49/367
第23話[悪魔の様な人間]
魔王に報告を終えた黒騎士は自室に戻りシャワーを浴びていた。
濡れた髪や体をタオルで拭いていく中、彼女は温泉村での出来事を思い出していた。
「あれが勇者のする事か」
モザイク塗れの勇者を思い出しただけで吐き気がする。
くそっ、私が知る人間は全てロクな奴が居ない。
あいつだってそうだ。
光山影。
魔王様が異世界から召喚した、人間なのに悪魔の様な奴。
奴は殺す事に快楽を覚え、私が保護した子供達を平気で手にかけた、正真正銘の悪魔。
あいつと同じ血が通っていると思うと吐き気がする。
だが、奴には実力がある。
私より遥かに上だ。
だからこそ、魔王様は……。
いや、これ以上考えるのを止めよう。
そう思い、黒騎士はベッドに横になり、眠りにつくのであった。
第23話 完




