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第4話[本物のお嬢様]

王国の豪華なトイレで用を足し、しっかりと手を洗って日菜達の所へ戻る緑。

やっぱりトイレは個室に限る。

そう思いながら、満足気の表情を浮かべる緑だったが、兵士に囲まれている日菜と勇者を見て、緑の表情が一気に青くなった。


「日菜殿、勇者殿、私のせいでこんな目に……」


あのままトイレを我慢して王国を出るべきだった。

二人に謝罪する緑を慰める二人。

そんな中、騒がしさに釣られ文句を言いに奥からニ人の少女が現れた。

金髪の美しい髪。

思わず土下座したくなる神々しさ。

年齢的にこの国のお姫様だろうか。

隣に居るお付きの方も美しく身なりがいい。

三人が見惚れている中、兵士が恐る恐る、その少女に脱獄の事を話した。


「もっと詳しく話しなさい」

「こいつらはどうやって脱獄したの?」


詳細に説明し、それを聞き終えた少女が兵士を怒鳴り、持っていた扇子で兵士の頭を叩いた。

痛がる兵士。


「あんたの脳は猿以下なの?」

「普通、武器は取り上げるでしょ」

「私なら絶対にそうするけど?」


跪き、頭を擦り付けながら謝る兵士を見て、日菜は思った。

この人、勇者が好きそうだなと。


「あの〜、余り兵士さんを責めるのは……」

「悪いのは私達……、いや勇者ですから」


勇者という言葉に反応する少女。


「はぁ?」

「勇者が何で牢屋なんかに入っているのよ」

「正直、イベントの情報とか何も入ってきてないからビックリだわ」


何を言っているのかよく分からず混乱する日菜。

そんな日菜にお姫様だと思っていた少女が、自分は勇者の仲間になる予定の僧侶だと告げる。


「えっ、僧侶?」

「何で僧侶なのに付き人がついてるの?」


単純に勇者の仲間だからかな?

でも、始まりの国では私に付き人は居なかったけど……。

やっぱりお金持ちの国だからかな?

などと考察する日菜だったが、その考察は大きく外れる事となる。


「彼女は付き人じゃなくて、この国のお姫様よ」


空いた口が塞がらない。


「いや、その……」

「失礼を承知で言わせて貰うけど、僧侶のあなたの方が気品ある感じなんですけど……」


何というか、お姫様ならもうちょっと豪華な服を着ても良いのでは?

そんな事を考える日菜に、本物のお姫様が熱く語った。


「当然です」

「彼女、いえスタリエ様は前の世界じゃ大国のお姫様だった方ですから」

「そんな素晴らしい方より、豪華な服など着れません」


現代のお姫様。

そんな方が異世界に転生するとは……。

つか、前の世界って異世界転生の事、お姫様に話したんだ。


「いや、大国一のお金持ちだっただけでお姫様では無いわよ」


それでもすごい。


「ちなみに、お小遣いの方は……、いや、お嬢様だからお小遣い制度なんてあるはずないか」


などと言いながら日菜は「アハハ」と笑う。


「あるわよ」

「私も周りと同じがいいってパパに頼んだもの」


そう言うとスタリエは日菜に小学生の時と中学生の時のお小遣いの金額を教えてあげた。


「小学生の時で一億!?」

「中学生の時で十兆円‼︎」


額に驚く三人。

そんな日菜達を他所にスタリエはクスクスと笑った。


「中学生になって思ったけど、小学生の頃の一億円って、大金よね」

「今じゃ一億何てたかが知れてるけど、当時は札束握り締め、よく駄菓子屋さんに友達と行ったっけ」


はあ?

何言ってるの?

たかが知れてないし、世界人口の九十パーセント以上は一億円は高いと思っているよ。

それに、駄菓子屋って札束握り締めながら行く所じゃ無いし、普通は札束何て持って行かない。

この人、本当にお姫様よりお姫様だ。

私は不幸体質だというのに……。

日菜は溜め息を吐き、落ち込んだ。



第4話  完

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