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時間の止まった俺たちの恋愛  作者: 杏里アル
2/6

2話

「話ってなんだよ?」


放課後の教室を訪れると、目の前には俺を呼んだ七崎がいた

生徒会長である彼女が、何故俺なんかを呼び出したんだ?


「あ、来た来た、座って座って」


七崎は椅子を2つ手で引っ張り出し、その1つに座る


「チッ」


俺は椅子を足で引き、残った椅子に座った


七崎は優秀な生徒だ、正直こういう優等生ってのは気に入らなかったので

とにかく、いや、自分自身よくわからないが何故か不機嫌な態度で七崎を見つめた。


何だか自分が下に見られているのが気に入らなかったのだろう

当時の俺は勉強も嫌いでよく授業を途中で抜け出していた


そうなったきっかけはとても簡単で、勉強する意味がわからなかった。

いい大学にも、いい会社にもこれと言って興味はなかった


そんなある日親に「お前はただ生きているだけ、無駄な時間を過ごしているぞ」と

頭ごなしに説教された事がある。


俺は何故説教されたのかよくわからなかった

それが何だと言うんだ?


誰かに迷惑をかけているのか?


人に心配されるような歳でもない、放っておいてほしいと俺は言うと

父親は一発殴ってきたので、二発殴り返した。


それが初めての暴力だった、母親は心配そうに見つめたが

放っておいてくれと言い去り部屋へ引っ込んだ


次の日、教師、ある時はクラスメイトからも注意され

どこに当ててもいいかわからないイライラに襲われた俺は気がついたら暴力を振るったり


周りに暴言などを吐き散らしていた、いつしか俺は他人を嫌い1人を愛していった。


七崎もそんな俺を救おうというエゴイストの1人で、非行に走る俺に対して

正しい道へ何とか更生させようと、昔から笑顔で話しかけてきていた


まあ、その度に適当に相手をしていたのだが

彼女の決意は固く、今も俺に話しかけてきている。


「くだらねぇ用だったら帰んぞ」

「くだらない用だよ?」


真顔で答える七崎

言葉を聞いた俺は席を立ち、背中を向け教室のドアの方へと向かった


「帰るわ」


一言別れを告げる俺

手を掴む七崎


「だめ」

「あ?」


俺は睨んだ、大抵の奴らはこうすると手を引いてくれるが

七崎と矢島、こいつら2人だけは周りと反応が正反対に違っていた


「睨むの、やめた方がいいよ」

「・・・チッ」

「舌打ちも」

「っせえよ」


七崎は手を引くどころかより強く掴んできた

あまりにもしつこいので殴ろうかと思ったが、やめた


何でやめたんだろう。


「んで、用は何だよ」

「んっとね」


そう言うと七崎が手を離し、先ほど座っていた机に置かれている鞄を何やらごそごそと手を伸ばす


手からは四角いオモチャのような物を取り出すと

それを持ってトタトタと小走りで俺に見せてきた。


「じゃーん、嘘発見器くん」

「っぱ帰るわ」


ドアに手をかけようとする俺の手を七崎が掴んで止める


「だめ」

「ざけんなよ、一人でやってろ」

「これね、質問に対して音が鳴ると嘘って事らしいよ!」


言葉を強調するように俺は同じ言葉をゆっくりと、よく伝わるように言った。


「一 人 で や っ て ろ」

「嘘発見器くん嘘発見器くん、私はピーマンが好きですか?」


俺の言葉を聞いてくれたのか、おもちゃに向かって七崎が言葉を問いかける


「くっだらね・・・」

その格好はまさにアホのようで、この場を去ろうと七崎の手を振り払おうとした


「待ってよ!」

「離せ」

「やだ!」

「お前いい加減に――」


ブブーッ


七崎を殴ろうかと思った時、突然機械のスピーカーから音が出た。


「それは嘘です」

と、言わんばかりの音だった。


俺と七崎の会話の途中で鳴ったという事は、質問に対して少しタイムラグがあるのだろうか?

ふと気がつけばその機械に対して少しだけ興味を俺は持ってしまっていた


気がつかない内に七崎のペースにハマっていた。


続く

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