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時間の止まった俺たちの恋愛  作者: 杏里アル
1/6

1話

その一室はとても騒がしい会話が飛び交っていた。


「それじゃ、かんぱーい!!」

「いやー本日はお集まり頂き・・・」


一室にはジョッキやグラスを手にした男性と女性が座っていた

その人数はパッと見ただけでは数え切れないほどである


「田辺ー前置きはいいっつうの!」


田辺と呼ばれる男は照れ笑いをし、こほんと咳払い一つした後

ビールジョッキを手にし、大声で叫んだ


「はは!!じゃあ盛り上がって行こうぜー!!」


『『おおー!!』』


          **********


高校を卒業してから数年後、俺は大学生になった

今日は久々のクラスメイト達と、とある居酒屋で顔を合わせている


元々行く気は無かったのだが

”あいつ”がどうしても来いと言うから来ただけだ


「いえーい!!」

「みんな楽しんでる-!?」

「いえー!!!」

「まだまだ楽しんでいこうぜ-!!」

『っしゃー!!!』


周りを見渡せば、バカ騒ぎをする奴ら

何故か俺は見ていて凄くイライラしていた。


「っぜーなこいつら・・・」


俺の前に1人の男が現れる


「よっ、相変わらず不機嫌だな」

「あ?」


俺が視線をその男に合わせると、オールバックで茶色のジャケットを着込んでいた。

その男は数分前に電話でどうしても来てくれと俺を誘ってきた、クラスメイトの矢島だ


矢島とは一緒の大学ではないので、高校時代しか知らないが

こいつはほんとに意味がわからない。


いきなり俺に電話をかけてきて用事は何か?と聞くと、特にないけど電話をかけてみたと答えたり

つまらないギャグを言ってクラスメイトを笑わせたりと


何をするにしても行動や言動の意味がわからないし、とにかくうるさい

というのがこいつに対しての俺のイメージだ


「ぁ、ほらほら、もうすぐヒロインが来るぞ」


矢島の視線に合わせるように俺は見た


「あ?ヒロインって――」


ガラッ―

扉開く音と共に、とても可愛らしい女性と男性が遅れてごめんと言いながら中へ入ってくる


「連れてきたぞー!プリンセスの登場だー!!」


『うおおおおおおおおおお!!!!!!!』


喚声と共にクラスメイトの目線は一人の女性に集中する

当然、俺と矢島も彼女を見た


モデルかと疑うほどの完璧なスタイル

清楚感溢れる服と髪、正直言って誰もが外見をひと目見たら可愛いと呟くだろう


もはやその女性は女優のようだった


「ナナちゃん凄い変わったねー」

「あの俺!後ろの席だった大石!!覚えてる!?」


ナナちゃんと呼ばれるその可愛い女性は

寄ってきた男性達に慌てながらも一つ一つ返事をしていく


周りが盛り上がってるのを何故か俺はイライラしながら女性を視線から外す

矢島が彼女を見ながら興奮するように言った


「うおおお・・・やっぱ可愛いな七崎さんは!!」

「別に」


俺は自分のビールが注がれているジョッキの方を見る


「素直じゃないねぇ、お前も恋をすりゃちょっとは変わるだろうに」


矢島はやれやれと呆れた表情をする


「・・・」

「お、おいあるのか?恋?」


黙った俺にさらに絡んでくる矢島


「不機嫌で無愛想で人に避けられるそんなお前が!?」


俺は叫んだ、本当にこいつはうるさい


「っせーな!!!・・・あるっつってんだろ」


矢島は顔を寄せてくるように近づいてきた


「教えろ教えろ!!誰だ!?誰だよ!?・・・ぁ、ひょっとして」

「・・・チッ」


しつこい矢島の質問から、くだらない昔話が出てきてしまった。

「(そういや、あん時の七崎、マジだったな・・・)」


続く

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