第11話[偽物の価値とは?]
翌日もそのまた翌日も私達は穴を掘っていく。
そして遂に……。
「あっ……、あぁ……」
長かった。
ようやく見つける事ができた。
嬉しさのあまり、私は緑ちゃんと抱き合った。
宝石貝から宝石の様な真珠を取り出して、早速スタリエさんの所へ持って行くのだが……。
「まあ、スタリエ様にこの様な物をお渡しになるなんて」
そう言うとお姫様は私の手にある宝石の様な真珠を叩き落した。
「宝石貝ね」
スタリエさんがそう呟くと、宝石貝の真珠の価値を話し始めた。
スタリエさん自身、転生した当初、宝石貝の真珠に目をつけていたが、この国じゃ偽物に厳しいらしく宝石貝の真珠に価値は無いらしい。
あくまでも宝石貝の真珠は真珠であって宝石じゃない。
もちろん真珠自体に価値はあるのだが、見た目はダイヤやエメラルド、その他宝石に似ている為、真珠としての価値は低く、宝石としても価値は無いらしい。
「それでも……」
真珠や宝石として価値は無くても。
「この真珠は私にとって、価値のある物」
日菜と緑、二人の格好を見て分かる。
苦労して探してくれたんだと。
勇者に対して、少し意地になっていたのかも。
スタリエは反省し、日菜達が見つけてくれた真珠を愛おしそうに持ちながら、仲間になる事を決意した。
そんな時だった。
外が騒がしい。
「ですから、シャワーを浴びて来て下さい。」
兵士と揉めている勇者。
何だか体中白いドロっとした液体塗れで、何だか気持ち悪い。
そして勇者は日菜の顔を見るなり笑顔で手を振ってやって来た。
片手にはボーリング玉位の大きさの綺麗な玉を持っている。
「ちょっと、何やってたの」
日菜の問いに、勇者はスタリエの為に綺麗な宝石を探す旅に出ていた事を話した。
実は、緑が見ていたのはナンパでは無く、この宝石について聞き回っていたのだ。
「いやー、この世界のイカは白い墨を吐くんだね」
そう言ってスタリエに近づく勇者だが、彼女の体はとても生臭く、あまりの匂いにスタリエは数歩後ろへ後退り、勇者から距離を置いてしまう。
「え〜、何で逃げるの?」
「ちゃんと受け取ってよ」
強引に渡された宝石は何だか滑っていて、スタリエの背筋が凍りつく。
「あの、これは?」
恐る恐る尋ねるスタリエ。
そんなスタリエに勇者は笑顔で答えた。
「イカの魔物の〇〇だよ」
それを聞いたスタリエは白目を向き、床へ倒れ込んでしまう。
第11話 完




