第14話[可愛い緑ちゃんが……]
鎧を着直した勇者は盗んだ物を返す様に海賊のボスに要求する。
当然ながら海賊のボスはその要求を飲まない。
それどころか下っ端達を集め、勇者からお金を脅し取ろうとする。
「はぁ、仕方ない」
「緑、奴等にあなたの実力を見せつけてやりなさい」
「へい、おやびん」
唖然とする日菜。
おやびんって、緑ちゃんどうしちゃったの?
そういえば、勇者と緑ちゃんがここ最近一緒に居たけど……、まさか……。
緑が海賊の下っ端の剣を片っ端から折っていく。
目にも留まらぬ速さ、更に武器である剣を折られた海賊の下っ端達は緑の強さに怯え、後退った。
「言っとくけど、緑ちゃんは私達の中で一番弱いからね」
ドヤ顔で言う勇者。
「おやびんには敵いませんでげす」
止めて、可愛い緑ちゃんにゲスい事を言わさないで。
そう思い、悲しむ日菜。
そんな中、海賊のボスが動いた。
「上等じゃねーか、相手が強ければ強い程、燃えるってもんだぜ」
「成る程、あなたも私と同じドMなのね」
「ちげぇーよ」
緑の強さを目の当たりにしながらも堂々とした立ち振る舞い。
そんな海賊のボスに日菜は怯み、勇者は再び溜め息を吐いた。
「流石だよ」
「流石、海賊のボスだよ」
「私の負けだ」
「お宝は置いて行くよ」
勇者はそう言うと三つの木箱を置いた。
それに群がる海賊達。
「流石ボス」
「一生ついていきやす」
下っ端達に褒められ、上機嫌のボス。
「よし、戦利品だ」
「野郎ども、さっさとお宝を空けやがれ」
「ヘイ、ボス」
海賊達が一斉に木箱を開けた瞬間、悪臭が辺り一面に広がった。
狭い洞窟内、ドアは閉まっており、窓も無い。
あまりの臭さに、咳込み、虹を吐き出す者まで現れた。
更に一度、誰かが吐けばそれが伝染し貰い虹を吐いてしまう。
この悪循環の中、流石のボスも悪臭で苦しみ始めた。
「フフフ、どうだ」
「化け物イカの〇〇は臭かろう」
腰に手を当て、笑う勇者を日菜とスタリエは杖と鞭を使い、ボコボコにした。
第14話 完