第4話[今の時代、不倫はマズイよ]
「私の加護が効かない何て……、お前は一体何者なんだ」
「そんな事はどうでもいい」
勇者はそう言うと女王に剣を向ける。
「あなた、結婚はしているんですか?」
唐突に何を言っているんだと、その場にいる誰もが思った。
「してますが何か?」
「何かじゃない」
「これは立派な不倫だ」
勇者は怒りで闘志を燃やす。
「今の時代、不倫は犯罪者の如く扱われる」
「えっ、何の話し?」
困惑する女王。
「当然、私もそれを許さない」
「いや、あなたも二人に告白を……」
「私は別にいいの」
勇者の言葉が城内に響き渡る。
「流石勇者殿、かっこいいです」
どこが?
そう思うララだったが、敢えてそれを口にする事はなかった。
それより勇者の様子が変な事に戸惑っていたからだ。
急に不倫について女王を糾弾したかと思えば、自分は特別だという、クズっぷり。
正直、勇者が何をしたいのか分からないでいた。
そんなララの肩に緑が手を置いた。
「勇者殿は女王様に怒っているのです」
「だから、女王様を倒す理由が欲しいのですよ」
緑の話しを聞き、ララは納得する。
なるほど、日菜さん達をあんな風に変えた女王に腹を立て倒そうと思ったが、相手は一国の王。
何か倒す理由を探し、不倫を指摘するも返って自分の二股を指摘され、さっきの叫びに繋がると……。
まあ、勇者さんは仲間想いの所がありますからね。
此処は一つ、私も勇者さんを応援しましょう。
緑とララからの声援を受けながら、勇者は思う。
(寄りにもよって男を差し向けるなんて、絶対に許さない)
第4話 完




