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第6話 防水かが気になる

 水路の先のダンジョンの探索を進める。

 

 今回は手斧と石蛍、そして大イノシシの皮で作った頭陀袋ずたぶくろを初めから持ってきている。適当に取りすぎないようにたまに落ちている石蛍を拾って頭陀袋に放り込んでいっている。当然、三匹の双頭犬オルキュロスも連れている。

 

 前のキマイラの玄室の遺骸は消えていた。奥に進むとなだらかな上りスロープになっている。


 突き当りに扉があった。押し開けると、オレンジの点が10個くらい宙を舞っている。あるいは壁のあたりにへばりついている。


 ブーン


 聞いたことのあるような羽音。でかいハエが燃えている。そう確認したと同時に、勢いよく火が撒き散らされた。


 無意識に尻尾がそれを防ぐが、燃える。俺は同時に尻尾の無数の穴(おそらく吸盤の奥の穴が独自の構造になってるんだろう)から煙幕を噴射、双頭犬たちにも一斉に噴射させる。通路を転げまわり、一目散に逃げる。まともに食らえば大火傷、悪ければ焼死体だろう。痛い。

 

 一般的に虫は、鳴くやつは鼓膜があり遠距離、鳴かないやつは触覚で近距離の音を感知する。だけどそれよりも視覚、嗅覚で対象を把握するのだと覚えていた。正しいかは知らん。ともかく特殊能力の煙幕は視覚、嗅覚を奪う効果があるはずだ。


 もっと水を飛ばすとかできればいいのになどと考えたりしつつ、一気に水路まで戻ると飛び込んで冷やした。落ち着きを取り戻すと拠点に帰った。


 水路から上がり、双頭犬の様子をみてやり、自分の様子も確認する。驚くことにすでに尻尾の負傷は治っている。部位再生恐るべし。だが、尻尾や双頭犬は部位再生できるとはいえ、本体はそうではない。まぁ頑強7体力8という化け物だが。

 そういえば、天稟に攻撃魔法はなかったが、なくて妥当だと思った。ちょっと火に捲かれるだけでこれだ。ファイヤーボールだのサンダーボルトだのの魔法があったら計り知れない。かといって、ハエがファイヤーブレスを吐くんだから、魔法があったり、強力な魔物が似たような能力をもってたりもありそうではある。


 とりあえず、火蠅ドラゴンフライの対策をどうするか考えた。

 

 火炎の息といえば、そもそもキマイラが神話で有名だったはずなのだ。

 あのときはたまたま先制で試しに唄った子守歌がうまく効いて難なく倒せてしまったが、まともに戦っていたら、おそらく火蠅のなどより強烈な火炎の息で焼き殺されていたかもしれない。子守歌が蠅に効果があるかはわからないが聴覚はあるようだから試す価値はあるだろう。ちなみに、ハープの演奏に乗せて唄ったほうが断然効果があるのだが、水路をくぐるのにハープが濡れるのが気になって、あそこに持っていく気がしなかった。

 そして、それより期待したのが、剥ぎ取っておいたキマイラの毛皮だ。いまは敷布団にしているが。試すと火炎抵抗があるらしい。燃えない。

 さっそく、キマイラの皮でフード付きのパーカーを作ろうとしたが、技術が足りず無理で、不恰好なフード付きマントが出来上がった。


 数日十分準備をして、火蠅へのリベンジに向かう。


 上りスロープまできた。扉を開けたまま逃げてきたから、特に注意を払うが、扉の外には出ていないようだ。ならばと子守歌を唄いながら進む。キマイラ皮製のフード付きマントを装備している。手斧は邪魔になりそうで頭陀袋に入れてある。

 扉に近づくが、まだ敵は視界に入っていない。内側に入るとき、ぽとりと線香花火のように落ちるハエが見えた。効果あり。

 宙に浮かぶ火蠅が数匹火の息を吐いた。顔を逸らし、避けるが、オレンジ色が視界の端を踊る。火がバチバチとマントに当たる。

 さすがキマイラ製だ。なんともないぜ。

 回転するように躱しながら、唄い続けると、殺虫剤でも喰らったように、ぽとぽと落下する。双頭犬とともに踏みつぶす。いやな感触だ。

 すべてを駆除し終えて、しばらく待っても、お宝は出現しなかった。


 先へ進む。

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