表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

第5話 巨大な渦潮

 水路の奥のダンジョンの先も気になるが、拠点の周辺の様子も気になる。


 朝一で西に向かって探索を始める。トワシス(他より若干でかい双頭犬オルキュロス)に乗る練習もかねている。意思疎通できているので乗る分には問題なかったが、やはり慣れないと疲労がある。何度か出かけてみてわかったが、おそらくオルキュロスにまかせれば迷うことなく拠点に戻れる。そんな安心感があった。


 やがて、アンドゥ(赤味がかった尻尾)が何かの獣の痕跡を見つけたので追跡を試みる。アンドゥとキャトルサンク(ピンク味がかった尻尾)は地面のにおいを嗅ぎながら歩いている。

 1時間ほど追跡を続けた。南東から北東へと、洞窟のそば近くまで戻り、ややこえた東あたりまできている。あまり難しいようならもうあきらめようと思ったが、アンドゥが見つけたと伝えてきた。

 3匹が駆け出す。遠目に体長1.5mはありそうな大イノシシを確認する。

 まだ気づかれていない。

 アンドゥとキャトルサンクを先に行かせる。2匹は風下から向かっていく。俺はトワシスから飛び降り、トワシスには2匹とは別位置に移動させる。

 大イノシシはアンドゥ達に気づくがすでに射程圏に入っている。逃げようとして駆け出した先は崖になっており、方向を変えればトワシスが待ち構えている。そのままトワシスに向かって突進してくる。

 トワシスは躱しざま大イノシシの後ろ足に喰らいつく。続けてキャトルサンクとアンドゥが首筋と前足に双頭で喰らいついた。大イノシシは暴れるが、やがて力尽き崩れるように横倒しになる。毒ではなくエナジードレインを少し許可した。キャトルサンクの双頭が首筋へと突き立てた牙が息の根を止めただろう。


 三匹が牙を外して離れた時だった。

 上空から巨大な何かが大イノシシへと急降下した。

 そいつは足で大イノシシを攫み飛び去ろうとしたのだろうが、思いのほかの重量で持ち上がらなかった。

 失敗し手ぶらでそのまま舞い上がりかけるが、トワシスが巨体で体当たりする。

 人鳥型の魔獣はつんのめり、崖から落ちたが、立て直してやはり上空に舞い上がった。

 しつこく何度も急降下を繰り返し、トワシスたちを攻撃するも躱されたり、反撃されたりが続く。すぐに今度は無防備に見える俺を標的に急降下してきた。

 俺は死角から後ろ回し蹴りをするように、重量の乗った強烈な蛸手尻尾の鞭をしならせて弾き飛ばしてやった。会心の思いがけない反撃に今度こそ海へと落ちていった。

 崖下の海を見てももう姿は見えない。その前方には巨大な渦潮がうず巻いている。


「ハーピーだったのか?」

 

 姿形を思い出すが、自分の想像するハーピーはもっと上半身だけが人間で腕が翼になっているものだ。さっきのは全身がほとんど人間の女の体だった気がする。手足だけがやたらと大きく発達した爬虫類じみた鳥の鍵爪のようで、頭は人の顔があり、何より目を引いたのは真っ白な巨大な翼が頭の左右から大きく生えていたことだった。

 

 かといって自分もこれでスキュラだからな。もしかしたら、勢力で魔物を選択した元の世界の人間だったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ