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第35話[解き放たれた王国]

呪具は破壊した。

全てが元に戻る。

そう希望を抱いていた緑の思いは姫様の悲鳴と共に消え去ってしまう。


「私は……、私は何て事をしてしまったの」


返ってきた良心が姫様達を苦しめる。

良心を失って、今までしてきた悪行。

彼女が優しければ優しい程、それは鋭利な刃物の様に鋭くなり、彼女の心をズタズタに引き裂いていく。

大粒の涙を流す姫様。

緑は彼女の側に近寄り、慰めの言葉をかけるが、彼女の耳にその言葉は届かなかった。


(こんな筈じゃ無かった)


緑の瞳から涙が零れ落ちる。

そんな緑が可哀想で、堪らず勇者と日菜は緑から視線を逸らした。

こうなる事は分かっていた。

だから勇者は敢えて緑を傷つけ、諦めさせようとした。


日菜も勇者同様にこうなる事は分かっていた。

だが、それでも日菜はこれから先のこの国の未来を信じ、この国を救おうと決意した。

姫様も国王も良心に押し潰されながらも、前向きに国をより良く発展させてくれる。

そう信じて頑張ってきたが……。

姫様の表情を見て、一瞬で後悔してしまう。

そう思わせてしまう程、姫様の表情は絶望に満ち溢れていた。


「何……、これ?」


マルカが呟く。

姫様の異様な苦しみ様、城中から聞こえてくる悲しみと苦しみの声。

それらを聞いて、二人の足が震える。

二人は数歩後退り、耳を塞ぎ、そしてしゃがみ込んだ。

騙されたとはいえ、私達は許されない事をしてしまった。

これじゃまるで、私達に酷い仕打ちをしてきた奴等と同じではないか。

酷い後悔が二人を襲う。

そんな中、緑は立ち上がり涙を流しながら何処かへ走って行く。

日菜と勇者も緑の後を追いかけるが、速すぎて追いつけない。

それでも二人は諦めず、全速力で緑を追いかけた。



第35話 完

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