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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 33話 作戦と契約

人間、天空を恨むヒロル達との決戦が近づいていた。

そこに向けてある作戦がたてられる。一方、僕は死呪霊という存在を知りたがっていたマリに話しをする。

「集めました」

「ありがとうサウド」

 次の日、ウィストリアは天使と女神、合わせて100人以上を集めて会を開いていた。

 厳かな雰囲気の中彼女は息を吸う。


「よく集まってくれた。知っている者も多いが我々天空に危機が迫っている。クロク様の予言だとあと二日後の夜に来るそうだ。」


 その瞬間に周りからザワザワとざわめきが聞こえた。

「めっちゃ急じゃない。でも神界っていつもそうか」

「またあれくるの!? やだー前髪の毛やられたのにー」

「前は不意つかれたけど今回は分かってるだけマシよ。」



「安心しろ。前回から1部の者で対策は既に練っていた。相手は人間と一人の女神、そして死呪霊だ。我々がしっかりと策の通りに行い魔力勝負に持ち込めば勝てるだろう」


 対策というのはスプラウトやサウドが行っていたものと僕が提案したものだろう。ある程度は知っているしあれなら打撃は与えられるはずだ。


「人間ならいけるかも。」

 心配していた女神や天使も「魔力でなら勝てるわ」と意気込み始めた。


「そして、その策だが今から能力に別けて分別し説明を行う。しっかり聞き、我ら天空を守るため力を貸してくれ!」

「「おー!」」


「なんかいけそうな感じしてきたわ。前の仮返してやるんだから!」

「害ある人間に格の違いを教えてやろう」

「それに今回パナヒルの姉様がいるのよ。心強いわ。」


 女神や天使は争いを止めてから仲良く生活をしている。転生者はどうなったかは知らないが、ウィストリアがなんとかしていると、僕は思う。


 話を聞き策をとっている様子を見届け、僕はウィストリアの部屋でくつろいでいるマリと合流した。


「どう?いけそう?」

「まぁな。とりあえず侵入を最小限にして数で攻めれば勝てるだろう。」

「ま、あたしも力を貸すわ。天界と地界の争いじゃないし派手にやってもいいでしょ」

 マリはそう意気込み、使い魔も静かにうなづいていた。


「そのまえに最後の取引ね」

「あぁ。大体のことは答えるよ」

 死獣霊について僕の知っている限りを話す約束があった。ずっと忘れていたが最後くらいは答えないとな。


「単刀直入に言うわ。どうしたらあいつら死ぬの?」

「簡単にいうと供給源である魔力を消せば良い。実際あいつらが得る魔力は人の負の感情を魔力の代わりにしていきている。その供給さえ切ればいい。」

「魔力じゃだめなの?」


 えーとなんか聞いたことが

「……そもそも感情から生まれてる。人の感情がもっとも動くのは怒りや悲しみといった感情で、言霊って言葉があるように言葉や感情、想いにはオーラがあってそれらの濃いものが歪んで固まって生まれた。」


 はず。それにしてもどこで知ったのか忘れてしまった。何で覚えているんだろう?


「まぁここに住んである程度理解したが、この世界は人間の想いが力になるという特性がよくみられる。なら、負の想いを力に変えるのも可能だろう。」

「なるほどねぇ。じゃあ次、人間とか獣に取り付くのがいるじゃん。理由が知りたい。」

 マリはまた次の疑問をぶつけ、使い魔はすかさず紙にメモを取っている。


「一番は安定だな。負の想いは死呪霊だけじゃ得ることができない。そこらへんにある小さな想いを食うよりは想いを抱くものに住んだ方が安定するし、あいつらが取り付くことで負の感情を抱きやすくなる。」

「迷惑な話ですね。」


「あとは、負を力にするといったものは生命維持にも使われるんです。だから、とりつかなかった死呪霊も怒りの発散によって周囲からも負を得ようと行動します。人間はストレスが貯めればものに当たったり、人に当たったりしてスッキリするのは良くあることなのでそれと同じですね」

「つまり、その負の感情を取り入れるためにってこと?」

 僕はあぁと頷いた。


「じゃあ、解決方法は人間の負の感情を減らせば良い?」

「あぁ。ざっくり言うとそういうことだ。ただ、ヒロル達の影響で死呪霊が増えているらしいからヒロルを倒してからにはなるがな。」

「分かったわ。ありがとう、ヒロルを倒したらそこからはアタシがなんとかするわ。じゃあ弥生君を呼んでこようかしら」

 そう言うと、マリは弥生の部屋に入っていく。すぐに追いかけようとしたが弥生を連れて僕の元に連れてきてくれた。


「ん……」

「マリ、下がってくれ。」

 弥生は苦しそうに僕を目で訴えかける。


「分かった。」

 僕が腕をまくって見せると、弥生は容赦なく噛みついた。


「へっ!?」

「さ、彩夢くん!」

「大丈夫です。彼に魔力を渡しているだけなんで。」


 5分過ぎると、やっと弥生は腕から牙を離す。


「結構飲んだ。2日くらいは持つとは思う。」

「そうか」


 そう言い残すと弥生はバタッと倒れこんだ。


「こいつは弥生じゃなくて死呪霊だ。ただヒロルに飼われてて魔力を自分で摂取できないから僕が代わりに渡している。」

「でもただの魔力じゃ……」

「僕にはアラストリアがいるのでほぼそこからです。」


 僕はすぐにガーゼで抑え込み、マスクをつける。

「ねぇ、彩夢。アラストリアは分かるけど、えっとどこからその負を取ったの?」

「多分、僕自身だろう。いや、僕というよりは……」


「おにいさん、なにしてるの?」

 話しているうちに弥生が目をさました。


「なんでもないよ。準備は出来たか?」

「うん!!」

 そう言うと、すぐに部屋に戻りポシェットを首にさげてきた。


「彩夢くん!! 私達も最後の休みを貰ってきましたよ!!」

「皆が準備でき次第すぐに行こうか」

 ウィストリアとスプラウトも後に続くように帰ってきた。


「はい。行きましょう。」

 これが僕にとっての最後の思い出だ。


「チケットは確保済みだ」

「ではでは行きますよー! ライオンワールドへ!」

「おー!!」

「さっき、自分から供給してる言ってたけどさ。本当に影でやっていないの?」

「なんてこと言うんだ。やるわけないだろ。というか、これまでに殺す暇があったか?結構忙しかったんだぞ」

「いやー分かるけどさ。彩夢って変に尖ってるじゃん。今は優しいけど前に比べたら別人じゃん。」

「あんときは殺されそうになったからだ。学校の時は塩梅持ってたしぃ……」

「まああんなんじゃ友達が出来ないしね」

「……」

「なんかごめん。まぁ気を取り直して次は遊園地でしょ。楽しみましょうよ」

「そうだな。」

「欲をいうならねずみランドの方が」

「遠いし、僕らの首が飛びかねないから却下だ。」

「まぁ消されるよりはマシね。」


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