第3部第1話[最っ高のカーニバル状態でしょ]
潮風の香り。
照りつける太陽。
そして、透き通る海。
噂ではここにドラゴンの牙で作った鎧があるそうだけど……。
やっぱり少しは海で、はしゃぎたい。
私達はララさんに話し、しばし海を堪能する事にする。
水着売り場で盛り上がり、勇者の多少のセクハラ発言も許容しながら、私達は海に向かった。
「気持ちいいですね日菜殿」
「うん」
最高に幸せだ。
海に入っても足を引っ張られたりしない。
これがどれ程幸せな事か。
「日菜殿、あそこに西瓜が売っています」
緑ちゃんに連れられて見てみると、そこには西瓜が売ってあった。
一玉十ベル。
これくらいなら買える。
それに、海と言ったら西瓜でしょ。
そう思い、西瓜を買おうとすると……。
「お嬢さん達、可愛いから二ベルでいいわよ」
値段をまけて貰った。
ここの女主人はとても良い人だなぁ。
可愛いから八ベルもおまけして貰えるなんて、本当に素敵な人だ。
よしっ、ここに滞在中はここの常連になろう。
そう思い、店から数歩あるくと、私達は何故だか兵士に囲まれた。
「あの子達です」
「あの子達が私のかけがえのない大切な仲間達です」
勇者が泣きながら私達に向かって指を差し兵士に訴える。
側にはタオルケットを羽織り、泣いている美少女とその子を慰めている美少女。
この二人を見て、私は勇者に近寄った。
「何したの?」
「何もしてません」
キッパリと言い切る勇者。
だが……。
「怖かったよぉ」
物凄い声量で泣く彼女を見て、私は再び勇者に質問をした。
「何したの?」
「何もしてません」
「冤罪です」
勇者のその答えを聞いて私は溜め息を吐いた。
「分かった、質問を変えるね」
「何したの?」
「何もしてませんし、質問も変わってません」
痺れを切らしたのか、緑ちゃんが割って入って来る。
「まあまあ日菜殿、仲間を信じましょうよ」
「じゃあ聞くけど、日頃の勇者の行いを見て、身内贔屓込みで彼女が冤罪だと思える?」
緑ちゃんは黙り込み、一歩後ろへ下がる。
そんな私達のやり取りを見て、勇者は私達に冤罪なのを必死に訴えかけて来た。
第1話 完




