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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 一方で

自殺しかけた転生前者を助けるため、マリと使い魔は現実世界に向かった。

 ――現実


「まじか」

「はい。今日はおそらく無理かと。」

 彩夢が倒れたと使い魔から聞き、真下は下を向きながら頭をかいていた。


「仕方ねぇ。まぁアイツが色々と道筋立ててくれたんだ。もう何とかなるし気にすんな。」

 そう言いながら、使い魔から服を受けとり準備を進めていく。


「今日もいるんなら前と同じように適当にやってくれ。」

「かしこまりました。行ってらっしゃいませ。」

 パン屋に向かう真下を見送り、ゴミ屋敷の方へ使い魔は向かった。


(姫には言われてますが、足場が悪いので仕方ありません。)

「よっと…ピッ!」

 彼はヒヨコの姿になりゴミ屋敷に潜り込んでいく。



『……っ。引き込め』

(あの人間の「ゴミ」というものを我が目に映せ)

 そう唱えると使い魔の目が赤くなり、ゴミと識別したものを影に引き込んでいく。ヒヨコはスタスタと歩き周り、一掃すると床に浮かびあがった黒い影に潜り込んだ。



「ぴー兄さんを手伝うぞ!」

「おー!」

 影に潜り込むと冥界の子ども達がニコニコと手を振っていた。ヒヨコはその様子をみて驚きを見せながらも、また人の形に戻る。


「本当に来たんですね。では今から手伝ってもらってもいいですか?」

「「はーい!」」

 こども達は返事をすると、グループに別れゴミの中におかしな物がないか仕分けていく。



「……どう?」

「はい。問題ありません。それは燃やして大丈夫です。」

 黒い塊の中に入ったゴミが一瞬で灰になる。


「ね、にいちゃ」

「どうしました、ユキ?」

「これ」

 ユキが手に持っていたのは、ハートをもった女の子の人形だった。


「……これは」



 ――一方

 マリはウィストリアと共にある女の人の手伝いに向かってきた。マリは赤ん坊を揺すりながらニコニコしている。


「流石マリだな。」

「昔、友達に子どもがいてお世話してたのよ。」

「あーあ!」


「ん?あーあー」

 マリは言葉を繰り返しながら、音のなるおもちゃであやしていた。


「本当にごめんなさい。私じゃ泣き止んでくれなくて」

「いいのよ。それにそんな顔じゃ子どもだって不安になるわ。赤ん坊は私たちより繊細なんだから。」


「繊細?」

 ウィストリアは赤ん坊の母の様子に目を配りながらもマリに問う。


「赤ちゃんは私たちより感情を読みとりやすいのよ。お母さんが不安だったら笑顔でもすぐに感じ取れるんだから。」

「そうですね、、、赤ちゃんは見て吸収していきますし。私のことを観察、、してると思います。」

 彼女はつぶやきながら、マリと赤ん坊の様子を見て落ち込んでいた。


「だから私考えたの。貴方がここにいても気が張るだけだし、気分転換に何処かに出かけて来なさい。」

「えっ、、でも」


「2泊3日くらい行ってきなさい。」

「そんなには!」

「アンタはこれからこの子を守って行かなきゃいけないの。今、ここで倒れたらどうなるの?その調子で赤ちゃんのために何が出来るの?」

「マ、マリ言い過ぎでは」

 ウィストリアに止められても、マリは気にする様子がない。


「いつか、そのストレスが赤ちゃんに向くかもしれない。赤ちゃんには貴方しかいないの。貴方に拒絶されたら生きていけないわ。」

「、、、」

 マリはため息をつきながら、自分の指と彼女の指に糸を巻き付ける。


「ま、今の世の中。昔みたいに家族や地域の人が助けてくれることは少ないわ。片方いないのもよくあるし。だから抱え込むのも仕方ない。」

「でも、今は私たちがいるんだ。マリはキツいかもしれないが、ちゃんと貴方のことを心配しているのを分かってほしい。」

 ウィストリアが彼女の背中を撫でながら落ち着かせる。


「その紐は、他人に見えないの。心配になったら視界を見せてあげるからその紐を引っ張りなさい。」

 彼女が紐を引っ張ると、片方の目に赤ん坊が映り込んでくる。マリはふふんと言いたそうに顔を傾けた。


「出来るでしょ?」

「はい。」

「私もちゃんと見ているから安心してくれ。」


「いや、ウィストリアにも行ってもらうわ。1人じゃ行きにくい場所もあるし。何かあったら魔法使えば帰ってこれるでしょ?」

「そうだな。力になれるなら、御一緒しよう。」

 マリに丸め込まれるように、ウィストリアは頷いた。


「ちゃんと金額も補助するから、安心しなさい。」

「ありがとうございます、、」

 彼女は涙目になりながらも、頭を深くマリに下げた。


「さっ善は急げ。今日出発よ!」

「は、はい。」

「了解だ。」



 ――――

『みつけた。』

 「本当だー流石ペアスト! お母さん生きてて嬉しいね。」



 「やっと復讐できるんだ。ボコボコにしないとね。」

「そろそろ、貴方が使う力について詳しく教えてもらってもいいと思いますが。」

「急ですね。…姫が信頼しているので構いませんが。前はざっくりでしたからね。」


――冥界で彩夢が眠っていた頃

冥界では使い魔とハカセの使い魔が破壊された町の復旧についてのデータを読みながらお茶を飲んでいた。


「私の力にある影というものは、対象を無理やり引き寄せ、何も無い場所に、ある一定の空間を作り保持、自由に引き出すものです。」

「なるほど。言語化してもらうと分かりやすいです。」



「なら……世界と世界を挟んでの移動はできるんでしょうか?」

「人以外ならやりやすいかと。ただ、違う世界から武器を運ぶとなると魔力の消耗は激しいです。影という空間を間接的に作り、瞬時に持ってこさせますから。」


「……?もっと詳しく」

「そうですね。引き込むのはこの目を通して影と同一なり命令しています。影での移動は影から影への瞬間移動だと思ってもらえれば。足元にある影が別れて生み出した空間を1つに引き戻す感覚です。」


「と、なれば例えば冥界から天空だったら、道具を持った冥界の影から現実の影という道を通って天空にある自分の影へという事でしょうか?」

「簡単に言うとそんな感じですかね。」


「しかし、影というものは曖昧ですね。何処なら創れるとか、地面の中しかダメとか…定義はないんですし。」

「存在しない空間なら、どこでも影として創り出せる。それだけです。」



「なるほど。やはり面白いです。じゃあ最後に1つ。冥界から現実への扉は1箇所しかありませんし、門番が厳しいのですけど影は通り抜けれるのでしょうか?」


「いちよう、姫に頼んで許可は取っていますが……そこから現実へ通すのは検知という魔法を受けてしまいますし、形を維持するための魔力が必要になるので例の移動穴を使っています。」


「あぁ。あの例の穴のおかげで冥界から現実への移動がしやすくなったそうですね。あれを使えば冥界のものを現実に持っていくのも簡単では?」

「そうですね。」


「1つ提案ですけど、子ども達を影を使って」

「……怒られるかと。」


「検知もされませんし。子ども達にはいい経験になります。違う世界に触れ、貴方の仕事もみれるんです。」

「バレたらどうするんですか」


「あくまで影の中ならセーフだと!お願いします!子ども達の見聞を」

「わかりました。貴方が来るなら検討します。しっかりと見張っててください」

「もちろん!」

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