第6話[いざ!クエストへ]
お金を稼ぐにはクエストを受けるのが一番。
そう思い、日菜達は酒場でクエストを募集している掲示板を拝見していた。
リトルウルフ討伐。
これだ。
五匹で五十ベル。
宿代が一人で十五ベルだから二十ベルもお釣りがくる。
こういったお釣りを貯金していって、装備を整えて行ったら旅も楽になる筈だ。
酒場の女店主にクエスト用紙を持って行き、契約を結びクエストを受注する。
「期限は三日です。」
「失敗しても特にペナルティーは無いので安心して下さい。」
まあ、序盤の敵に二人がかりでそう簡単に負けたりしないだろう。
さて、勇者を連れて……。
「素敵なお嬢様、私はあなたの美しさに酔ってしまいそうだ。」
「酒場だけにね。」
は?
何言ってんのこの人。
日菜は下らない事を言ってナンパしている勇者を杖で殴り、引きずって街の外へ出た。
「ねえ、日菜ちゃん」
「このクエスト頑張ったら、日菜ちゃんの眼鏡の両脇ペロペロしていい?」
本当に何でこの勇者とパーティ組む事になったんだろう。
すっごく嫌だ。
私が勇者に引いている中、茂みからモンスターが現れた。
「わん」
リトルウルフ。
ヤダっ何これ。
すっごく可愛い。
チワワじゃん。
つか、これを討伐するの?
コンプライアンス的に不味いんじゃ?
「よっしゃあ、行くぜ犬っころ」
錆びた剣を手に勇者がリトルウルフに突っ込む。
そして……。
「ぐふっ」
勇者はリトルウルフにタックルされ、跪いて口から輝く虹を大量に吐き出していた。
「嘘でしょ、プロボクサーのジャブ並の痛さじゃん。」
勇者のその言葉を聞いて、私の顔が真っ青になる。
プロボクサーのジャブを受けた事は無いが、何となく痛さは想像できる。
「グルル。」
嘘でしょ。
嫌、こっちに来ないで。
止めて。
「ぐふっ」
私もリトルウルフのタックルを喰らい、口から輝く虹を吐き出してしまうのだった。
第6話 完