第23話[悩める日菜ちゃん]
町の復興作業を手伝う勇者一行。
体力の無いスタリエが息を切らしへばる中、日菜は無表情で黙々と作業を行なっていた。
理由はどうあれ、魔王軍幹部の悪魔の攻撃を受け、悪魔の体力を減らした勇者。
他にも、緑と共闘し魔王軍幹部の黒騎士を追い詰めた。
緑に至ってはステータスはパーティ最強。
ララは王国騎士だけあって、魔王軍幹部の悪魔を凍らせ動きを封じたし、スタリエは体力が無いだけで、力はある。
対して日菜は……。
(私の存在意義は?)
あの日から笑わない日菜。
そんな日菜を心配する仲間達。
スタリエは日菜に笑って貰おうと、得意の能力を使い美味しい料理を作るものの、結果は惨敗。
更に、プライドを捨て、変顔を披露しても全く反応を示さなかった。
落ち込むスタリエを勇者と緑が励ました。
そんな中、ララが変顔にチャレンジする。
がっ、結果はスタリエと同じで惨敗。
緑も同様にチャレンジしてみるが、結果は同じだった。
「皆んな、まだまだだね」
「こうなりゃ私が……、って日菜ちゃん?」
「どこ行くの?」
「まだ私の番が終わってないよ」
「日菜ちゃん〜」
日菜は部屋で一人、ボーッとしていた。
翌朝。
いつもの様に作業をしていた時だった。
「ふぁいや」
老人がそう言うと、人差し指から物凄い炎が放たれ、集められた枝が燃え、老人は肉を焼いていく。
それを見ていた日菜は持っていた木材を落とした。
この人は本物だ。
そう思った。
「あの、老師」
「ほぇ、どちらさんかいのぉ」
「私を弟子にして下さい」
「いいぞい、ほら食え」
老人から肉を渡される日菜。
「あの、肉を下さいじゃ無くて弟子にして下さいと言ったのですが……」
「えっ?」
「何じゃって?」
「肉をもっと下さいじゃって?」
「欲張りさんじゃのぉ」
日菜は老人から沢山の肉を貰った。
第23話 完




