第13話[地獄の船旅]
海賊討伐に半ば強制的に参加させられたララ。
彼女が落ち込む中、勇者が私に任せてと自信満々に言う。
それから数日が過ぎたある日、準備が整ったらしく、翌日の昼に海賊達が住む洞窟へ向かう事になった。
そして……。
口から虹を吐く三人。
船酔いだ。
虹を吐くのが止まらない。
更に体力まで奪われてしまい、勇者、日菜、スタリエはぐったりとしてしまう。
「ララ殿、また釣れました」
「おっ、それはカナリドクですね」
「かなりの量の毒を持ってます」
元気な二人が羨ましい。
そう思いながらぐったりとする日菜。
陸はまだかまだかと待ちわびる。
数時間後、陸に到着しても船酔いは治らなかった。
「もういやー、次は飛行機がいい」
そう言ってスタリエが泣きながら帰りの心配をするが、この世界に飛行機何てものは無く、帰りも船で帰らなければならない。
そんなスタリエの肩に日菜は手を置いた。
「気持ちは分かるよ」
「私も、もう船には乗りたく無い」
「それでも乗らなきゃ行けないんだよ」
スタリエは絶望した表情を浮かべながら歩き、何とか海賊達が住む洞窟へとたどり着く。
日菜達は木陰に隠れ、辺りの様子を伺った。
洞窟の前には見張りが居る。
恐らく下っ端だろうが、侮ってはならない。
奴等は水の国に攻め入る強さがあるからだ。
慎重になる日菜を無視して、勇者と緑が堂々と入り口へと向かう。
「あんたら何者だい?」
「私は勇者、この子は下っ端の緑ちゃん」
「ちょっとボスと話しがしたくてここまで来たの」
当然ながら簡単に通して貰える訳も無く、相手は剣を抜きソレを構えた。
「落ち着いてよ、別に戦うつもりは無いから」
そう言うと、勇者は鎧を脱ぎ始めた。
あっという間に下着姿になる勇者を見て、海賊の下っ端達は戸惑っていた。
「どう?」
「怪しく無いでしょ?」
「いや、何処からどう見ても怪しいから」
思わずツッコミを入れてしまった日菜。
海賊達に隠れていた事がバレ、更に警戒されてしまう。
「はあ、仕方ないな」
溜め息を吐きながらそう言うと勇者は海賊達にお金を握らせた。
「みんなで仲良く分けるといいよ」
「だからボスに合わせてくれないかな?」
「取引がしたいんだ」
大金を渡され、気をよくした海賊達は勇者をボスの元へ案内した。
「いやー、商談の話ならそう言って下さいよー」
「ささっ、ボスはこの部屋にいます」
ご機嫌な海賊達。
扉を開けて勇者達はボスと対面する。
鋭い目つきで勇者を睨み、ボスは口を開いた。
「テメー、何で下着姿なんだ」
第13話 完




