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第32話[対話]

初めて緑ちゃんと出会った時、正直私は馬鹿な子なのかなと思った。

異世界転生して対話で世界の平和を目指す。

そんな事、できる訳が無い。

それでも、今回の戦いを通じて対話の大切さを私は理解したのである。


東の洞窟で出会った魔物。

彼女は私に勝てないと分かると命乞いを始めた。

弱者で組んだチーム。

自分達の居場所を、安全を確保する為に今回の騒ぎを起こしたとか。

ただ、問題なのはその後だった……。


「私達は悪い魔物じゃない」

「どちらかと言うと良い魔物だ」


「良い魔物?」

「ふざけないで、あなた達が何をしたのか理解しているの?」


「えっ、あの国の人達を幸せにする為に団長に言われるがまま行動しただけだけど?」


幸せって本気で言っているのだろうか?

私は怒りに任せながら、緑ちゃんから聞いた話しを彼女に聞かせてやった。

すると彼女の顔がみるみる青くなっていく。


「なっ、だとしたら止めないと……」

「くそぅ、理解したぜ」

「あの国を滅ぼす為に、弱者である私達を選んだのか」

「いつでも使い捨てられる様に……」


人間側からしたら許されない行為かも知れない。

それでも、自分と仲間達の命を助けてくれ。

そう言って懇願する彼女を見て、私は命を奪う事はできなかった。

それに彼女の先程の話し、もしアレが本当だとしたら、余りにも可哀想過ぎるよ。


私は彼女と対話をし、仲間達を説得させる為に北の洞窟へ訪れた。

もし全てが嘘だったら殺す。

そう殺意を放ちながら、いつでも呪文を放てる様に杖を構えながら歩く。

そして、私の想像以上に北の洞窟は荒れていた。

火炎魔法で辺りの氷を溶かし、私は緑ちゃんの前に立つ。


「日菜殿……、私……」


「大丈夫だよ」

「私に任せて」


きっと緑ちゃんは自信を失っているのだろう。

あんな顔しちゃって、なら私が緑ちゃんの自信を取り戻す様、頑張らないとだね。

フッ、やってみせようじゃない。

私が対話でこの問題を解決してみせる。

こうして日菜は魔物達と対話を試みた。


第32話 完

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