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第26話[スタリエの頑張り中編]

泣き疲れ眠る少女の隣でスタリエは考えていた。

この祭壇で待っていれば神様に会えるかも。

それに、日菜達も私を捜しに歩き回っているかも知れない。

ならば、このままこの場所に居座る方が得策なのでは?

そう考えている間に茂みから物音が聞こえ、スタリエはその方向へ視線を向けた。

茂みから現れた魔獣。

いや、見た目からして、神獣か。

どうやらあの子が言っていた神様っていうのはアイツの事だろう。


「生贄とは別の匂いがする」

「そうだな、言うなれば神に選ばれた者の匂い」

「お主、何者だ」


「匂いで人を識別する何て、とんだ変態魔獣がいたもんだわ」


神獣は慌てて弁解するが、スタリエはそれを聞き入れなかった。


「その巨体で尚且つ喋る動物に匂いを嗅がれて喜ぶ奴なんて普通居ないわよ」

「それに声からしてあんた雄でしょ」

「まだ雌ならマシだったけど、雄の魔獣にそう言われても全然嬉しくないわ」


落ち込む神獣の頭をスタリエが撫でる。


「でもまあ、生贄を食べずに村を守る約束をしてくれるなら、許してやってもいいんだけど」


「生贄?」

「私は生贄など食べん」

「それは村人が勝手にやっている事で私は……」


唐突にスタリエの背後から声がした。


「そう、神様は私を食べなかった」

「そして、助けようともしなかった」


突如、闇が神獣を襲う。

振り返るとそこには、血を流し臓物などが飛び出し腐っている少女が居た。

目は片方が無く。

髪の毛の一部は抜け落ち、頭蓋骨が破られ、脳が少し垂れていた。

引っ掻き傷などからして、獣に食べられたのが分かる。


「私に価値が無いから?」

「だから助けてくれなかったんだ」

「憎い……、憎い……」


獣に襲われ怖かったのだろう。

必死に助けを求めたに違いない。

食われながらも、その命が尽きるまで必死に……。

ここは神様の住む森だもんね。

だから助けを求めちゃうよね。

後で神様に食われちゃうかもしれなくても……。


「ぐっ、この私が悪き魂に……」


苦しむ神獣を背に、スタリエは苦笑いを浮かべる。

なるほど、僧侶の仕事って訳ね。


第26話 完

第27話へ続く。

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