第37話[旅立ちの日]
メルヘン王国の件は結果はどうあれ無事に解決した。
約束通り、日菜達は魔物達の仲間を生き返らせる事に。
マルカとヒルから、事の顛末を聞かされたミカナタの眉間にシワが寄る。
何故こんな事をしでかしたのか、ミカナタは後悔し、そして日菜達の前で涙を見せた。
結局、今回の一件でミカナタ達もこの国の人達も全員が被害者だったんだ。
そう思いながら、日菜達は身支度をする。
身支度を済ませた日菜達は、一応王様に旅に出る事を報告しに謁見の間へと向かう。
暗い表情に元気の無い返事。
日菜達の気分も沈んでしまう。
そんな嫌な気持ちを引きずりながら日菜達が謁見の間から出ると、お姫様に呼び止められた。
そしてお姫様は緑の所へ向かって走り、いきなり飛びつくと、そのまま緑をギュッと抱きしめる。
「ありがとうございます」
「この国を救ってくれて本当にありがとう」
お姫様の言葉に緑は泣きそうになるが、それをグッと堪え、抱き返した。
「いえ、友達ですから」
緑とお姫様、二人が笑いあう。
それを見て、目頭が熱くなる日菜。
勇者は涙を流し喜んでいた。
「あの、これを……」
お姫様からお守りを受け取ると、緑はそのお礼にと愛用していたハンカチを手渡した。
お城から出るとミカナタ達が待っていて、日菜達に別れを告げる。
「日菜、ありがとう」
マルカが日菜の手を握り、それに嫉妬する勇者。
そんな勇者をマルカは睨み言う。
「お前、嫌い」
「日菜は大好き」
ブチギレる勇者を宥めながらミカナタ達と別れ、日菜達はララを先頭に次の目的地、水の国へと向かった。
まさか水の国であんな目に遭わされるとは、この時の日菜は知る良しも無かった。
第37話 完
第2部 完




