第22話[私の魔法]
二人が馬鹿をやっている間にララは呪文を唱え、悪魔の足を凍らせた。
身動きできない悪魔、今がチャンスだ。
「日菜さん、お願いします」
ララは氷が溶けない様、魔力を使い現状を維持している。
日菜は頷き、全力全開で魔法を唱えていく。
「私の魔力を全て解き放つ」
「喰らえ、火炎柱」
物凄い巨大な火柱が悪魔を襲った。
熱風を受け、日菜達の露出した肌がヒリヒリと痛む。
「すごい流石は魔王討伐を目標とするパーティ」
「魔法使いの実力も桁違いだ」
「私も日菜さんを見習わなければ」
ララに褒められて照れる日菜。
やがて魔法が切れ、火柱が収まり悪魔が姿を見せる。
あれだけ凄い技、当然丸こげだろうと誰もが思った。
だが……。
「びっくりする位、平気だったんですけど……」
「えっ、何?」
「もしかして優しさ?」
「正直、あっ、死んだなと思ったんだけど炎の中、全然熱くないし寧ろ適温だったんですけど」
あれ?
私達は肌がヒリヒリする位は熱さを感じていた筈だけど何故?
勇者達がそんな事を思う中、日菜は恥ずかしさからか両手で顔を隠した。
そんな日菜をララが慰める。
その様子を見ていた勇者は私も何かフォローをしなくちゃと思い、悪魔に問うた。
「どうせ、火の耐性が強いだけでしょ?」
「いやまあ、多少は耐性はあるけど中があんなんじゃ……」
日菜を傷つけまいと思い、スタリエは言葉を被せ叫んだ。
「馬鹿にしないで日菜は優秀な魔法使いよ」
「あっ、分かった」
「自分の耐性をいい事に日菜を精神的に追い詰めるつもりでしょう」
「最低ね」
「流石悪魔」
皆んなから庇われ元気を取り戻す日菜だったが……。
「そうだよ」
「あれだけカッコつけて置いて、実は実力不足でしたってなる訳無いじゃん」
勇者の言葉で再び赤面し、日菜は塞ぎ込んでしまう。
何だか面倒臭くなってきた悪魔。
先程の勇者との戦闘で体力も無い。
「ぐっ、今更になってダメージが効いてきたわ」
「まさか、時間差攻撃だったなんて……」
「ここは一旦退くわよ」
そう言うと悪魔は黒騎士を抱え、飛んで逃げた。
「流石日菜ちゃん」
「悪魔をやっつけたよ」
勇者の後に、スタリエ、緑、ララも日菜を褒める。
そんな中、日菜は心の中で叫んだ。
もう、止めてくれと。
第22話 完




