第2話[ハーレム完成⁉︎]
流石、氷の国だけあってすごく寒い。
とりあえず、防寒着を買わなくては……。
そう思い、日菜達は服を買いに向かう。
「ねぇ、日菜ちゃん」
「私の愛という名の炎で君を温めてあげようか?」
日菜に囁かれる愛の言葉。
それを聞いていたスタリエは、この寒さにもかかわらず平常運転の勇者に呆れて溜め息を吐く。
だが……。
「本当に温めてくれるの?」
日菜の予想外の言葉に誰もが驚いた。
「嬉しい」
ぴったりと勇者と体をくっ付ける日菜。
それをスタリエが必死に引き離そうとする。
「おやおや、嫉妬かい?」
「大丈夫、君もしっかりと愛してあげるから」
「なっ、馬鹿言わないでよ」
「でもまあ、私の心の中の氷を溶かして春を呼んでくれるんだったら別にいいけど……」
「スタリエ殿、何言ってるんですか」
「言ってる意味が全く理解できません」
勇者の両手には日菜とスタリエ。
本当に効果があるのだと思い、緑はララの方を向き、愛の言葉を囁いてみた。
「ララ殿、愛してますよ」
「はぁ、そうですか」
「それより唇が乾燥して、ひび割れが……」
ララには全く効果が無く、緑は顔を真っ赤にして「リップがあればいいのですが」と返事を返した。
「いや私、ああいうの苦手で唇がベタベタして気持ち悪いっていうか……」
緑とララの会話を聞きながら、勇者はしばらく何かを考えていた。
だけど気のせいだと思い、両手で顔を叩く。
「それより、二人共どうしちゃったの?」
「イヤラしい事とか大歓迎だけど、いつもの二人じゃ無いよね?」
「こんなんじゃ私、手が出せないよ」
「やはり、氷の国の噂でしょうか?」
「あの噂、本当だったの?」
「だとしたらこれは二人の本心?」
「それとも……」
偽物の愛なんて要らない。
私は二人の本物の愛が欲しいんだ。
そう強く思う勇者。
「そうだ、氷の国から出てみよう」
そう思い行動に移すが、意味はなかった。
仕方がないので、三人は二人が元に戻る方法を探す事にした。
第2話 完




