第16話[日課]
夜が暮れ辺りが闇に包まれる中、勇者と緑は日菜の入浴を覗き見る為、風呂場の外へ回っていた。
「どう分かる?」
「日菜ちゃんのあのボディ、それにあの綺麗な足」
「跪いて舐めたくなるでしょう?」
「いえ、全然」
う〜ん、緑ちゃんにはまだ早すぎたのかもしれないなぁ。
あっ、そうだ。
「じゃあさ、日菜ちゃんに(自主規制)が生えた所を想像してみて」
「日菜殿に(自主規制)が生えるですか」
緑は目を閉じて想像した。
そして、(自主規制)を生やした日菜に無理矢理襲われる妄想も……。
「ホラッ、大人しくして」
「くっ、日菜殿何をするんです」
此処から徐々に過激になっていき、遂に緑の鼻から鼻血が垂れてきた。
「成る程、最高ですね」
「いやったぁ!」
「緑ちゃん、ナイス妄想」
新たに自分と同じ仲間が出来たと思い、指を鳴らして喜ぶ勇者。
だが……。
「良かったね勇者」
「うん、ありがとう日菜ちゃ……ん」
窓から顔を覗かせる日菜を見て、勇者の額から冷や汗が滝の様に流れる。
これはマズイ、油断したら日菜ちゃんに殺される。
そう思った勇者は奇行に走った。
窓から顔を出している日菜めがけ飛び込み。
日菜は驚きながらも、それを交わした。
浴室に侵入する事に成功した勇者は、湯船に溜まったお湯に唇をつけ、そしてお湯を吸い上げた。
ゴクゴクと喉を鳴らしながら、お湯を飲む勇者の姿を見て、日菜の顔が青ざめる。
「プッハ、日菜ちゃんの出汁美味しかったよ」
それを聞いた日菜は悲鳴を上げて、風呂場から逃げ出した。
高速で着替えを済ませ、外に居る緑を抱え、日菜は自室に戻り、魔法を唱え、施錠した。
やっぱり勇者は恐ろしい。
そう考えながら日菜は緑の鼻に布をあて、鼻血を止めていた。
第16話 完




