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第21話[今の私は無敵状態です]

勇者は何やら緑ちゃんに耳打ちをし、緑ちゃんは頷くと同時に何処かへ消え、しばらくして大量の回復アイテムを持って現れた。


「ちょっと待って、お金は?」


こんな大量のアイテム、絶対にお店で買ったとしか思えない。

こんな状況の中、開いているとは思えないけど……。


「大丈夫、後で払うから」


いや、盗んだんかい。

って、また牢屋に入れられるんじゃないだろうか……。

そう心配するが、この状況下では仕方がない。


「さあ悪魔のお姉さん、私と一騎打ちしましょう」


両手を横に広げ、攻撃を受ける気満々の勇者。

一体何をする気なのだろうか。

私は固唾を飲み込んだ。


「面白い子、そういうの好きよ」


悪魔の尖った爪が勇者の肉を裂く。

そんな中、勇者は恍惚な表情を浮かべながら、回復アイテムを飲み傷口を癒し治していく。


「なら、これはどう?」


悪魔が雷を呼び寄せた。

勇者はそれを受け、風呂上がりに牛乳を飲む様な感じで、腰に手を当て回復アイテムを一気に飲み干した。


「へぇ〜、中々やるじゃない」

「でも、これでお終いよ」


悪魔の素早い攻撃の嵐。

勇者は攻撃の反動で宙に浮きながらも回復アイテムを飲み傷を癒し治していく。

そして、三十分後。


「ハァハァ、何なのよ」

「何で平気なのよ」


三十分も全力攻撃をしていたせいか、悪魔のスタミナは切れ、息を切らしていた。

そんな中、勇者はというと回復アイテムを飲み終え、空になった瓶をその辺に投げ捨てていた。

一応、ポイ捨てはダメなので、私達は空き瓶を拾い片付けていく。


「フッ、何で平気かって?」

「それは私がドエマーだからだよ」

「ドMの私にとって、天使の様なロリ顔ナイスバディな悪魔のお姉様にしばかれるのは最高のご褒美」

「最高の至福」

「さあもっと、私はこんなんじゃ死なないわよ」


流石は勇者、悪魔をもドン引きさせる何てある意味凄い。

私がそんな事を思っていると黒騎士は鉄仮面を脱ぎ、素顔を曝け出して来た。

全身黒の鎧を纏い、大剣を振るっているとは想像も出来ない程、彼女の顔は美しく、何処か幼さの残る感じが可愛いらしかった。


「だったら私の攻撃も受けてみろよ」

「耐えられるもんならな」


黒騎士は不適な笑みを浮かべ、勇者に襲いかかる。

だが……。


「きえい」


勇者は奇声を上げ、黒騎士にカウンターを喰らわせた。

鼻から血を撒き散らし倒れる黒騎士。


「何故だ」

「何故、私だけ……」


「えっ、あんた自分で可愛いと思っているの?」


勇者の言葉に黒騎士の顔が赤くなる。

えっ、勇者の好みがイマイチ分からないんだけど?

そう思い、隣に居るスタリエさんにこの事を話すと……。


「いや、私も分からないわよ」

「あいつ、時々、訳の分からない行動してるし」

「この前だって緑に私達の下着を盗ませて食べ比べとか言ってたのよ」

「普通に引くわ」


新事実を知り、私は勇者を問い詰めた。


「いや、あれは未遂だから」

「スタリエちゃんにバレてちゃんとボコボコにされたから」

「だから許して日菜ちゃ……」


勇者の悲鳴が町中に響き渡る。


第21話 完

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