」

「こんなにしてもらってありがとうございます。では、お茶でも汲みましょうかね」

 使い魔も影からお茶のポッドを取り出しピクニックが始まった。ピクニックとか何年ぶりだろう。歳が経つほど家族とピクニックなんてしないし友達もいなかったから川ですることも無かった。


「どうしたんですか?」

「いえ、こんなに心が満たされることはなかったので少し考えこんでました」

「もう彩夢、まだあるんだから」

「そうだな。」

 そして、その後もアトラクションに乗り続けて、最後に観覧車に乗っていた。





「それにしても使い魔さん楽しそうですね。」

「やはり空は本能というのか心が躍りますね。それに空ならなにかあってもどうにかなるのでで心置きなく楽しめますし。」

「流石ですね、ちなみに、高跳びとかやってみませんか?きっと凄いことになりますよ」

「高跳び?跳ぶだけで良いなら喜んでやりますよ」

「いやいや、絶対やらせたらダメよ。ピーちゃん無敵すぎでしょ」

「ここまできたら圧倒的に跳んだ方が面白いだろ」

「どこまでよ……」

「そういえば、晩ご飯は現地の予定だが何食べたいんだ?」

「ケーキ食べたいわ!」

「冬はチーズが美味しいのでそこらへんで」

「鶏肉はやめてください」

「いろいろたべたい!」

「じゃあこのディナーはどうですか?「かにもある!たべほうだい」って書いているんですけど」

「いいじゃない!!」

「「かに」というのも美味しそうですね」

「いいと思います!」

「うん!」

「よし、じゃあ「かに」を食べに行こうか」

「「やった!」」

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