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地平線の仲介者 〜死んだはずの僕が現実で転生を止める役目を受けました〜  作者: 大井 芽茜
第5章 天空戦争編(準備)

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第5章16話 記憶と自分

転生前者の真下を止めてから色々あって、次は本題に入ろうとしていた。

僕は1度天空に帰って寝ることにした。

「人間を死呪霊に変えるだけでなく獣にまでさせるとは……恐ろしい存在じゃな」

「全くだよ。主犯は名前すら与えられなかった子供達、まぁ道徳がないのは仕方ないんだけどね。」


 天空に帰った彩夢の一方で、金髪の少年と羽の生えた老人はのんびりとお茶を飲んでいた。周りには木が生い茂り精霊達が楽しそうに飛んでいる。



「でも……あの程度なら僕1人で潰せるよ。あと、あの子に関しては会話ができる程度には削ってみようかな。」

「そうじゃな。神聖獣が人間の前に現れるのも、力も貸すのもありえない事じゃからのう。気になるわい。」



 少年は笑みを浮かべながら、白い正装に腕をとおし胸のボタンをとめて軽く飛び跳ねる。

「さて、久しぶりに仕事をしよう。命令も来たしね。」

「そうか。これが終われば神界に帰るのかのう?」


「……うーん、この先の未来を僕は知らないからね。アラストリアと彩夢がどう動くかによるかな。」




 ――天空――

 僕は目を擦りながら必死に家まで歩いていた。目はしょぼしょぼするし、身体はフラフラして気持ち悪い。

 このまま目をつぶればすぐに眠ってしまうほどの疲労が僕の頭にのしかかってくる。まぁ、寝れなくはないが……他人に迷惑はかけられない。


 この感覚、テスト明けにクラブが重なって11時に家に帰るのと似てい

「彩夢! ねぇ、彩夢ってば」



 いつの間にか、誰かが耳元で騒いでいる。僕は目に意識を向けて顔をあげた。



「…………マリ。…………か……」

「ちょっ、大丈夫なの?抜け殻みたいになっているわよ?」

「大丈夫。……ただ眠いだ」

 身体に力が入らない。


 最近、毎日毎日調べ物したり、現実の事を考えすぎて眠れなかったから身体が悲鳴をあげているようだ。

 僕の疲労は昔から一気に来るようになっている。精神的なやつもそうだったな。


 ずっと頭は回っているが、身体は指示を聞かずマリに倒れ込んでいた。


「ちょっと、なに急に持たれかかってるの?」

「…………眠い。」

 もう目は開かない。


「はぁ、しょうがないわね」

 マリは戸惑いながらも、彩夢を担ぎあげた。






「……」

 ――考えてみると眠れなかった理由は他にもある。最近、寝れば寝るほど何度も苦しい夢を見ることだ。


 眠れば何かが剥がされていく。記憶が遠ざかり2つに割かれる感覚に、自分さえも割かれてしまうような。その感覚が……怖くてたまらない。


 前に見たのは身長を測ったのとアラストリアについて行った記憶だった。


 中学から身長は全く伸びることがなかった僕は、代謝速度は遅いし成長期は来ない事に悩んでいた。記録だって…必死に伸ばして3cmだし。


 でも、その理由が少しずつ。僕の中で結論づいてくる。



「……っ」

 寝れば、記憶が僕の存在を否定する。彼の記憶、彼の抱え込んでいる過去。心臓がねじ曲がるような痛みがする。何かを得ては失ってしまう。


 その感覚がただただ怖い。



「彩夢、どう寝れた?」

「……」

 目を開けると部屋に居てマリは僕を心配そうに覗き込んでいる。なぜか、頬が暖かいし気持ちがいい。


 今日は悪夢は無かったはずだ。気絶すれば大丈夫みたいだな。



「…………今日は寝れた」

「いや、ちゃんと毎日寝ないとダメでしょ?」

 マリは子どものように叱り、頭を撫でてくる。年下だから多少は仕方ないが。


 でも、この感覚ベッドじゃない。



「どう、アタシの膝?」

「……!」

 その瞬間、僕はすぐに起き上がった。


「あっ、もしかして照れてるの?」

「仕方ないだろ。初めてされたし。あと、誰彼構わずにこういう事するのダメだぞ。」



「してないわよ、私も初めてだし。うなされてたからこっちの方がいいかなって思ったの!」

 ふむ。気絶でもダメだったか。なら、今回はマリのおかげみたいだ。



「最近悪夢しかみないから、ゆっくり休めた。ありがとうマリ」

 僕は微笑んだマリに礼を言って部屋から窓を見上げる。



「それにしても起きるのはやすぎない?もっと寝てもいいのよ?」

「これでいいんだ。現実じゃ朝になっているから。」

 現実とは時間が違う。だから、身体は2時間で起きるようにしていた。ショートスリーパーってやつかな。


「そうだったわね。どうすれば。あっ じゃあ次帰って来る時、いい所連れて行ってあげるわ」

「いい所?いや、不安なんだが。」



「なんでよ! ……あれ、なんかこの感じ懐かしいかも」

「? んー。あ、確かに、そうだな。」

 マリはそう言いながら笑い初め、僕もつられるように笑っていた。




「じゃあ行ってきなさい。アンタは魔力はないし何考えてるか分かんない時はあるけど、この世界を見て確信したの。彩夢にしか出来ない事がこの世界を支えているってね。」

「……そうか?」


「そうよ! だから、ほら。行ってらっしゃい」

「…………行ってきます。」

 僕にしか出来ない事か。


 もう少しで出来なくなる、僕だからこそ出来ること。

「それにしても……僕って何考えてるか分かんないか?」

「えぇ。だって急に変な事言い出すし。キャラも代わるし。」


「キャラは変えようとはしてないんだが……変な事に関してはよく分からんネタを思い出すからだな。」

「ネタ?」


「あぁ。スマホがあるときに、その言葉達に寿命を伸ばしてもらっていた。中学から見始めたかな。」

「寿命?」



「今はないからな……やっばりスマホの力は偉大だった。過信したいほどに。異世界にあるのかなスマホ。」

「……そう。大変ね。よく分からないけど」

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