第30話[緑ちゃん無双は色々と怖い]
辺り一面真っ暗な森の中、日菜は怯えながら緑の背中に隠れ歩いて行く。
「日菜殿、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
「私がついています」
そう言うと緑は茂みから出て来た血みどろの幽霊を斬る。
「ほらね」
満面の笑みの緑だが……、緑がダメージを与えられるという事は、それはこの世に存在してはいけない者という事を証明しており、日菜はそれに対し酷く怯えていた。
「いや〜、それにしても私が役に立つ日が来るなんて」
嬉しそうにそう語る緑、多少いきなり現れた幽霊に驚きながらも、彼女は果敢に立ち向かっていく。
(早く皆んなと合流しないと、きっと皆んな私みたいに怯えている筈だ)
その頃、スタリエは……。
神獣の加護のおかげか、幽霊に遭遇する事なく森を進んでいた。
そして、勇者はというと……。
「う〜ん、悪いけど私好みじゃないわ」
出てきた幽霊を吟味して、振っていた。
「日菜殿、村が見えて来ましたよ」
緑が指をさす方を見る。
「何だか人が透けて見えるんですけど……」
日菜の独り言を無視し、緑は陽気に村人に声をかけていく。
だが……。
「はぇ、何かの?」
振り返った村人の顔は血みどろで緑はそれに驚き、悲鳴を上げながら村人を切っていく。
「おのれ悪霊め、驚かせやがって」
驚きながらも何処か活きいきとする緑を頼もしく思える一方で、幽霊は怖く、早く皆んなと合流してこの場から立ち去りたいと願う日菜であった。
第30話 完




