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第8話[攻略]

勇者とスタリエさんが歪み合う事一週間。

この日の朝、事件が起きた。

早朝、私と緑ちゃんはスタリエさんの悲鳴で目を覚ました。

何事かと思い来てみれば、勇者がスタリエさんの部屋に忍び込んでいたらしい。

昨日までの冷たい態度とは一変しスタリエさんにべったりの勇者。


「ちょっと、何コイツ」

「すっごく気持ち悪いんですけど」

「黙って見てないで何とかしなさい」


私は眼鏡を外し、それを床に投げる。

すると勇者は、即座に動き出し、床に落ちた眼鏡を拾い、舐め始めた。

その様子を見て、スタリエさんはゴミ虫を見る様な目で勇者を見つめている。

スタリエさん、これが勇者です。


「えっとスタリエさん、眼鏡の弁償お願いしていいですか?」


「ええ、何とかするわ」


私は眼鏡を舐める勇者に近寄り何故スタリエさんの部屋に忍び込んだのか尋ねる。

すると勇者は私の胸に飛び付き、涙を流し始めた。


「だって、スタリエちゃん全然反応しないんだもん」


何が?

そう思い、私は詳しく話しを聞く事にした。


「いや普通、お嬢様キャラには辛く当たるもんじゃない?」

「数々のギャルゲーをし、お嬢様キャラを攻略して来た私、今回もギャルゲーと同じで冷たい態度をとっていれば、その内涙目で、「どうして私だけそんな態度なのよ」って来ると思うじゃん普通は」

「でもそれが無いんだよ」


……は?

何言ってんの?

緑ちゃんと私は二人の仲をすごく心配してたんだよ。


「私ずっと待ってたんだから」

「涙目で来るのをずっと……」

「そしたら、素直になれなくてとか言いながら甘い言葉でも囁いてやればお嬢様キャラは簡単に攻略できる筈だから」

「馬鹿とか呟きながら私の胸に飛び込んで来るスタリエちゃん、皆んなも見たいよね?」


いや別に……。


「それなのにどうして抱きついて来ないの」


本当に何を言っているの?

そもそも、ゲームの話しをされても何だけど……。

と心の中でツッコミながら私は苦笑いした。

そんな中、スタリエさんが動き出す。


「いや、初対面であんな態度とられて攻略も何もないから」


そう言い残し、スタリエさんは去って行った。


第8話 完

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