第2話[そんなの決まってるじゃない]
被害者である彼女は、友人と海を満喫していたらしい。
ただその時、水着を波に持っていかれ彼女は全裸状態になってしまったのだと言う。
友人は急いで水着を買いに行き、彼女は人気の無い岩陰に隠れ水に浸かりながら、友人の帰りを待っていたのだとか。
そんな時、勇者が現れた。
勇者のナンパを断りながら、彼女は友人の帰りを今か今かと待つ。
そんな時だった。
「もしかして水着ないの?」
「だったら今私が着ている水着、貸してあげるよ」
そう言って勇者は更に人気の無い場所へ彼女を連れて行こうとしたらしい。
それからしばらくして、友人が駆けつけ勇者を捕らえ、勇者は冤罪なのを訴えるべく、私達を呼んだらしい。
それらの話しを聞いて思うに……。
「どこをどう聞いても有罪じゃん」
思わず私は勇者にそう叫んでいた。
そんな私に対し、勇者は全力で無罪を主張する。
「日菜ちゃん、私を馬鹿にしないでくれる」
「水着が波に持っていかれた可哀想な美少女を救うべく、ちゃんと予備の水着を用意してたんだから」
勇者は腰に掛けていた巾着袋を広げ、中から大量の水着を取り出した。
これを見た被害者とその友人は勇者が善意ある行動を行っていたのだと思い、訴えるのを止めようかと考え始めていた。
そう、ここで私が余計な事を言わなければ、この問題は解決していたのだ。
「だったらその水着を渡したら良かったじゃない」
「何でわざわざ自分が着ている水着を渡すのよ」
「日菜ちゃんは分かって無いよ」
「何で自分が着ている水着を渡すかって?」
「そんなの決まってるじゃない」
「その方が興奮するからだよ」
私達は捕まった。
第2話 完




