第17話[私が魔王を倒す理由]
荷馬車を借りられ上機嫌なララ。
緑と仲良く会話をしながら馬車を運転する中、スタリエと日菜は魔王を討伐した後の話しをしていた。
「やっぱり不幸体質は無くして貰わないとね」
来世の幸福を夢見る日菜にスタリエは自分の望みを語る。
「私はもう一度、両親の子供に産まれたいわ」
この世界に来てからも、たまに思う。
もう一度だけ両親と会いたいと。
だけど、それは叶わない。
きっと、私が死んで悲しんでいるだろう。
そう思うと心が苦しくなる。
それを聞いて日菜の気分が沈む。
ずっと考えないようにしてきた。
こんな不幸体質の私をここまで育ててくれた。
そんな両親にもう一度会いたい。
二人が悲しむ中、寝ていた勇者が起き上がる。
「悲しんでいてどうするのさ」
「きっと、私達の両親は天国で幸せに暮らしていると思っているよ」
「だから笑わなきゃ」
「今の私達の現状を両親に伝える事ができないけど、それでも私達が幸せに元気でやっていれば、何だか報われた気がするでしょ」
「だから二人共、元気出して」
「私達の両親が思ってる通り、幸せに元気で暮らそうよ」
それを聞いたスタリエは勇者に対して、評価を改めた。
ただの変態じゃなかった。
日菜の言う通り、悪い奴じゃないのかもしれない。
そうスタリエが考えていると、急に馬車が止まった。
第17話 完




