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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章 24話 交差する想い

弥生はヒロルによって長い間眠ってしまっている。

僕は、弥生を助けるため彼の中にいる死呪霊との会話に臨む。

「――っ」

「はぁ。そう構えなくても僕はお兄さんを攻撃する気はないよ、お兄さんを殺したって僕に得はないもん」

 弥生は何も無かったようにパッと起き上がると上半身を伸ばしている。


「ヒロル兄ちゃんにも見捨てられたし、今はお兄さんの言う事を聞く方が都合がいいかな。」

「そうか。」

 と言っても急に襲うのがこいつだし信用できない。

 僕は、ナイフを手放すことなくずっと握りしめていた。


「で、なにが聞きたいの?」

「弥生を助けるにはどうすればいいか教えてくれ」


「ふーん」

 彼はどこか諦めているような表情だった。


「僕も知らないよ。でもこのままなのも嫌だし、うーん……じゃあ、今の弥生の状況話す。それでい?」

「あぁ。それでいい。」

 まぁ、彼自身あまり元気がなさそうだし弥生には害を与えてないとみていいだろう。



「弥生はヒロル兄さんに促されて自ら死んだ。で、僕は弥生が生きる上で我慢していた感情から創られた。ここまでいい?」

 ヒロルに促されて死んだ?そんなこと聞いたことが


「初耳?」

「……まぁ。」

「ヒロル兄ちゃんが考えるには僕らは主の抱える呪縛から自由にするキッカケの道具なんだ。だから、この僕は弥生が望んだ姿。好きに遊んで、気に入らないことはやりたくない。小さい頃に否定されてた気持ちが歪んだ形として創造されたのが僕。」

 自分で歪んだとかいうんだな。



「ちょっと辛いから速くするね。でも、僕はお兄さんみたいな化け物のような実態はなくて、弥生の人格の一部みたいな扱い。あと、弥生の意識と生命は僕の支配にあるんだ。そういう契約だからね。」

「なんで弥生はそこまでする。」

 弥生はさぁ?と適当に応答して続ける。


「そして、僕は創ってくれたヒロル兄ちゃんの魔力がないと生きられない。僕のコア…あっ心臓みたいな感じね。それがお兄さんの機嫌次第で簡単に砕かれる物だから僕は逆らえない。あの時だって、僕は望んでない。」

「だからあの時、弥生を乗っ取ってあんな事をしたと?弥生を殺したのもお前なのか?」

 あの時こいつは「僕を捕まえろ」と命令がきたと言っていた。


「うん。そして、負ければ弥生の心臓を壊せって言われた。……仕方ないじゃん。僕が言う事聞かなかったら弥生も殺されて僕も死ぬんだよ?僕が生きてれば弥生は僕のコアを共有すれば生きていける」

「……」

 そうだったのか。

 もし、僕に出会っていなければ弥生は。こんな目に合わなくても


「別にお兄さんのせいじゃないでしょ。あの人、酷いくらいの人間不信だから情もなく殺せるってだけ。それに、弥生はお兄さんに惹かれて着いていくって自分で決めたんだ。」

「……分かった。」

 なら、なおさら僕は弥生をヒロルから守らないとな。


「これで終わりね。んっ、もう……無理。」

 そう言うと弥生はバタリと倒れこみ、僕はとっさに支えた。


「弥生っ」

「僕、最低限の魔力しか貰ってないんだよね。どちらかというと、わざと生かされているって感じ。気分悪い。」

 確かに、息が薄いが


「ヒロルの狙いはなんだ」

「そうだね。多分、僕は人質なんじゃない?」

「人質?」


「お兄さんと戦う時に、僕を人質にして交渉する。とか、負けそうな時に使う。とかあるじゃん。多分、そういうの。まぁ、良いコマがいたら利用するでしょ。」

 確かに弥生が長い間、死をさまよっているのもその狙いがあれば当たり前か。

 僕とした事が、弥生の心配ばかりで先の事を考えていなかった。


 弥生はヒロルの手の平ってことか。


「ねぇお兄さん。」

「なんだ」

「僕と契約しない?」

「なにを言ってるんだ」

 弥生は僕から離れるとふらふらしながら僕の前に立った。


「このまま終わるのは嫌なんだよね。僕はヒロル兄ちゃんの創りモノだけど、僕は弥生の為に生きてるし、今の笑った弥生が好きなんだ。だから、逆らってでも弥生を守りたい。」


「お兄さんだって、僕と同じでしょ?」

「……」



「力を貸してよお兄さん?いや、違うか」




 ――数分後――

「彩夢君!! 今凄い音が聞こえましたよっ……彩夢君!?」



「おにいさん、しっかりしてよ。ねぇ!!」

「弥生くん……?」

 スプラウトの目には、片腕が血まみれになった彩夢と泣きながらに抱きしめる弥生の姿があった。

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