第16話[お考え直しを]
鎧を手に入れる事は出来なかったが、一同は気を取り直して次の町へ向かう事にした。
旅立つスタリエに泣きつくお姫様。
「どうかお考え直しを……」
「私の見立てで申し訳ないのですが、スタリエ様が居なくても、彼女達は必ず魔王を討伐致します」
変態勇者。
不幸体質の魔法使い。
最強だけど最弱の剣士。
そして、力は強いが体力の無い僧侶の私。
スタリエは本当に魔王を倒せるのか不安になる。
「多分だけど、貴方の見立ては当てにならないわ」
スタリエの言葉を聞いたお姫様はスタリエの足にしがみつき、泣いて懇願する。
「スタリエ様のおみ足を毎日お舐め致します」
「だから……」
「ずるい、私も舐める」
勇者も参戦し、二人でスタリエの靴下を脱がせようとする中、スタリエは二人の頭を掴み叫んだ。
「いや、これまでそんな命令した事無いから」
「ちょっと、止めて」
スタリエ達が揉めている間に、緑は王様にララを自分達の仲間に加えたいと相談し、王様は快くそれを許可した。
当然、本人の意思とは関係なく決められた事にララが反論すると……。
「だって、鎧あげられなかったんだもん」
などという返事が返ってきた。
いや、だからって……。
ララは海賊のアジトで起きた地獄を思い出していた。
この人達と一緒に旅をすれば、また同じ様な事が起きる。
そんなの絶対に嫌だ。
「王様お考え直しを、私は王国騎士」
「国を守っての王国騎士何ですよ」
「無事、魔王を倒してくれたなら、働かなくても毎月大量のお給金を払うぞい」
「やりましょう」
「もちろん、税金も免除ですよね」
頷く王様を見て、ララは王様に跪いた。
「必ずや、魔王の首を我が愛しの王の前に」
そんなやり取りを見て、お姫様は自室に向かい、急いで着替えを済ます。
「さあ、私も魔王討伐に向かいましょう」
軽装に着替えたお姫様が勢いよくドアを開けると……。
「いや、要らないから」
冷たいスタリエの言葉を聞き、お姫様は興奮して倒れてしまう。
「はひん」
「もっと、もっと罵って下さいまし」
変な声を出し、更なる言葉責めを要求するお姫様。
そんなお姫様をスタリエは無視して、日菜達は王国を旅立った。
第16話 完




